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JR東日本、SDNを利用した「駅構内共通ネットワーク」を山手線エリア内全駅へ拡大

NECの「UNIVERGE PFシリーズ」を採用

 日本電気株式会社(NEC)は27日、東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)に、山手線エリア内の全36駅において、SDNを活用した「駅構内共通ネットワーク」を納入したと発表した。3月までに順次使用開始されており、ネットワーク機器の増強や監視機能の強化などを10月に完了する予定だ。

 東京駅をはじめ、JR東日本の大規模なターミナル駅構内では、列車運行情報をはじめとした鉄道関連情報など、多数のシステムの膨大なデータがネットワーク上を行き交っている。ただしこれまでは、システムごとに専用のネットワークを構築・運用していたため、ICTを活用した新たなシステム導入には、時間を要することが課題になっていたという。

 そこでNECは、JR東日本と共同で、システムごとのネットワークを統合。顧客のニーズに応じた新サービスを柔軟・迅速に提供可能とするインフラとして、2014年3月、SDNを用いた「駅構内共通ネットワーク」を東京駅に導入し、公衆無線LANサービスやロッカーの空き状況の情報提供など、新たなサービスの提供を開始していた。

 その後JR東日本では、東京駅での導入効果が得られたことから、山手線全駅や、中央線の山手線エリア内の各駅にも、同様のネットワークを導入した。具体的には、光ファイバーケーブルによるIPネットワークを使用して、山手線全駅と中央線の山手線エリア内の各駅をリング状に接続。高い可用性を持つ大規模・大容量ネットワークを実現。これにより、複数駅のSDNを活用した「駅構内共通ネットワーク」を一元管理できるようにしている。

 この「駅構内共通ネットワーク」では、ネットワーク全体を可視化して統合管理できるとともに、新サービスの実施や駅構内の改良工事のたびに行っていたネットワークの構築や複雑な設定変更などを、ソフトウェアを用いて集中的に実行可能。ネットワーク構築が各段に速くなり、顧客のニーズに応じた新サービスの実現など、スピーディな事業開始に貢献しているという。

 設備としては、OpenFlowに対応したNECのSDN製品「UNIVERGE PFシリーズ」を採用しており、現在、東京駅を含めた全駅合計で、SDNコントローラ20台、SDNスイッチ174台を導入した。SDNによりネットワークを仮想化することで、1つの物理ネットワーク上に、用途に応じた論理ネットワークを作れるので、例えば、各駅構内でこれまで個々に構築していた列車運行などの情報を伝送するネットワーク、ホームや改札の状況の映像を伝送するネットワークなどを「駅構内共通ネットワーク」に集約できるようになる。

石井 一志