「ビッグデータへ本格的に踏み出す」~テラデータ、2012年の施策


 日本テラデータ株式会社は9日、Teradata Universe Tokyo 2012を開催。メディアブリーフィングとして、米Teradata 社長兼CEOのマイク・コーラー氏や日本テラデータ 代表取締役社長の吉川幸彦氏が近況を報告した。同日にはDWHハードウェアの新製品も発表している。

米Teradata 社長兼CEOのマイク・コーラー氏日本テラデータ 代表取締役社長の吉川幸彦氏

 最初に登壇したコーラー氏は米Teradataの好調を報告。「NCRから独立した2007年10月以来、時価総額、従業員数、業績ともに向上している。2008年以降は戦略的投資を継続し、Claraview/Xkoto/Kickfire/Aprimo/Aster Dataなどの買収も進めた。結果、2011年通期では23億6200万ドル(22%増)という記録的な業績を達成した」とした。

 また、SAS、Oracle、IBM、SAP、Microsoftなどとのパートナーシップ戦略を引き続き推進し、「テクノロジーにおけるリーダーシップ」「DWHコンサルティングにおけるリーダーシップ」「顧客との長期的関係」において、競合他社と差別化を図るとし、「顧客にとって最善のITプロバイダーになる」「クラス最高のDWH・ビッグデータ分析を提供する」「売り上げとEPSの二桁成長を維持する」などの目標を掲げた。

 続いて登壇した吉川氏は、日本における2012年度のDWHを取り巻く環境を紹介。「2012年度はITコストの低減・効率化がさらに求められる。一方でデータ活用要求は高まり、ビッグデータ利用の検討・取り組みが始まる。ビッグデータの利用については期待大ではあるが、活用方法は未成熟。重要なことは企業内の既存データとの連携にある」とした。


DWH新ハードウェア2機種を投入

新製品の位置づけ

 2012年度に推進する施策としては、「目的別プラットフォームの推進を図る」という。データはその用途や種類に応じて重要度が異なる。例えば、リアルタイムシステムに障害が起きた際はリカバリは迅速に行わなければならないが、コンプライアンスのために長期保管しているデータはそこまで早くリカバリしなくてもいいかもしれない。こうしたデータの重要度に応じて、最適なスペックの製品を投入するのが、日本テラデータの基本戦略なのである。

 今回はこの施策を強化するため、「Teradata Active Enterprise DWH 6690」「Teradata DWH Appliance 2690」という2種類の新ハードウェアを発表した。

 6690は、SSD/HDD搭載のハイブリッド型最上位機種の新モデル。特長はドライブを3.5型から2.5型へ小型化した点で、従来機種の6680と比べて、搭載可能なドライブ数を2倍にしている。また、単位データあたりのパフォーマンスも、HDDベースの最上位機種・6650と比べて最大2.2倍に向上。エネルギー消費や設置面積についても、2.5型ドライブの採用により、最大60%削減している。最大4096ノードまで拡張でき、ユーザー容量は6TB~最大53PB。

 一方の2690は、エントリーレベルのDWH向け新モデル。特徴は、初めてハードウェア圧縮技術を採用した点で、各ノードあたり2台の圧縮エンジンを搭載する。これにより、効率的なCPU・I/O処理のためにデータの圧縮・解凍処理の負荷を軽減できる。出荷時に3倍の圧縮が設定済みなので、すぐに利用可能という。最大46ノードまで拡張でき、ユーザー容量は最大315TB。


データ活用を促進させるための施策

 このほかの施策としては、データ活用をさらに促進させるため、コンサルタントの増員を図る。また、Teradata DWHを中心とするデータ分析システムを有機的に連携させ、効率的に活用・管理する考え方である「Teradata 分析エコシステム」を発表。それを実現する主要ソフトとして「Teradata Unity」「Teradata Data Mover」「Teradata Multi-System Manager」を4月から順次発売するとした。

 Teradata 分析エコシステムは、Teradata DWHとそれを取り巻くさまざまなTeradata 分析サーバーやバックアップサーバーが各役割を生かしながら相互に補完し合い、企業の分析環境の可用性を高める考え方で、上記3つのソフトのほか、既存のTeradata 分析サーバー、Teradataデータベース、構築支援サービスなどから構成される。

 これらを導入することで、「用途別に導入されている各分析サーバーが保有するテーブルやオブジェクトを、その重要度に応じて相互にバックアップし、かつ設定に応じた更新や同期を行う」「各分析サーバーの稼働状況を常にモニタリングし、障害時にはユーザーセッションやクエリを自動制御で切り替え、別のシステムで実行させる」「バックアップされたデータは、分析負荷の分散用としても用いることができ、ワークロードの最適化とシステム全体の効率的な活用を実現する」といったことが可能になるという。


ビッグデータ対応も本格的に開始

 また、ビッグデータへの対応を本格的に開始するとした。ビッグデータ分野に向けては、大規模データ分析システムを手がけるAster Dataを2011年に買収した。Aster Dataは、構造化データと非構造化データが混在する大規模データを効率的に保存し、高速で分析するための技術を手がけていた。2012年は同社製品の国内提供を開始するという。

 こうした施策を基に、マーケットカバレッジとリーチの拡大を目指すのが、2012年の日本テラデータだ。具体的に運輸・証券ユーザーの拡大と、製薬・生損保の新規開拓を目指すとしている。

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