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「カード」と「ジェスチャー」で視覚的に日本語教育、NTT Comがクラウド型教材

日本企業の海外現地法人などに向け開発

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は29日、学校法人江副学園 新宿日本語学校(以下、SNG)と協力し、日本語を学ぶ外国人向けのクラウド型日本語教育サービス「Visual Learning Japanese(以下、VLJ)」の提供を開始した。主に日本企業の海外現地法人で働く外国人向けという。

 VLJは「カード」と「ジェスチャー」で視覚的かつ体系的に日本語文法を可視化することを目指し、SNGの江副隆秀校長が研究を重ねてきた日本語教育メソッドを活用して、NTT Comがクラウド型eラーニングとして開発したもの。

 SNGのメソッドでは、品詞ごとに定めた「カード」の形や、その並び順によって文法を理解できる。また、活用や敬語表現ごとに定めた教師の「ジェスチャー」によって、動作とともに文法を覚えられるという。このような、紙の教材での学習が難しい「カード」の並び替えや「ジェスチャー」に加え、単語の発音矯正などを、スマートフォンアプリによるインタラクティブな学習や、SNG江副校長が解説する動画コンテンツ(英語字幕付き)によって学ぶことができる。

 SNGは併せて、同サービスによるオンライン学習と対面授業によるオフライン学習を組み合わせた「ブレンド型授業」も開始する。オンライン学習による「文法の理解・定着」と、対面授業のロールプレーによる「実践」を組み合わせることで、効果的な自立学習が可能になるという。

カードとジェスチャーで視覚的に学習
「ブレンド型授業」のイメージ

 また、学習状況がクラウド上に記録されるため、例えば自宅のPCで学習した内容の続きを外出先でスマートフォンから学習するなど、効率的な学習スタイルを実現。さらにクラウド上に記録されたすべての生徒の学習状況や進ちょくを教師が確認できるため、効率的な授業運営が可能になるとのこと。

 まずは初級コースとして、文法などの解説と会話を収録したビデオクリップと到達度確認クイズをマルチデバイスで予復習できる「基本知識習得クラウドサービス」、約1400語を収録し、動詞の活用、敬語、発音などをスマートデバイスで網羅的に学習できる「単語帳アプリ」を10月29日より提供。2014年1月に、約800問の文法クイズを収録しスマートデバイスで直感的に繰り返し学習できる「文法アプリ」を提供する。中級コース、ビジネスコースも順次拡大する予定。

単語帳アプリの画面イメージ

 今後の展開として、2013年度はSNGをはじめとして関連の日本語学校にブレンド型授業の導入を進める。2014年度からは中級レベル、ビジネスレベルとラインアップを拡充しつつ、台湾・香港など海外においてもブレンド型授業の教育サービスを展開していく。また、海外でビジネスを展開する日系企業向けのブレンド型授業プランや日本語教師育成コースなども提供する予定。

 近年、日本企業は東南アジアをはじめ積極的に海外へ進出している。日本企業の海外現地法人で働く外国人の従業員数は、2012年度末で523万人(前年度比4.7%増)となり、過去最大となった。また、グローバル人材を確保するため、日本国内で働く外国人の採用を拡大する企業も増加している。一方で、世界の日本語教育現場では、教材や学習施設の不足、また効果的な教授法が普及していないとった問題が顕在化しているという。

川島 弘之