リバーベッド、パブリッククラウドとの通信を高速化する「Cloud Steelhead」~Amazon EC2をサポート
クラウドストレージ高速化製品「Whitewater」も
リバーベッドテクノロジー株式会社(以下、リバーベッド)は15日、パブリッククラウド向けのWAN最適化ソリューション「Riverbed Cloud Steelhead」を発表した。パブリッククラウド内にホスティングされているアプリケーションのパフォーマンス向上を実現するという。また同時に、クラウドストレージを高速化するための「Whitewater」も同時に発表されている。
■パブリッククラウドのアプリケーションを高速化するCloud Steelhead
Cloud Steelheadの特徴 |
リバーベッドでは従来、物理/仮想アプライアンスの「Steelhead」、PC向けのソフト「Stealheadモバイルクライアント」といった製品を提供し、WAN越しの拠点間、あるいは拠点とモバイルクライアントの間、といった形でのWAN高速化を手掛けてきた。
これに対しCloud Steelheadは、パブリッククラウドと他のSteelhead製品との間を高速化するためのものだ。代表取締役社長の岡本吉光氏は、「パブリッククラウドは大きく成長するとの予測がある一方、阻害要因もあり、その2番目にはレスポンスタイムと処理速度が挙げられている」という点を指摘。その課題解決のためにCloud Steelheadを提供するとした。
Cloud Steelheadは、仮想化基盤が整備されたクラウド事業者が導入することを前提に開発されており、実際にWAN高速化を行う仮想マシンと、仮想化ハイパーバイザー上に配置されるエージェント「Steelhead Discovery Agent」を、あらかじめクラウド事業者側に導入しておく。
そして、そのクラウドサービスを利用するユーザーは、リバーベッドが提供するポータルを利用して高速化の設定を行うことで、エンドユーザー側のSteelheadとクラウドサービスの間のやりとりを高速化させることが可能になるという。また、この高速化の設定についても、Cloud Steelheadはクラウドサービス側と完全にインテグレーションされているため、最短3ステップでの容易な導入を行えるとのこと。
ポータルの画面イメージ(画面は開発中のもの) | 構成イメージ |
サービスは、まずAmazon EC2で2010年中に利用可能になる予定で、今後は対応するクラウド事業者を積極的に拡充するとした。契約期間は1カ月単位での月額課金となり、1年間の最小利用期間が設定される。なお、Cloud Steelheadのライセンス購入は、当初はリバーベッドが直接行うが、「国内では販売パートナーを経由した購入に対応するのが現実的」(マーケティングマネージャーの伊藤信氏)とするほか、クラウド事業者が自社サービスのオプションとしてOEM提供できるようにもしていく計画だ。
代表取締役社長の岡本吉光氏 | マーケティングマネージャーの伊藤信氏 |
■クラウドストレージへのアクセスを高速化するWhitewater
クラウドストレージへのバックアップ、アーカイブを高速化する |
対応するソフト、サービス |
一方のWhitewaterは、クラウドストレージへのデータ保存を高速化・最適化するための専用アプライアンスで、主にバックアップ、アーカイブへの適用を想定している。データをクラウド上に保存するクラウドストレージは、初期投資を削減できるほか、容量を自由に伸縮できることなどが評価されており、今後の市場拡大が見込まれている。ただし、「セキュリティ面に不安があるほか、活用に当たっては煩雑な設定変更やバックアップシステムの再設計などが必要になり、手軽に活用しにくいといった課題があった」(伊藤氏)という。
しかしWhitewaterでは、バックアップ対象をWhitewaterに振り替えるだけで、容易に運用可能。また、WAN高速化機能と、重複排除機能でバックアップデータを削減してからクラウドストレージへ保存する機能によって、転送するデータ量を減らし、バックアップ/リストアにかかる時間を短縮できる。セキュリティ面では、転送中、転送後の暗号化も行っており、データののぞき見を防げるとのこと。
ラインアップとしては、8TB/16TBの物理ストレージ容量を備えたハードウェアアプライアンス2製品と、最大2TBまでの物理ストレージに対応する仮想アプライアンスを用意する。参考価格は119万円9500円からで、提供は2010年中に開始される予定。
なお、当初はAmazon S3やAT&Tのストレージサービスなど、対応するクラウドストレージは限られているが、2011年上期中には、Windows Azure、Google、rackspaceなど他のクラウドサービスにも対応を拡大する。バックアップソフト側では、当初はシマンテックのNetBackup/Backup Execと日本IBMのTivoliをサポートし、こちらも2011年上期中には、他の主要ソフトをサポートしていくとしている。
リバーベッドでは、「アプリケーションとストレージでは、求められる高速化の要件が異なることから、個別の製品を用意した。これらの製品をラインアップに追加し、どこに対しても高速化を提供する『anywhere acceleration』を提供していく」(伊藤氏)考え。
岡本社長も、「新製品は、新しいコンセプトの製品だが、すべて当社の実績のある技術をベースにしており、安心してお使いいただけるものだ。他社に先駆けて提供するこれらのソリューションがパブリッククラウド市場ですでに利用可能である点が特筆できる。大きく成長の見込めるクラウド市場を、当社ではこれらの製品で開拓していきたい」と述べ、いち早くクラウド対応の高速化製品を提供することにより、リバーベッドのビジネス拡大を図る考えを示した。