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ネットワールド、仮想デスクトップのベンチマークツール「Login VSI」新版

Windows 8/Server 2012など最新環境のテストが可能に

 株式会社ネットワールドは13日、VDI(仮想デスクトップ)/SBC(サーバーベース・コンピューティング)環境のパフォーマンスを測定するベンチマークツール新版「Login VSI 3.7」を発売した。

VDI/SBC環境の業界標準ベンチマークツール

Login VSIのアーキテクチャ

 Login VSIは、オランダLoguin VSIが開発するベンダー非依存のVDI/SBCベンチマークツールで、製品版の「Login VSI Pro」と無償版の「Login VSI Express」が存在。VDI/SBC環境における「ベンチマーキング」「キャパシティプランニング」「ロード/ストレステスト」「環境変化による影響把握」に利用できる。

 Login VSIの負荷発生モジュールを搭載したサーバーから、Login VSIのモジュールソフトをインストールした測定対象のVDI/SBCサーバーに負荷をかけ、レスポンスタイムなどを解析。快適に使える最大ユーザー数/セッション数の値を把握できる。

 ワークロードは、OfficeやAdobe Readerなどオフィスで典型的に使用される10種類以上のアプリケーションを動作させて発生させる。動作パターンとしてライトユーザー、ミディアムユーザー、ヘビーユーザーなど7種類のテンプレートが用意され、柔軟にかつ自動でワークロードを発生させることが可能。

 ネットワールド代表取締役社長の森田晶一氏によれば、VDI/SBCの導入プロジェクトを成功させるには、パフォーマンス、スケーラビリティ、キャパシティを正確に解析・評価することが欠かせないという。これにより、快適なユーザーエクスペリエンスを確保し、コストを最適化し、導入後の環境変化にも適切に対応できるようになるからだ。ネットワールドでも事前検証をしっかりしておかないと大きな問題を招くということを身をもって実感しているという。「アンチウイルスの種類を変えたり、OSをアップデートしたりしても問題が発生することが多いVDI/SBC環境では、運用フェーズにおいてもLogin VSIのようなツールが欠かせない」と森田氏は語る。

 実際、Login VSIは、2009年の製品版発売以来、HP、Dell、Cisco、EMC、NetAppなどのハードウェアベンダーや、Microsoft、Citrix、McAfee、Quest Softwareなどのソフトウェアベンダーに利用され、同ツールによってベンチマーク値が公表されている。業界のデファクトスタンダードになっているそうだ。

多くのテクノロジーベンダーが利用
多くのユーザー企業も利用

 ネットワールドは、初のディストリビュータとして2012年8月から無償版を、11月から製品版を提供。Login VSI社もネットワールドと契約締結後、即座に日本語環境に対応するなど日本市場を見据えた取り組みを進めている。

新版では最新プラットフォームのテストに対応

 今回の新版では、最新のシステム環境のテストに対応した。具体的には、測定対象となるVDI/SBCのOSとして、Windows 8/Server 2012に対応したほか、ワークロードに使用するアプリケーションにOffice 2013を追加した。

 また、対応する仮想環境として、従来からのVMware View、Citrix XenDesktop、VDI-in-a-Box、Microsoft VDI、Questに加え、Oracle VDIをサポートした。

 そのほか、カスタムアプリケーションの詳細な負荷解析にも対応。従来版では、カスタムアプリケーションは用意されたテンプレート内の負荷アプリケーションの1つに追加してテストをしなければ成らず、詳細な負荷解析には手間がかかったという。それを改善し、カスタムアプリケーションだけをワークロードに利用できるようにすることで、カスタムアプリケーションの詳細な負荷解析を行えるようにした。ネットワールドではこれに加えて、顧客のユーザー実態に近いワークロードを作成するために、カスタムアプリケーションをワークロードに含めるカスタマイズサービスも提供するという。

 また、従来版では製品版のみ日本語環境に対応していたが、無償版でもWindows OS 日本語版のベンチマークに対応し、Office 日本語版をはじめとする日本語アプリケーションによるテストもサポートした。

 製品版では「小規模・短期ライセンス」「永続ライセンス」を新設。価格はユーザーワークロード数と使用可能期間で決まっており、「小規模・短期ライセンス」では、100ユーザーワークロード/3カ月使用可能で38万円(税別)。今回のライセンス新設により、使用可能期間は3カ月/6カ月/12カ月/無期限の4種類から選べるようになり、また、50ユーザーワークロード/30日使用可能な無償版も取りそろえるため、規模に応じてスモールスタートが可能となった。

【お詫びと訂正】
初出時、「小規模・短期ライセンス」の価格を380万円としておりましたが、38万円の誤りです。お詫びして訂正いたします。

SIerやベンダーの収益向上に貢献すると示して潮流を作る

【左】ヨス・ディコフ氏、【右】森田晶一氏。ネットワールドは、2012年に最も功績のあったパートナーを表彰する「Login VSI Partner of the Yaer Award 2012」を受賞した

 Login VSI社 セールス・ディレクターのヨス・ディコフ氏は、「今がまさに日本において市場を急成長させる時期。Login VSIがVDI/SBCの採用を後押しして普及を早める」として、日本市場への期待を示した。具体的には「Login VSIを使って最適化する利用方法を提唱する。そしてLogin VSIが収益向上に貢献することを示し、ITパートナーの関心を増大。ネットワールドのような大規模なSIerやベンダーとともに大きな流れを日本市場に作りたい」とした。

 ネットワールドは、日本市場活性化のアプローチとして、VDI/SBCに関連する多くの製品をリセラーとともに展開するほか、垂直統合型のクラウド基盤「FlexPod」にLogin VSIをバンドルして提供するなど、市場のてこ入れを進める方針。

日本市場に期待すること
日本活性化のアプローチ

(川島 弘之)