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DNPと日本ユニシス、販売・マーケティング連携やクラウド基盤強化などを推進
2016年度に合計500億円の売り上げを目指す
(2013/1/16 16:58)
大日本印刷株式会社(以下、DNP)と日本ユニシス株式会社は16日、新規市場拡大を実現するための事業基盤を両社が連携して強化すると発表した。これは、2012年8月に両社が発表した資本・業務提携に基づくもので、両社のデータセンター基盤の連携などによって、2016年度に合計500億円の売り上げを目指すという。
もともと、DNPはコンテンツ制作・管理・流通などのフロントエンドサービスで実績を積み重ねており、顧客から高い評価を得ているが、「ニーズが高まっているビッグデータ、基幹システム連携などに対応するためには、ICTの対応力強化が必須」(DNP 代表取締役副社長の高波光一氏)と考え、三井物産が保有する日本ユニシスの普通株式18.90%を約113億7000万円で取得。国内有数のシステムインテグレータであり、エンタープライズクラウド事業をいち早く開始するなど、マーケットの創造に取り組んできた日本ユニシスの筆頭株主となって、「クラウド事業」「新プラットフォームサービス事業」「マーケティング・販売連携」などを連携事業として進めると説明してきた。
【お詫びと訂正】
初出時、株式の取得金額を誤っておりました。お詫びして訂正いたします。
実際、日本ユニシス 代表取締役社長の黒川茂氏によれば、「2012年10月に連携提案を開始して以降で、すでに200件以上の提案に入っている」とのことで、DNPの電子書籍配信サービスと日本ユニシスの情報配信サービスを組み合わせた電子出版関連、両社のソリューションを組み合わせた電子図書館関連、DNPの電子帳票関連のBPOサービスと日本ユニシスの基幹系クラウドサービスを連携させたBPO関連などの分野において、それぞれの強みを生かした販売連携が開始されているという。
日本ユニシス 代表取締役専務執行役員の角泰志氏は、この点について「今回の連携では、両社が持つさまざまなソリューションを掛け合わせ、連携して一元的にお客さまへ届けることで、利便性を高めるのが目的だ。すでに電子図書館、O2O(Online to Offline)を始めとするEC関連などで実績があり、今後もサービスラインアップを拡充していく」と話す。
そのためにも、例えばEC企業とその先にいる購買者とのコミュニケーション、購買活動の新しい形を実現するマーケティングプラットフォームの共同開発・展開を図るほか、より豊かな社会の実現を目指したスマートソサエティプラットフォームの共同開発・展開なども注力事業として行っていくとのこと。マーケティングプラットフォームについては、モバイル、デジタルコマース、次世代ペイメント、ビッグデータ(データ分析)といった点を重点領域として、新しい市場の創出を目指すと説明した。
一方で、拡大の一途をたどるクラウド/データセンタービジネスへの対応も共同で進める。DNPでは、千葉県に延べ床面積約1万平方メートル、約850ラックを収容可能なの都市型データセンターを建設しており、2013年11月のサービス開始を予定しているが、ここへ日本ユニシスのエンタープライズクラウド基盤を導入。IaaS/PaaS/SaaSの各レイヤでさまざまなクラウドサービスを提供するとともに、アジアを中心とした事業展開に対応する、高信頼型のデータハブを形成するとした。
またDNPと日本ユニシスでは、新設するこのデータセンターを含めて国内に合計11拠点を持つが、これらを連携してBCP(事業継続計画)やDR(災害対策)への対応を進める考え。例えば、DNPの新データセンター(千葉)と日本ユニシスのデータセンター(小浜)を相互に連携させてDRを実現する、といった連携が検討されているとのことで、DNP 常務取締役の北島元治氏は、「クラウドの運用保守やコールセンター機能も統合して、2013年度中には国内最大級のサービス網を作っていきたい」との意気込みを示した。
加えて、将来を見据えた動きとしては、両社の研究・開発部門を連携させ、両社が持つ技術を活用した製品・サービスのプロトタイプを開発する「プロトタイピングセンター」を推進する。ここでは、開発された製品・サービスと既存サービス、コンテンツと組み合わせて新サービスを創造したり、市場ニーズとのマッチングを図ったり、といった活動も行われる予定で、新たなビジネスモデルの創出にも積極的に取り組むとした。