データホテルとSkeed、海外へのデータ転送を高速化するクラウドサービス


 株式会社データホテルと株式会社Skeedは12日、事業提携に合意し、クラウド分野における次世代インフラ技術に関する共同開発を開始すると発表した。第1弾として、高速データ転送クラウドサービス「データホテル クラウド コネクト」を今夏に提供開始する。

データホテル クラウド コネクトサービス概要

 株式会社データホテルはNHN Japan株式会社の子会社で、データセンターやインターネット接続事業などを手掛ける企業。株式会社Skeedは、ファイル共有ソフト「Winny」を開発した金子勇氏が社外取締役として参加し、コンテンツ配信システムや高速ファイル転送ソフトなどを開発・提供している。

 データホテル クラウド コネクトは、Skeedが開発した高速通信プロトコル「SkeedSilverBullet Protocol」を利用して、世界6カ国10カ所を結ぶ仮想ネットワークを構築し、大容量データを各国のクラウドサービスやデータセンターに高速にデータを転送できるサービス。TCPを利用した通信と比較して約20~30倍の高速通信が可能だとしている。

仮想ネットワーク経由で高速データ転送が可能TCPを利用した通信と比較して数十倍の転送速度を実現

 ユーザーは、各国の最も近い地点でデータホテル クラウド コネクトに接続することで、高速データ転送のネットワークの利用が可能。WindowsおよびLinux向けに提供されるクライアントソフトをインストールして、フォルダーごとにどの地域に転送するかを設定するだけで利用が可能になるという。

 料金体系としては、データ転送やストレージ容量に合わせた従量課金プランのほか、企業内での業務利用ニーズを考慮した10万円台からの月定額プランも提供予定。データバックアップ専用プランの展開も予定する。

設定したフォルダーにファイルを入れるだけで転送が可能大容量データを高速に海外に転送できる

 発表会ではSkeedの社外取締役を務める金子勇氏があいさつに立ち、「SkeedSilverBulletは自分ではなくSkeedの技術者が開発したもので、一対一のデータ転送を劇的に高速化する技術としてとても優れている」と説明。Skeedの明石昌也代表取締役社長は、Skeed SliverBulletは通常のTCPによる通信に比べて、東京・大阪間では約3~10倍、日本・海外間では10~50倍の実効性能があるというデータを紹介。こうした高速データ通信を、データホテルとの提携によりクラウドサービスとして展開できることをうれしく思うと語った。

 データホテルの嶋田健作代表取締役社長は、日本からヨーロッパに1GBのデータを転送する場合で、従来のTCPを利用した転送では90分かかっていたものが、3分で転送できるようになると説明。映像データのような大きなファイルの転送や、海外のクラウドサービスを利用したビッグデータの解析、事業継続のためのバックアップなど、各種の用途に利用できるとした。

 サービス拠点としては、データホテルのデータセンターのほか、Amazon Web Servicesとの連携も予定していると説明。さまざまなクラウドインフラ上に展開可能な技術であり、ニーズがあればほかのクラウドサービスや、特定地域向けには現地のデータセンターを利用するといった対応も可能だとした。

ビッグデータを海外のクラウドで分析といった使い方も可能Skeed社外取締役の金子勇氏
Skeedの明石昌也社長データホテルの嶋田健作社長
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(三柳 英樹)
2012/6/12 15:34