ニュース

2012年の国内ネットワーク機器市場は前年を上回る、企業の投資回復などがけん引~IDC Japan

国内ネットワーク機器市場 製品別エンドユーザー売上額予測、2008年~2017年(出典:IDC Japan)

 IDC Japan株式会社は28日、ルータ、イーサネットスイッチ、企業向け無線LAN機器などを対象とした、国内ネットワーク機器市場の2012年の実績と予測を発表した。それによると2012年の国内ネットワーク機器市場は、企業のネットワークへの投資回復と、モバイルトラフィックの増大を背景とした移動体通信事業者の設備投資が市場をけん引したことで、2011年の実績を上回ったという。

 分野別でも、ルータ、イーサネットスイッチ、企業向け無線LAN機器の各製品分野すべてで2011年の実績を上回った。特に企業向け無線LAN機器市場とイーサネットスイッチ市場は、それぞれ前年比41.4%増、同13.0%増と、大幅なプラス成長を記録したとのことで、2012年の各市場規模は、企業向け無線LAN機器市場が208億7100万円、イーサネットスイッチ市場が1786億6700万円となった。一方でルータ市場は、前年比0.6%増の1187億3700万円となっている。

 企業向けネットワーク機器市場では、企業の投資回復傾向や更新需要サイクルの高まりを受け、企業向けルータ、企業向けイーサネットスイッチの両市場はいずれも前年比10%以上のプラス成長を記録。通信事業者向け市場でも、移動体通信事業者向けの売り上げが引き続き堅調だったという。ただし移動体通信事業者向けでは、イーサネットスイッチの需要は年間を通じて堅調だったものの、ルータの売り上げは2012年後半にやや減速感がみられたとのこと。

 ベンダー別では、移動体通信事業者の需要をとらえたベンダーや、企業向け市場で大型案件を獲得したベンダーが好調で、ルータ市場ではシスコ、アルカテル・ルーセント、富士通、NECの好調さが目立ったほか、イーサネットスイッチ市場ではシスコ、富士通、日立電線の上位3社が大きく売り上げを伸ばした。

 なおIDC Japanは、今後のネットワーク機器市場について、通信事業者の投資や企業の更新需要動向によって増減するものの、市場規模は安定的だと予測。2012年~2017年の年間平均成長率(CAGR)は、ルータ市場が1.2%、イーサネットスイッチ市場がマイナス1.2%、企業向け無線LAN機器市場が1.0%と予測している。

(石井 一志)