「日本企業が再び頂点に立つお手伝いを」~アクセンチュアが戦略を説明


代表取締役社長の程近智氏

 アクセンチュア株式会社は7日、同社の成長戦略と2011年の取り組みに関する説明会を開催した。

 アクセンチュアでは現在「多極化世界」「イノベーション」「グリーン」「高齢化」の4つのトレンドに着眼したサービスに注力している。「多極化世界」に注目すると、グローバルでは消費者、才能・人材、イノベーションが高い変動性を示しており、「特に新興国の発展により、多極化世界の様相を呈している。一方で、世界へ羽ばたくすべを知らずに(一部の企業をのぞいて)内向きに縮こまっているのが日本の現状だ」(執行役員兼経営コンサルティング本部 統括本部長兼戦略グループ アジア・パシフィック統括 マネイジング・ディレクターの西村裕二氏)。

 アクセンチュアが取り組むのは、こうした日本企業を経営面から支援すること。「日本の地位低下が喧伝されるが、さまざまな意識調査からも日本はイノベーションを広く一般の人々の生活向上に活用する国として世界で認められている。加えて、世界が抱える課題(都市問題、環境問題、高齢化問題)にいち早く直面していることから、これらをクリアすれば、“課題先進国”として世界のリーダーシップをも取れる」(同氏)と、むしろ日本はチャンスの時期にあるという。

アクセンチュアが注力する4つのトレンド日本の地位低下が喧伝されるが、日本は世界に貢献している
アクセンチュアが提唱するグローバルオペレーティングモデル

 しかし、日本企業には決定的にかけているものがある――。グローバルに成長し続ける“ハイパフォーマンス企業”は、世界の多極化に対応してオペレーティングモデルを進化させてきた。「国別組織」(マルチ・ローカルモデルでの事業展開)から始まり、「地域シェアード組織」「グローバル組織」「スーパーグローバル・スーパーローカル」といった具合に、グローバル化による売り上げ・コストのシナジーを創出し、トータルで利益を最大化している。こうした仕組みを作り上げている日本企業が果たしてどれだけあるだろうか。「日本企業もこのモデルに沿って前進しなければならない」。

 そこで同社が2011年に新しく予定するのがアクセンチュアマネジメントサービス」という新サービスだ。経営を顧客とともに企画・遂行・運用・管理するもので、日本企業の新市場進出(特に新興国)、革新的な効率・効果とスピードを生むグローバルオペレーティングモデルの導入を支援し、結果へのこだわりとして、サービスフィー+成功報酬のモデルを採り入れる。

アクセンチュアマネジメントサービスの全体像

 サービスメニューとしては、海外展開・オペレーティングモデル構築の戦略立案から事業運営までを支援する「戦略」、海外における営業をリアルとバーチャル双方で支援する「営業・マーケティング」、海外の工場から小売店舗までの最適供給を実現する「サプライチェーン」、海外グループ会社の経営を可視化し、人材・教育などを通じて事業目標の達成を支援する「管理」でカテゴライズした各サービスを用意し、「戦略~オペレーション~管理をカバーし、新市場進出を全面支援することが可能」としている。加えて、グリーンや高齢化に対応した社会インフラサービスも順次企画していくという。

 多くの外資企業が日本で苦戦する中、アクセンチュアはむしろグローバルを超える、約2倍の平均成長率(GAGR)を達成。従業員数推移もグローバル(5年で約1.7倍の成長)より日本(同約1.8倍)で人材を増やしているという。多極化世界においても、アクセンチュアは日本の価値を確かな実績に昇華できている。

 「この経験、ノウハウを人材をはじめすべての資産を総動員して提供する。技術優位性を維持している日本に弱点があるとすれば、それはビジネスモデルの構築力、イノベーション期に強い一方での市場成長期での弱さにある。日本のものづくり力にアクセンチュアマネジメントサービスを組み合わせて、日本企業が再び世界の頂点を取るお手伝いをしたい」と、代表取締役社長の程近智氏は熱意を語った。

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