次世代BI製品「QlikView」を扱う米QlikTech、日本法人を設立

分析視点を自由に変えられる次世代BI


米QlikTech エグゼクティブ バイス プレジデント兼グローバル営業統括責任者のレス・ボニー氏

 次世代ビジネスインテリジェンス(BI)製品「QlikView」を提供する米QlikTechは9月14日、同社の日本法人としてクリックテック・ジャパン株式会社を正式に設立したことを発表した。これにともない同日、記者説明会を開催し、米QlikTechの事業概要および日本法人の今後の事業戦略などを説明した。

 米QlikTechの「QlikView」は、同社が独自開発したインメモリ連想検索技術を用いた次世代BI製品。ユーザー自身の自由な発想で画面の表やグラフなどをクリックすることで、簡単に入手したい情報を得ることができるのが特徴。また、データの構造を気にする必要がないため、新たな表やグラフを作成し、レポートをまとめることも可能となる。

 米QlikTech エグゼクティブ バイス プレジデント兼グローバル営業統括責任者のレス・ボニー氏は、「QlikViewは、急速に顧客数を伸ばしており、現在では世界100カ国以上、1万5000社以上の顧客企業で活用されている。当社の収益もここ4年間で安定的に成長しており、年平均成長率は59%に達している。昨年は、世界的な不況の影響を受けてスローダウンしたが、今年上期は回復し、前年同期比60%以上の収益成長を達成した。そして、今年7月16日にはNASDAQに株式上場を果たし、上場初値10ドルだった株価が、1カ月も経たないうちに20ドルまで高まるなど、市場から大きな関心を集めた」と、好調に「QlikView」の事業が推移していると述べた。

QlikViewの顧客数の推移米QlikTechの収益成長率

 この成長の背景についてボニー氏は、「BIのターゲット市場のうち、実際にBIソリューションを購入している割合はわずか28%と分析されている。つまり、72%もの市場が成長機会として残っているのが現状だ。この潜在市場を開拓するには、新たなアプローチが必要となる。特に従来型のBIソリューションは、導入までの期間が長く、レポート作成にも時間かかるという問題点があった。また、高度な分析を必要とするユーザーは限られており、市場開拓は難しい。これに対し、当社のQlikViewは、直感的なインターフェイスで使いやすく、複雑な分析も簡単操作でリアルタイムに結果を得ることができる。こうしたコンシューマエンタープライズのエクスペリエンスが評価され、導入企業の顧客満足度は96%に達している」と、BI市場の新たなニーズ開拓に成功し、今後もさらなる成長が見込めると強調した。

クリックテック・ジャパン代表取締役社長の垣田正昭氏

 日本市場については、現在4社のパートナー企業を通じて、流通、小売、医薬など中小企業から大手企業まで約120社への導入実績をもち、順調に業績を伸ばしているという。こうした状況の中、今回、注力市場の1つである日本市場での事業展開をさらに強化するため、日本法人を設立した。

 クリックテック・ジャパン代表取締役社長の垣田正昭氏は、「日本市場では、2009年3月の製品発表から正式にQlikViewの販売を開始した。そして、今年1月に前身のサイロジックを統合して日本支社を立ち上げ、本日、正式に日本法人の設立に至った」と、日本法人設立までの経緯を説明。「販売は、パートナー戦略を中心に展開しており、数人から2800人を超える企業まで、業種を問わず幅広い企業・組織に導入が進んでいる。最近では、導入部署拡大による追加ライセンスの販売が増加している」と、日本市場での販売状況を述べた。

QlikViewの情報系システム革命

 日本市場における「QlikView」の強みについては、「従来型の情報系システムはウォーターフォールでないと導入することができず、BIツールによる分析も、視点を変更する場合には設計からやり直す必要があった。しかし、QlikViewでは、基幹システムの詳細データをすべて取り込むだけで、直感的な操作でリアルタイム分析が可能となる。視点の変更も、ユーザー自身がExcelと同レベルの画面開発で行うことができ、巨大データの統計から明細レベルまでドリルダウンすることができる。スクラッチ開発では、こうした柔軟な分析は実現不可能であり、QlikViewは従来型の情報系システムに革命を起こせるツールだ」(垣田氏)としている。

 日本法人の今後の事業展開について垣田氏は、「まず、QlikViewの製品意義と価値を、今まで以上に強く日本市場に啓発していく必要がある。また、日本のQlikViewユーザーからの高度な要望について、本社研究開発本部との連携を強め、製品開発に生かしていく。販売面では、今後スタッフ数を拡充して強固なサポート・支援体制の確立を目指すとともに、現在4社の販売パートナー企業を1年以内に倍増し、さらなる製品普及を目指す。当社でも、日本市場の顧客ニーズをさらに把握し、業種別垂直マーケットへの展開を進めていく」との方針を示した。

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(唐沢 正和)
2010/9/14 17:37