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オムロン草津工場で“ものづくりビッグデータ分析”実証実験

製造ラインを可視化、改善点把握を6倍早く

 富士通株式会社は22日、オムロン株式会社の草津工場(滋賀県草津市)において、プリント基板表面実装ラインの品質向上および生産性改善のために、ビッグデータ分析の実証実験を開始した。

 設備や機械の動きを制御する装置であるオムロンの「Sysmac マシンオートメーションコントローラ NJシリーズ(以下、Sysmac)」と「Microsoft SQL Server」を活用し、プリント基板ラインのログを収集。個体ごとに生産実績を可視化し、製造ラインの改善を検証する。

実証実験概要図

 具体的には、プリント基板の表面実装ラインにおける「はんだ印刷機」、電子部品をプリント基板に配置する「高速マウンター」と「多機能マウンター」、はんだを溶かす「リフロー炉」の4工程のうち、リフロー炉をのぞく3工程はログから生産実績データを抽出し、製品一つ一つとひも付けて分析用DBに格納する。リフロー炉からの生産実績データは、制御に使用しているSysmacから生産実績データを分析用DBにリアルタイムで格納する。

 これらのデータに対して、富士通が開発した、プリント基板の製品情報と製造ラインの各工程ごとの実績データを個体別でひも付けるシステムや、ひも付けたデータを加工して個体別・工程別の生産実績が一目で把握できる可視化レポート機能を適用。

 さらにプリント基板の品種やロット生産単位、勤務シフト別、経過時間などのさまざまな切り口でリアルタイムに分析できるインメモリDBを構築するとともに、稼働率や生産リードタイムの結果をExcelやWebで容易に把握し、分析できる環境を整える。

可視化結果イメージ図

 すでにプロトタイプシステムの導入効果として、一目で製造ラインの動きが把握できるため、改善点の把握が容易となり、把握する時間を1/6に削減できたという。また、改善の成果を分かりやすく表現することで、工数削減のみならず、現場のモチベーション向上にもつながったとのこと。今後、これらのノウハウを基に、リアルタイムで以上を検知してラインを制御する仕組みを検証していく。

川島 弘之