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ALSI、情報漏えい対策シリーズ「InterSafe ILP」新版

暗号化ファイルのウイルスチェックを実現

開発コンセプトは「普段通りの操作性」

 アルプスシステムインテグレーション株式会社(ALSI)は14日、情報漏えい対策シリーズ新版「InterSafe ILP Ver.3.0」を発売した。

 InterSafe ILPは、ファイル自動暗号化ソフト「InterSafe IRM」、デバイス制御ソフト「InterSafe Device Control」、Web型申請・承認ソフト「InterSafe WorkFlow」、セキュリティUSBメモリ作成ソフト「InterSafe SecureDevice」に、新製品としてリリースされたセキュリティPDF作成ソフト「InterSafe SecurePDF」を加えた5製品で構成されたスイート製品。ここから必要な製品を自由に選べるようになっている。

 中核となるのは「InterSafe IRM」。「普段通りの操作性」が開発コンセプトという。一般的な暗号化製品のように、専用アプリ上で暗号化を実行する必要も、暗号化するための専用フォルダを用意する必要もない。InterSafe IRMでは、作成したファイルを保存した時に自動で暗号化が行われる。

 仕組みは、カーネルレイヤに組み込まれた独自の暗号化ドライバによって、保存イベントのみを検知。ファイルシステムで自動的に暗号化を行う。このため、暗号化のための特別な操作も特別なフォルダも必要なく、ユーザーにしてみれば「普段通りの操作性」で暗号化が行える。

一般的な暗号化製品はアプリケーション層で暗号化を行う。技術的にシンプルだが、暗号化のための特定の操作が必要で利用者の負担になる。また、特定操作が必要なため強制力がなく、セキュリティレベルが低い
InterSafe IRMではファイルシステムで暗号化を行う。技術的には複雑だが、ファイルを保存すると自動で暗号化されるため、ユーザーは意識せず暗号化できるほか、暗号化に強制力を持たせることができる

 暗号化対象アプリケーションの拡充機能も備える。Microsoft Office製品をはじめ、さまざまなアプリケーションの暗号化に対応し、従来自動暗号化が難しかった動画やデータベースにも対応するほか、「任意のアプリケーションを暗号化対象に追加できる」カスタム機能を搭載している。例えば、CADソフト(SolidWorks)のプロセスと拡張子を登録するとCADファイルを暗号化された状態で使用可能となる。

 新版では、暗号化ファイルのウイルスチェック機能を強化した。従来の暗号化ソフトで暗号化したファイルは、その中にウイルスが潜んでいても、ウイルス対策ソフトで中身が確認できないため、検知できない。

 InterSafe IRM Ver.3.0では、ウイルス対策ソフトがファイルを読み込むタイミングのみ、自動的に複合できる機能を搭載し、暗号化ファイルのリアルタイムなウイルス検知を実現した。同機能は「業界初」という。

暗号化ファイルのリアルタイムでのウイルスチェックに対応

 そのほか「InterSafe WorkFlow」では、許可されたデバイスへの安全な持ち出しを実現する「クイック書き出し機能」をオプションとして追加。不要なデバイスは従来通り制御しながら、どうしても持ち出す必要のあるデータは右クリックメニュー「クイック書き出し」ボタンを押すことで、許可されたデバイスにのみ暗号化・読み取り専用の状態でコピーが可能となる。同時に管理サーバーに持ち出しログが記録されるため、いつ、誰が、どのファイルを持ち出したか調査することもできる。

ファイル持ち出しのセキュリティ強化。従来は「ファイル持ち出し申請」を承認がおりたファイルをあらかじめ許可されたデバイスに書き出せた
「クイック書き出し機能」では、承認フローを経由せず、あらかじめ許可されたデバイスに任意のファイルを自動暗号化して書き出せる
クイック書き出しの履歴はサーバーにすべて残る

 また、新製品となるInterSafe SecurePDFでは、外部取引先などにセキュリティ機能を保ったままでのファイル送付を実現。InterSafe IRMで暗号化したファイルを右クリックメニューから簡単にセキュアPDF化できる機能で、暗号化に加えてセキュアPDFの特徴である「閲覧有効期限」「コピー制御」「印刷制御」を施せる。取引先は専用ソフトを導入する必要がなく、Adobe ReaderがあればPCでもスマートデバイスでも内容を閲覧することが可能となる。

InterSafe IRMで暗号化したファイルからセキュアPDFが作成可能に

 ターゲットは企業、自治体、官公庁、学校など。ALSIでは初年度3億円(5万ライセンス)の販売を目指す。

(川島 弘之)