エクシード、クラウド型サーバーサービス「Libra」の拡張性を強化


Libraの特徴。わずか5ステップで利用開始できる

 株式会社エクシードは16日、クラウド型サーバーサービス「Libra」に5つの新機能を追加すると発表した。

 Libraは、サーバーを「量り売り」するクラウド型サーバーサービス。仮想化技術に「AppLogic」を活用し、必要なときに必要なサーバーリソースを利用できるのが特長。サーバーの作成から起動・停止・リソース変更・再起動・削除といった管理は、Webブラウザから行える。サーバーは単体で利用できるほか、複数サーバーを組み合わせて冗長化された形でも利用できる。

 今回の新機能は、拡張性と使いやすさの向上が目的。背景には、「2009年10月に提供開始したLibraは、ユーザーも増えてきたが、キャンペーンなど期間限定サイトでの一時的な用途が主。しかし最近では、ソーシャルアプリやECサイトなど本格活用ニーズが高まっており、それらに応えたかった」(取締役CTOの千葉則行氏)との考えがある。

LibraはUnitという単位で仮想マシンを構築できる。【左】は実際に利用されているUnit数分布、【右】はどれくらいの期間利用されているかを示したライフタイム分布。キャンペーンなど小さな仮想マシン、短期間でのスポット利用が多い。本格的な用途も可能な拡張性を備えるのが、今回の新機能の目的

 追加する新機能は「VMwareの採用とテンプレート追加」「VLANによるスケールアウト対応」「遠隔地・多拠点にまたがった仮想サーバー構築」「Libraサービスを構成する内部APIのオープンソース化」「ソフトウェアラインアップの拡充」――の5点。

 Libraには、仮想マシンの用途に応じたさまざまなテンプレートが用意されている。これが迅速にサービスを利用できる理由だが、従来の「AppLogic」に加えて、「VMware」による仮想マシン構築テンプレートも用意した。これにより、「AppLogicが若干苦手とするWindows対応やVLANに対応できる」(千葉氏)という。

 VMwareのサポートにより、VLAN作成も容易になった。サービスポータル上でVLANを作成し、そこに立ち上げた仮想マシンをぶら下げていくことで、物理的なネットワーク機器構成とは関係なく、複数のVLANで構成された仮想ネットワークを作り上げていける。

VPN接続に対応したことで、遠隔地をまたがった仮想サーバー環境も構築できる。「Condor」という分散処理ソフトを用いたスケールアウトにも対応する

 また、遠隔地にあるデータセンターの仮想サーバー同士のVPN接続をサポート。多拠点にまたがった仮想サーバー環境を簡単に構築できるほか、従来多大なコストが必要だった災害対策(DR)も低コスト・短期間に実現できるという。

仮想マシンを立ち上げる際にロケーションを指定ドラッグ&ドロップで操作できる。ロケーションに応じて提供されるテンプレートも異なる
代表取締役社長の鈴木義則氏

 内部APIのオープンソース化では、核となるソフトウェアを「Amakumo」として公開する。プライベートクラウドなど利用の拡大を図りたい考え。「当社はサポートサービスなどを手掛けていく」(代表取締役社長の鈴木義則氏)としている。

 最後のソフトウェアラインアップの追加では、従来、ハードウェアアプライアンスとして提供されていた、Web解析ソリューション「RTmatrix」、Webサイトの変換ソフト「ELIXIR」などの他社製品を、Libra上でソフトウェアモデルとして提供する。高価なアプライアンスを購入しなくても、月額数千円という低価格で利用できる。

 これらの新機能により、大規模な用途にも対応する考え。鈴木氏は、「Libraは特定の仮想化技術に依存しないのが特徴。今回のVMware対応以降も、KVNへの対応など進め、かつ仮想化技術の種類によって使い勝手が変わらない透過的なプラットフォームを構築していく」とコメント。

 また「IaaSは国内・国外含めて多数のサービスが提供されているが、それらと競合する気はなく、あくまで水平分業。必要に応じてパートナーと協力して、Libraのプラットフォームをほかの事業者も利用できるよう、オープン化を目指していく」とした。

 今後は、テンプレートストアも2011年度に提供する予定だ。現状、仮想マシンを立ち上げるためのテンプレートは標準的なものをエクシードが用意している形だが、ユーザーが作ったテンプレートをアップロードして共有利用できる仕組みとなる。鈴木氏は「現状、IaaSはソーシャルアプリ市場からの人気が高い」とし、育成系ゲームのテンプレートなどをテンプレートストアの例として挙げた。

 価格は、AppLogic/VMware版いずれの仮想マシンも6000円/Unitから。1UnitはCPU 0.2コア/512MBメモリあたりの単位。なお、VMware対応は2011年1月から、RTmatrix/ELIXIRなどの有料ソフトウェア提供は同年2月から、仮想マシン間のVPN接続は同年3月からを予定する。

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