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東芝とCiscoが協業、製造・交通・スマートシティのIoT分野で

 株式会社東芝とCisco Systemsは13日、IoT(Internet of Things)分野における協力関係構築に関して協議を開始することに合意し、覚書を締結した。両社は今後、製造、交通・運輸、スマートシティを中心とした産業分野におけるグローバルIoT市場向けにソリューション開発や事業化の可能性について検討を進めていく。

 IoTはあらゆる産業を巻き込みながら急速に発展し、昨今はモノ(Things)に加えて、人・データ・プロセスのすべてがつながるInternet of Everything(IoE)へと進展している。それにより今後ますます広範囲にわたる各種デバイスの監視や制御が可能になる一方、通信データ量の増加やリアルタイム性を実現するための処理への対応が求められる。これらの処理を効率的に行うためには、すべての処理をクラウドで実行するのではなく、デバイスに近い場所で一部の処理を行うエッジコンピューティング(Edge Computing)の重要性が高まると予想しているという。

 今回の協業で両社は、Ciscoのセキュリティ技術を含むネットワーク環境「フォグコンピューティング(Fog Computing)」の技術と、東芝グループの持つ各種デバイスの故障監視やメンテナンスなどを行うエンドポイント管理技術、デバイスから収集した情報を高速に処理するストリームコンピューティング技術、M2M(Machine to Machine)によって大量に発生する情報を蓄積するストレージ技術などを結集し、エッジコンピューティングの普及に向けた技術検証やマーケティング活動、ソリューション提供の実現性について検討する。

 東芝は、安心・安全・快適な社会である「Human Smart Community」の実現に向け、「エネルギー」「ヘルスケア」「ストレージ」分野の製品・サービスを、クラウドやビッグデータ技術で連携させ、新たな価値の創造をめざしている。今後、クラウド技術とIoT/M2M技術、エッジコンピューティング技術を融合させてさまざまなデバイス機器に適用し、製造システム、交通・運輸システム、スマートシティなどへ展開したい考え。

 Ciscoは、IoT時代の価値創造に向けた新しいネットワーキング、コンピューティング、ストレージをクラウドからエッジに展開するようフォグコンピューティングアーキテクチャを提唱し、市場の拡大を実現するため、戦略的なエコパートナーとともにCo-innovationを推進するとしている。

川島 弘之