日本HP、仮想デスクトップ環境向けのSANストレージを発表

VDI導入を容易にするリファレンス・アーキテクチャーも


VDIの構成イメージ

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は20日、仮想デスクトップ(VDI)環境を実現するSANストレージ「HP StorageWorks P4800 G2 63TB SAS BladeSystem SANソリューション(以下、P4800 VDIソリューション)」を発表した。併せて、VDI導入を容易にするためのサーバー、ストレージ、クライアントなどを組み合わせた推奨構成を提示する「HP VDIリファレンス・アーキテクチャー」も発表。デスクトップ仮想化市場への取り組みを加速する。

 P4800 VDIソリューションは、ブレードサーバーとディスクシステムを組み合わせたVDI環境専用のSANストレージ。ブレードサーバーとして「HP P4000 sb G6」、拡張ディスクシステムとして「HP StorageWorks Modular Disk System 600 JBOD(以下、MDS600 JBOD)」を2基採用している。

 ストレージ構成としては、HP P4000 sb G6内にSAN/iQ 8.5対応のストレージブレード×4台、SASスイッチ×2台、450GB SAS×140台(63TB)を搭載。ソフトウェア面では、既存ファミリー製品「HP P4000 G2 SAN」の持つ「ストレージのクラスタリング」「ネットワークRAID」「シンプロビジョニング」「スナップショット」「リモートコピー」といった先進機能をVDI環境で提供する。

P4800 VDIソリューションの概要HP P4000 G2 SANの先進機能をVDI環境でも利用可能に
エンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括 ストレージワークス事業本部 製品マーケティング本部の宮坂美樹氏

 エンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括 ストレージワークス事業本部 製品マーケティング本部の宮坂美樹氏は「HP P4000 G2 SANをVDI用に一から再構成した製品」と紹介している。

 また今回は、単にP4800 VDIソリューションをコンポーネントとして販売するだけでなく、同ソリューションを中核にした推奨VDI構成としてリファレンス・アーキテクチャーも発表。デスクトップ仮想化サーバー(HP BL465c G7)、共有ストレージ(P4800 VDIソリューション)、クライアント端末(HP ThinClient t5325)、エンクロージャー(HP c7000エンクロージャー)、仮想化およびHPハードウェア管理サーバー(HP BL465c G7)、仮想化ソフトウェアライセンスなどを含み、ワンストップによるスムーズなVDI構築を支援する。

 「既存製品を組み合わせるだけのソリューションではなく、VDI用に機能と価格の整合性が取れるテクノロジーを採用したVDIのためのソリューションで、製品構成を吟味することでコストを抑えたのが特長」(宮坂氏)。

パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部長の九嶋俊一氏

 パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部長の九嶋俊一氏によれば、「クライアント市場は、出荷額・出荷台数・出荷容量いずれをとっても、サーバー・ストレージより何倍も大きい。さらに2014年には企業内の35.1%のクライアントがVDIに移行すると予測されるなど、VDIの重要性は今後ますます高まっていく」という。

 その背景にはCPUの飛躍的な進化があり、多数のクライアント環境を集約するVDIが、以前よりも現実味を帯びてきているのが現状だ。そんな中、日本HPがこの分野で大きな価値を提供できるのは、「シンクライアントからサーバー、ストレージのほか、仮想化ISVとの密な協業により、ソフトウェアまですべてを提供できるからだ」と九嶋氏は話す。

 一方、今までVDIでは、1)コストと可用性のバランスが取れない、2)サイジングが難しく運用後の柔軟性がない、などが課題に挙げられていたが、「最適な標準機器で構成したことで低価格を実現。ネットワークRAIDなどの先進機能で可用性も備えた。またリファレンス・アーキテクチャーを提示したことで、まず標準構成で導入し、導入後に運用・設定を調整できるようになったのが、今回の発表の骨子だ」(同氏)と説明した。

 なお、リファレンス・アーキテクチャーでは、1000クライアントが標準規模。価格は1000クライアントで1億3490万円で、「1クライアントあたり13万5000円を切った」とアピール。さらに1クライアントあたり9万円に割引するキャンペーンも用意している。

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