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デル、コンパクトデータセンターを実現する新プラットフォームを発表

リモートオフィスや中小企業のITシステムを革新

新プラットフォーム「Dell PowerEdge VRTX(バーテックス)」

 デル株式会社は6日、サーバー、ストレージ、ネットワークおよび管理機能をタワー型サーバーサイズのシャーシに収め、データセンターの機能を集約した新プラットフォーム「Dell PowerEdge VRTX(バーテックス)」を6月26日より販売開始すると発表した。

 「Dell PowerEdge VRTX」は、省スペース型・静音でありながら、エンタープライズクラスの機能を備えたデータセンタープラットフォーム。最大4つのサーバーノードを格納可能なシャーシにサーバー、ストレージ、ネットワークを統合して迅速な導入・展開を実現する。また、管理ツールを包括的で単一のコンソールに統合し、運用管理が容易なため、リモートオフィスや支店、工場など中小規模システム、教育機関などでの利用に適している。

 新製品をリリースする背景について、デル エンタープライズ・ソリューションズ統括本部 エンタープライズ・ビジネス開発部 部長の馬場健太郎氏は、「オフィスにおけるITシステムは、さまざまな未解決の課題を抱えているのが実情だ。特に、日本国内に数多く存在する民間企業の支店や国・地方公共団体の事業所、そして中堅・中小企業は、専任IT管理者の不在やシステム構成の複雑化、低速なWAN回線、電源・スペース・騒音環境への配慮などに頭を悩ませている。こうした課題を解決する新たなプラットフォームとして『Dell PowerEdge VRTX』を開発した」と述べた。

 「現在のオフィスのITシステム環境は、複雑かつ非効率で、柔軟性がない。これに対して、新プラットフォームの『Dell PowerEdge VRTX』を活用することで、シンプルで効率的、そして柔軟な拡張性を備えた“コンパクトデータセンター”を実現することができる。今後、『Dell PowerEdge VRTX』を中核にしたビジネスを推進し、リモートオフィスやブランチオフィスのITエクスペリエンスを革新していく」と、馬場氏は意欲を見せた。

デル エンタープライズ・ソリューションズ統括本部 エンタープライズ・ビジネス開発部 部長の馬場健太郎氏
「PowerEdgeサーバー」のポートフォリオと「PowerEdge VRTX」の狙い

 「Dell PowerEdge VRTX」のビジネス推進に向けては、「ビジネスレディソリューション(BRS)プログラム」、「Dell ISV プログラム」、「VRTXパートナープログラム」の3つのプログラムを展開するという。

 「ビジネスレディソリューション(BRS)プログラム」では、仮想化の「可用性」と「統合化」のメリットに最適化したビジネスレディソリューションを提供する。例えば、デルが豊富な実績をもつ仮想化ソリューションなどを「Dell PowerEdge VRTX」に搭載し、付加価値を高めたワンパッケージを、デルから直接顧客に提供する。これにより、顧客やパートナーは、生産性を高めるアプリケーションワークロードに注力することができる。

 「Dell ISV プログラム」では、ISVが提供するさまざまなソリューションと事前に動作検証を実施し、ISVパッケージソリューションとして顧客に提供する。また、検証・デモ環境の提供、共同セミナーなどのマーケティング支援も行っていく。

 「VRTXパートナープログラム」では、Dell PartnerDirect Programの認定パートナーに向けて、検証機やトレーニングを提供し、販売を支援する。

 「Dell PowerEdge VRTX」の機能面の特徴としては、Dell PowerEdge第12世代サーバーの2ソケット「Dell PowerEdge M520」および「同 M620」を搭載可能で、最大48TBのデータを保存可能な大容量ストレージを備え、SSDのほかホットプラグ対応3.5インチHDD12台または2.5インチHDD25台を選択できる。内蔵ディスクは、共有ストレージとして複数のサーバーから同時にアクセスが可能で、仮想化基盤としても活用できる。さらに、PCIeスロットを最大8つまで拡張可能。また、ネットワークポートを内蔵しているため、ネットワーク構成をシンプル化することもできる。

 システム管理面では、ローカルからでもリモートからでもアクセスできるため、メンテナンスの時間を節約し、ダウンタイム期間を短縮することで、障害の可能性を削減できる。また、同社の提供する無償のシステム管理ソフトウェア「OpenManage Essentials」を使用することで、直感的で地理的なマッピングを通じて、稼働状況をひと目で把握できるようになる。

 このほか、オフィスに最適化されたスペックを追求しているのも「Dell PowerEdge VRTX」の特徴だ。デル マーケティング統括本部 エンタープライズサービス&ソリューションマーケティング本部 サーバブランドマネージャの木村一仁氏は、「特に、オフィスでの狭い空間での使用を意識して、58デシベル~62デシベルの優れた静音設計と、高さ48.4cm、幅31cm、奥行き73cmというコンパクトなシャーシを実現した。また、ホットプラグの110V AC電源を使用しており、オフィスの電源をそのまま利用できる」と説明している。さらに、ホットプラグの冗長ファンモジュールおよび送風機モジュールを標準搭載し、室温で稼働するため、快適にオフィスで利用できる。

 「Dell PowerEdge VRTX」の価格は、最小モデル構成で133万8000円からとなる。

デル マーケティング統括本部 エンタープライズサービス&ソリューションマーケティング本部 サーバブランドマネージャの木村一仁氏
「Dell PowerEdge VRTX」のイノベーション

(唐沢 正和)