NEC、ネットワーク制御技術「OpenFlow」対応の次世代スイッチ「UNIVERGE PFシリーズ」


UNIVERGE PFシリーズ(プログラマブルフロー)を構成する製品。上がプログラマブルフロー・コントローラの「UNIVERGE PF6800」、下がプログラマブルフロー・スイッチの「UNIVERGE PF5240」
従来型ネットワークとの違い

 日本電気株式会社(以下、NEC)は9日、ネットワーク制御技術「OpenFlow」に対応したネットワーク機器「UNIVERGE PFシリーズ(プログラマブルフロー)」(以下、PFシリーズ)を発表した。同日より販売を開始する。

 今回採用されたOpenFlowは、米スタンフォード大学を中心としたコンソーシアムが規定している、ネットワークに関するオープンなインターフェイス仕様の総称。あて先のIPアドレスをもとにルーティング/スイッチングされる一般的なレイヤ2/3スイッチとは異なり、MACアドレス、IPアドレス、ポート番号などを組み合わせて定義される「フロー」をもとに、特定の通信トラフィックを制御する仕組みのため、各トラフィックの取り扱いポリシーに従った、最適な経路を選択して処理を行えるという。

 PFシリーズは、このOpenFlowをベースとする初めてのネットワーク機器として製品化されており、NECならではの付加価値として、OpenFlowに仮想化と可視化の機能が追加されている。最大の特徴は、従来は各スイッチに一体化されていたデータ転送機能と制御機能を、異なる製品に持たせている点。ネットワークを集中管理・制御する中心部「プログラマブルフロー・コントローラ(PFC)」と、転送機能をつかさどる「プログラマブルフロー・スイッチ(PFS)」が提供され、これを組み合わせてネットワークを構成する。

 PFCがネットワーク全体を監視し、環境の変化を検出して、最適な通信経路を判断してPFSに指示を出すため、一般のネットワークスイッチでは人手による複雑な作業が必要だった設定変更の負担を軽減できる点が強み。例えば、仮想マシンのライブマイグレーションを自動検知し、VLAN設定などを自動的に追随させられるので、サーバー仮想化環境での作業も効率的に行えるという。

 執行役員の保坂岳深氏は、「ネットワーク全体を集中管理して、設計者や運用者が容易に作業を行え、サーバーやストレージや仮想化に対応した運用をネットワークの世界へ持ち込める製品。物理的な制約を緩和し、直感的なネットワーク構成を実現できるので、運用コストを劇的に削減する」と、そのメリットを強調した。


執行役員の保坂岳深氏これまでのネットワーク通信を交通システムと車に例えば場合【左】、同じ目的地に対して、どの車も各交差点の交通標識に従って同じ道で向かっているようなもの。それに対してプログラマブルフロー【右】では、集中制御によって混雑状況や道路工事などの全体を把握しつつ、許可された車のみを最適な経路に誘導し、目的地に到着させるようなものだという

 また可視化については、PFCがネットワークの全体を集中管理・監視しているため、パケットの通信経路や状況を、パケット量、バイト数、セッション継続時間などの統計情報としてグラフィカルに見て取ることができる。さらに、可視化や仮想化などの特徴によって、実際の需要に応じた増設が可能になるので、NECでは、従来のような、将来を見越した大規模なネットワーク装置の導入が不要になるとしており、同社の試算によれば、初期導入コストを約半分に抑えられるとのこと。

 価格は、PFCの「UNIVERGE PF6800」が1000万円(税別)から、PFSの「UNIVERGE PF5240」が250万円(税別)から。

 導入対象としては、運用コスト削減など、データセンター環境における課題解決が図れることから、企業内データセンターやデータセンター事業者を想定。直販、ならびにSI事業者などを通じて積極的に販売していく考え。すでに日本通運がこの製品の採用を決めているという。

 また、他社に先駆けて製品化したこともあって、グローバルへの展開も視野に入れており、ワールドワイドで今後2年間に、200システムの販売を目指している。

管理GUIの画面。左側が論理的な構成、右側が物理的な構成となっている日本通運へ導入が決まっている
関連情報