富士ゼロックス、SMB向けにコミュニケーション機能を無償提供するクラウドサービス「SkyDesk」
SkyDeskサービスで提供される機能一覧 |
富士ゼロックス株式会社は23日、中小規模の事業者・団体などに向け、コミュニケーション/コラボレーションを支援するパブリッククラウドサービス「SkyDeskサービス」を、同日提供すると発表した。ユーザー登録をすれば、無償で利用できる。
「SkyDeskサービス」は、コミュニケーションやコラボレーションの機能を提供する無償のクラウドサービスで、米Zohoとの協業によって提供される。具体的には、Email(メール、1GBまで)、Contacts(連絡先管理)、Calendar(スケジュール管理)、Tasks(Todo)、Chat(チャット)、Docs(資料共有、1GBまで)、Writer(簡易ワープロ)、Sheet(簡易表計算)、Show(プレゼンテーション)、Notes(メモ帳)、Links(リンク集)と、CRM(顧客管理)、Cards(名刺管理、50枚まで)の各機能が用意された。
特徴的なのは、各機能が一元的に集約されており、それらを連携して使える点。また、これらの機能はすべてSaaS型での提供となるため、インターネットに接続していれば、社内からだけではなく、モバイル環境、自宅などからの利用も可能だ。さらに、スマートフォンにも対応しており、PCがない環境でも利用できる。
加えて、複数のユーザーをグループ化し、グループウェア的にスケジュール共有や文書共有を行うことが可能。グループ設定は自由に行え、社内だけのグループ、取引先の人を入れたグループなどを設定できるようになっているので、さまざまな場面でコラボレーションやコミュニケーションを促進可能とのこと。
推奨環境は、OSがWindows 7/Vista/XP、WebブラウザがInternet Explorer 8以降、Firefox 3.6以降。スマートフォンはiPhone 4/3GSとiPad、iPod touch(第1世代を除く)のiOS 4.2.1以降に対応し、スマートフォン向けのポータル画面や専用アプリが提供されている。なお、Androidについては現在アプリが提供されておらず、今後の対応を検討するとしているが、Webブラウザからはある程度利用できるのではないかとした。
トップ画面のイメージ。中央部分では、Twitterライクなマイクロブログ機能を搭載しており、ちょっとした気付きなどをつぶやけるという。また、チャット機能も搭載している | iPhone/iPad向けのアプリも提供されており、スマートフォンからの利用が可能だ。これは名刺管理機能「Cards」の利用例。iPhoneのカメラを利用して名刺を取り込み、管理することも可能という |
新規事業準備室 室長の田中徹氏 |
新規事業準備室 室長の田中徹氏は、富士ゼロックスがこのようなクラウドサービスを始めることについて、「当社では、大手や中堅の企業に対してさまざまなサービスを提供してきたが、SOHO、小規模事業者といったところへのアプローチは十分でなかった。まずは、あまねくこのサービスを使っていただき、市場に認知してもらいたい」と述べ、認知度の向上に活用したいとの意向を示す。
また、「お客さまの声を拾いながら新たなサービスに対応していく予定で、有償メニューも選択肢の1つ」とコメント。基本機能は無償で用意しつつ、ストレージ容量、拡張機能などを有償で付加していくフリーミアムモデルでの提供も、視野にいれていくとした。
実は、企業での利用を前提にするのであれば、早急な対応が必要ではないか、と思える点が「SkyDeskサービス」にはある。上記の自由に設定できるグループとは別に、管理者が接続できるIPアドレスを制限したり、アクセス権を設定したりできるグループ“組織”も構成可能なのだが、現在提供されている無償版では、最高3名までしか“組織”には登録できないのだ。
グループウェア的にスケジュール共有や資料共有を行うのであれば、現時点でも4名以上でのグループは構成できるが、管理者がきちんと管理した状態で統制を効かせられる“組織”という機能がせっかくありながら、3名までしか登録できないのでは、ほとんど意味がないのではないか。こうした点について、ユーザーのニーズをくみ取りながら、制限を撤廃した有償版を提供していくといった展開はありえるのだろう。いずれにしても、富士ゼロックスとしては異例のサービスであり、今後の展開に期待したい。
なお同社では、「1~2年で早急に、100万アカウントを獲得したい」(田中氏)との意気込みを示している。