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NEC、世界初 仮想化モバイルコアネットワークソリューション

NEC執行役員常務 手島俊一郎氏

 NECは、汎用IAサーバの仮想化基盤上にネットワーク機能を搭載した、仮想化モバイルコアネットワークソリューション(Virtualized Evolved Packet Core、以下vEPC)を通信事業者向けに販売開始したと発表した。NECによれば、vEPCの発売は世界初。

 vEPCソリューションは7月に発表した「NEC SDN Solutions」のテレコムキャリア市場向け「ネットワーク機能仮想化ソリューション」のメニューとして提供する。

 vEPCは、LTE基地局を収容するモバイルコアネットワーク装置の制御機能とデータ通信機能を、オールインワンで汎用IAサーバーの仮想化基盤上に載せたもの。NEC執行役員常務 手島俊一郎氏は、「同一のハードウェアに、ネットワーク制御を扱うコントロールプレーン部だけでなく、ユーザーデータを通すユーザプレーン部も搭載した点が最大の特徴で、他社にはこうした製品はまだない」と世界初であるポイントを説明。

 技術的には、「Intel DPDK技術の利用に加えてNEC独自技術により専用機と同等の高いデータ転送性能を実現することが可能になった」という。

vEPCソリューションの概要
NEC製vEPCの特徴

 vEPCでは、負荷状況に応じて制御とデータ通信に割くリソースも柔軟に配分することが可能で、スケールアウト時の再構成も容易になる。また、NECが独自に改良したキャリア向けハイパーバイザーを仮想化基盤に導入することで、仮想化特有の処理時間の変動を抑え、通信事業者が求めるリアルタイム性や信頼性を実現したという。

 ハードウェアは汎用IAサーバー機を利用するため、導入するキャリアは設備投資の削減が可能で、スケールアウトや予備機の追加などの調達も柔軟かつ速やかに行える。また、汎用IAサーバーでの動作を可能とすることで顧客のハードウェアの選択肢を広げ、保有設備環境に合わせた最適なシステム構築が可能になるという。

 仮想化基盤を使うことで、通信処理の負荷変動に対してサーバーリソースを自動的に増やして通信処理の負荷増大に柔軟に対応することも可能となる。

 設備投資だけでなく、仮想化技術を活用した自動修復機能により、従来のEPC並みの信頼性を確保しながら、ハードウェア故障時における駆け付け交換を不要とするなど、運用に関わるコスト(OPEX)も削減可能だとしている。

データプレーン装置仮想化によるQoE改善
汎用サーバー化・仮想化での高可用性
仮想化による装置管理の自動化・制御の最適化が可能
vEPC導入のメリット

 NECではグローバルキャリアとのSDN商用化推進で海外に広く販売していきたい考えで、NECヨーロッパ社を通じて欧米では複数の携帯通信事業者とvEPCソリューション共同トライアルを開始している。

 具体的には、テレフォニカとは2014年サービスインに向けたvCPEソリューション共同実証契約を締結し、vEPCソリューションの共同実証を合わせて推進する。ポルトガルテレコムとはデータセンターSDNソリューション共同実証のパートナー契約を締結した。

 また、これからLTE通信網を整備する新興国も市場も有望な市場として拡販していく。すでにアジアでは、ミャンマー郵電公社にvEPCを納入しており、LTE商用システムとして12月には稼働を開始する予定だ。

急激なトラフィック増大への対応が迫られる移動体通信事業者からの引き合いが多い
グローバルキャリアとのSDN商用化推進

工藤 ひろえ