リバーベッド、SSDを採用したWAN最適化アプライアンス「Steelhead 7050」

パフォーマンス管理製品「Cascade」の新版も

 リバーベッドテクノロジー株式会社(リバーベッド)は3月10日、SSDを採用したWAN最適化アプライアンスの最上位機種「Steelhead 7050」と、アプリケーションのパフォーマンス管理(分析と可視化)製品の新版「Cascade 8.4」を発表した。Cascade 8.4ではSteelheadと初統合し、最適化環境でのパフォーマンス測定を実現している。いずれも3月中旬より販売する予定。

Steelhead 7050モデルMの前面を開いた様子。28基のSSDと、ログ用のHDDを2基搭載するCascade 8.4



SSDを採用したWAN最適化アプライアンス「Steelhead 7050」

シニアテクニカルコンサルタントの寺前滋人氏

 Steelhead 7050は、WAN最適化アプライアンスの最上位機種。モデルL/Mの2種類を用意した。10Gigabit Ethernet(GbE)アダプタを最大4枚までサポート。高速にデータの読み書きと重複排除ができるSSDも採用したことで、1対1の大容量データ転送が要求されるディザスタリカバリ(DR)に最適な製品となる。

 160GBのSSDを、モデルLに最大14基、モデルMに最大28基搭載。新CPUを採用し、従来の計8コアから計16コアに拡張した。メモリもモデルLに32GB、モデルMに48GBと大容量化。10GbEアダプタと合わせて、最大10万件のTCP同時接続および最大1GbpsのWAN側スループットを提供する。

 「SSDでなければ大量のデータレプリケーションを必要とするDRの要求は満たせなかった」(シニアテクニカルコンサルタントの寺前滋人氏)というように、パフォーマンスに大きく寄与するSSDだが、問題は劣化しやすい点。キャッシュにより最適化を図るSteelheadでは、複数のディスクが故障すると性能低下を招く可能性がある。従来はRAID 10により冗長性を担保していたが、SSDの採用と併せて、今回は新たに「Fault Tolerant Datastore」なる独自の耐障害技術を実現した。

 いずれかのSSDに障害が発生すると、残りのディスクを利用してキャッシュを維持。複数のディスクが故障しても対応するほか、ホットスワップで新品のSSDに取り換えた際も、2分程度でオンライン状態になるなど復旧の速度も向上している。RAID 10の場合は30分程度必要というから、比べものにならない速さだ。

 また、Steelheadシリーズ向けOS「RiOS 6.0」に実装された「Adaptive SDR」に対応した。「これは大容量データ転送時のキーテクノロジーで、最適化中にリアルタイムにCPU/ディスク使用率やWAN帯域を確認。例えば、ディスク容量には余裕があるのにCPUが過負荷の場合に圧縮率を下げたり、それでもCPUがいっぱいの場合はメモリの処理を増やしたり、最高のパフォーマンスを実現するためにデータフローごとに細かな制御を行ってくれる」(寺前氏)という。

 価格は、モデルLが2600万円から、モデルMが3300万円から。

Steelhead 7050のスペック一覧従来通り「Interceptor」による冗長化構成にも対応他機種とのパフォーマンス比較。Steelhead 6050に対して3倍以上のDRスループットを実現している



最適化環境のパフォーマンス管理に対応した「Cascade 8.4」

 Cascadeは、ネットワーク/アプリケーションのパフォーマンスを分析・可視化するアプライアンスベースのソリューション。ネットワーク環境におけるボトルネックを把握可能にする。通常のトラフィックを自動で学習し、逸脱した場合に警告する「挙動分析」が特長で、「固定のしきい値によるパフォーマンス分析と違い、環境、状況が変わっても“何が通常の状態なのか”という視点で的確に異常を見つけ出す。これにより、MTTR(平均復旧時間)を大幅に短縮し、エンドユーザーが異常に気がつく前に対応できる」(シニアテクニカルコンサルタントの石井勝徳氏)。

 また、アプリケーションの実際の配信パスを把握する「依存関係マッピング機能」を備え、例えば、WAN使用帯域が急上昇した際に、原因のアプリケーション、稼働するサーバー、実際のユーザー名までドリルダウンできるという。

 新版では、最適化環境におけるパフォーマンス測定に対応。従来は非最適化環境でしか利用できず、最適化前にネットワーク状況を事前調査するような使い方しかなかった。Cascade 8.4では、非最適化/最適化の環境を問わずに利用可能なため、「Steelheadを導入したものの実際にどれだけの効果が出ているのか分からない」という課題を解決できるようになった。

 加えて、ユーザーエクスペリエンスの測定に対応。新オプションの仮想拠点センサー「Cascade Sensor-VE」を活用することで、ネットワーク状況の可視化だけでなく、「ファイルを開く」などのユーザー使用感についても測定が実現する。非最適化環境でしか利用できなかった前版から飛躍的な進歩だ。「Steelheadとセットで提供するなど、販売戦略として非常に幅が広がることになる」(マーケティングマネージャーの伊藤信氏)。

 Cascade 8.4には、トラフィックを監視する「Sensor」、ソースデバイスからフローデータを収集する「Gateway」、データを一括して分析する「Profiler」などのコンポーネントが存在する。環境や規模に応じて価格は大きく異なるが、最小構成価格は570万円から。参考としては、データセンター×1、リモート拠点×10でユーザー使用感の測定も行いたい場合は610万円からとなる。

問題発生をプロアクティブに検知する挙動分析問題原因のユーザーまで把握できる強力なドリルダウン機能最適化環境のパフォーマンス測定に対応





(川島 弘之)

2010/3/10 16:08