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「単なるクラウドストレージとしてだけではなく、プラットフォームの価値を訴求したい」～ボックス・ジャパン
（2013/10/24 06:00）
「単なる企業向けのファイル共有サービスではない。企業で利用できる、セキュアなプラットフォームを提供できる点が最大の強みである」――。オンラインストレージを運営する米Box社の日本法人、株式会社ボックス・ジャパンの代表取締役、古市克典氏は、23日に開催された記者説明会において、自社のサービスをこのように評した。
Boxは、ワールドワイドで18万社の企業、フォーチュン500の97％が利用する、クラウド型のファイル共有サービスだ。一般的には、「DropboxやGoogle Driveのようなコンシューマ向けのファイル共有サービスに、企業向けのセキュリティ機能や管理機能を付加したもの」、として認識されていることが多いようである。
実際、古市社長が「以前勤務していた会社で、別のコンシューマ向けオンラインサービスを使っていたが、IT部門から使用を止められてしまった。ところが、Boxであれば安心して使えるということで、これを導入していた」と話すように、エンタープライズレベルのセキュリティを持ち、IT部門がエンドユーザーの利用をコントロールできるBoxは、企業内・企業間でのファイル共有サービスとして多く導入されている。
現在は、CTCとマクニカネットワークスが一次代理店として契約済み。「日本企業のITツール活用は欧米と比べて遅れているというのは日々実感していた。Boxを使うと、本当に生産性が向上するので、これを日本に広めていきたい」と述べた古市社長は、この2社の一次店のもとで、1社あたり20～30社の二次代理店を組織し、国内での販売を進めていく考えを示した。また今後は、一次代理店自体も数社増やす予定だという。
このように、企業向けのオンラインストレージとして展開する、というだけであれば話は単純なのだが、実は、Boxの価値はそれだけではないのだという。Box社 シニア・バイス・プレジデント＆GM Enterprise ホイットニー・バウク氏は、「Boxの本質は単なるオンラインストレージにとどまらない、ビジネス変革のためのプラットフォーム」と主張する。
Box社では、このようなファイル管理のプラットフォームとして利用してもらうため、APIやSDKを無償で公開しており、Oracleやsalesforce.com、Net Suiteといった業務システムとの連携にも対応済み。例えばSalesforceとの連携では、Salesforceシステムの画面の中に「Box」のユーザーインターフェイスを埋め込み、単一の操作画面として両方のシステムを使用できるようにしている。
代理店のマクニカネットワークスでも、単なる再販にとどまらず、こうした面での展開を進める考えで、10月23日には、Salesforceのコンサルティングパートナーとして実績のあるコムチュアマーケティングと協業し、SalesforceにBoxを統合するソリューションを提供すると発表した。これにより例えば、顧客情報に見積書や写真、CADファイルなどあらゆるファイルを結び付けることで、一層の営業力の強化や業務の効率化を実現するとのこと。
またBox社は、ISVとの連携にも力を入れている。特に企業向けのアプリケーションでは、データやコンテンツのセキュリティが非常に気にされるが、アプリケーションに対して厳重なセキュリティ管理機能を実装しようとすると、非常に手間が掛かるのだという。しかし、こうした部分をBoxに任せ、ISVはその上で動く機能に注力すれば、ISVにもBox社にもメリットが生まれる。
古市社長はこの点について、「米国では、取締役向けの重要文書の管理システムにBoxのプラットフォームを利用している例がある。モバイルアプリを作っているISVは、それほど企業規模が大きくないところが多いが、セキュリティや管理を当社のプラットフォームに任せ、使いやすいツールを作ることに注力してもらう、といったやり方で、米国では大きな市場を形成している。これを日本でも行っていきたい」と話す。
またバウク氏は「Boxをベースにしたカスタムアプリの開発も可能だし、一元化した共通プラットフォームとして、アプリケーションをまたがって使用することもできる。企業内ですでに使われているアプリケーションとの統合にも対応可能だ」と述べ、単なるコラボレーションツールにとどまらないBoxの価値を訴求していくとの姿勢を示した。
そのためのBoxでは、日本語のWebサイト開設をはじめ、日本への投資を進める考えで、知名度の向上などのマーケティング活動を国内で展開する。人員も定期的に増員し、1年間で20数名の体制へ拡充するほか、各種コンテンツの日本語化も進めていくとのことだ。
