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2017年の国内セキュリティ製品市場は2693億円、CAGRは3.9%で推移~IDC Japan予測

 IDC Japan株式会社は20日、2012年の国内セキュリティ市場規模実績と、2017年までの予測を発表した。それによると、2012年の国内情報セキュリティ市場のうち、ソフトウェア製品とアプライアンス製品を合わせた市場規模は、前年比4.7%増の2220億円。2012年~2017年の年間平均成長率(CAGR)は3.9%で、2017年には2693億円に拡大すると予測されている。

 セキュリティソフトウェア市場単体で見ると、2012年はアイデンティティ/アクセス管理とエンドポイントセキュリティで需要が高く、市場規模は前年比4.0%増の1898億円。2013年以降は、クラウドサービスやモバイル端末の利用拡大、また標的型攻撃の増加によって、アイデンティティ/アクセス管理、エンドポイントセキュリティ、セキュリティ/脆弱性管理への需要が拡大するとIDC Japanでは見ており、2012年~2017年のCAGRは3.8%、2017年の市場規模を2291億円とそれぞれ予測している。

 一方、2012年のセキュリティアプライアンス市場は、標的型攻撃対策としてニーズが高いIDS/IPSと、モバイル端末の利用拡大を受けてリモートアクセスのセキュリティ基盤需要が拡大したファイアウォール/VPN/UTMが市場をけん引。市場規模は、前年比8.8%増の322億円となり、2011年のマイナス成長からプラス成長に転じたという。

 またIDC Japanでは、2013年以降も、リモートアクセスの増加でファイアウォール/VPNやUTMの需要は引き続き拡大するほか、巧妙化、悪質化する標的型攻撃への対策として、IDS/IPSへのニーズは引き続き高いと見ており、2012年~2017年のCAGRを4.5%、2017年の市場規模は402億円と予測している。

 2012年のセキュリティサービス市場は、標的型攻撃への危機意識の高まりと、サーバー統合/システム統合に伴うセキュリティシステムの再構築需要の拡大、スマートデバイスとクラウドサービスの利用拡大により、需要が拡大し、前年比4.6%増の6504億円となった。この状況は、2013年以降も続く見込みで、同市場の2012年~2017年のCAGRは3.9%で推移し、2017年には7884億円に拡大すると予測されている。

 なおIDC Japanは、巧妙化する標的型攻撃によって、従来は安全とされていた社会インフラ産業がセキュリティ脅威にさらされていること、特定の機関産業を標的としたサイバー攻撃が頻発していること、産業特化型の特定システムの脆弱性が狙われ、同じシステムを導入している産業が同様に攻撃されるリスクが高まっていることなどを指摘。

 こうした背景を受けて、ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの登坂恒夫氏は、「セキュリティベンダーやパートナーは、特定の産業に特化したセキュリティ対策製品をパッケージ化するなど、産業特化型セキュリティソリューションの提供を促進すべき。そのために、産業特化型ソリューションを提供しているベンダーやパートナーとの協業も必要だ」とコメントしている。

(石井 一志)