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「企業を臨機応変な組織へ」、マイクロソフトがYammerの3つの利点を語る

寺田和人氏

 日本マイクロソフトは28日、東京・汐留のベルサール汐留で、エンタープライズソーシャルネットワーク「Yammer」に関するプライベートイベント「Working Social Tour Tokyo」を開催した。

 同イベントは、昨年10月のサンフランシスコでの開催を皮切りに、全世界5カ所で展開しているもの。10月のサンフランシスコ、11月のニューヨークに次いで、東京では3カ所目の開催となる。会場には、Yammerの導入を検討しているユーザー企業を含めて約450人が参加した。今年2月にはアムステルダムおよびサンパウロでも開催される。

 東京でのイベントでは、Yammer Inc.の共同設立者でCTOであるアダム・ピソーニ(Adam Pisoni)氏、製品責任者のPavan Tapadia(パバン・タパディア)氏が基調講演を行ったほか、Yammerユーザーであるシャープやマネックス証券、NTTラーニングシステムズによるパネルディスカッション、実践的な活用ノウハウを提案するブレイクアウトセッションなどが行われた。

 冒頭、日本マイクロソフト オフィスビジネス本部エンタープライズプラットフォームグループの寺田和人シニアマネージャーは、「Working Social Tourは、世界5カ所で開催し、それぞれのエリアで、エンタープライズソーシャルネットワークを活用してどうビジネスを変えるかということを提案する場になる。日本では、これからYammerを評価するというユーザーも多い。実際のデモやユーザー事例を含めて、製品に触れてもらいたい。また、今日は、我々がみなさんの声を聞かせてもらい、ノウハウやアイデアを得るといったように、さまざまなことを学びなから、Yammerを強化させていきたい」などとした。

企業の“崩壊”を回避する臨機応変な組織とは?

アダム・ピソーニCTO

 基調講演で、アダム・ピソーニCTOは、「今週に入って、すでに100通のメールを受け取った人は多いだろう。だが、手書きの手紙を1枚でも受け取った人はいないのではないか。それほどコミュニケーションの仕方が大きく変化している。さらに、ソーシャルネットワークの広がりによって、どこでもつながり、だれとでもコミュニケーションできる環境が整ってきた。個人ではこうした変化が起こってきたが、企業ではその変化を想定しておらず、追いついていないのが実態だ。必要な情報がプライベートならばすぐに見つかるのに、企業ではその情報が見つけられない状態になっている」と切り出した。

 続けて、ピソーニCTOは、「企業が崩壊することとはどういうことか」という過激な言葉を提示しながら、「崩壊」の状況を2つの観点から示す。

 ひとつは、「自分たちの価値を、別の会社が別の方法で提供しはじめたということが企業の崩壊の姿」とし、「そしてもうひとつは、顧客のスピードに会社が追いついていけない時も崩壊だ」とした。

 ジャック・ウエルチ氏の「外部の変化の速度が、内部の変化の速度を上回った場合に、終焉が近い」という言葉を用い、「いまはその状況が生まれている。変化の速度が速まるなかで、企業もその変化を確実に捉えていかなくてはならない。臨機応変な組織にならなくてはならない」などとしたほか、いまや企業においては、所定外の作業が25%にまで増えており、これが2015年には40%に増加するという調査結果に触れながら、「これからはルーチンワークの生産性をあげるのではなく、スピードをあげて臨機応変に対応することが求められる。オープンなコミュニケーションや試行、ネットワークによる作業を通じて、業務を理解し、迅速に対応することが必要だ」とした。

 では、臨機応変な組織を作るためには、どうするか。

 ピソーニCTOは、「ネットワーク」「権限委譲」「内部的な動機づけ」「コミュニティ」という観点から説明した。

 ネットワークという観点では、企業そのものがネットワーク化し、組織の壁を超えてコミュニケーションができることが重要だとし、「Yammerは、臨機応変に対応できるコミュニケーションツールである」ことを強調。また、権限委譲では、在庫管理に興味を持ったマーケティング担当者が、Yammerを通じて意見を述べ、在庫管理における改革を実現したことなどを紹介。さらに、内部的な動機づけとして、米国の食料品販売店チェーンにおいて、社員が自ら店舗のなかにビアホールを展開するというイノベーションを起こし、全米の販売店に展開。それに対してインセンティブが支払われた例を示しながら、社員がやる気を起こす環境を作ることが重要であることを訴えた。

 「ある調査では、87%の被雇用者が仕事に没頭できないという調査結果がある。仕事に没頭できないという状況を打破しなくてはならない」。そして、コミュニティという観点では、「企業は、ネットワークによって動かなくてはならない。そのネットワークのなかには、顧客やパートナーが含まれる。顧客やパートナーと新たな方法でコミュニケーションを行うことが必要だ」とした。

 ピソーニCTOは、「Yammerの技術だけでなく、どう仕事のやり方を変えるかが重要である。だが、これまで長年に渡ってやってきた手法、成功してきた振る舞いを変えるのは大変である」としながらも、「臨機応変な会社、そして、Yammerで成功した会社には共通項がある」とし、「小さく始めること、Yammerの考え方などにおいて同じ志を持つ同僚同士から取り組みを始めることが大切である」と述べた。

 最後に、ピソーニCTOは、「いまは、変化が少しずつ始まったところである。会社が顧客の変化についていっていないというのが現状であり、企業は、ネットワーク化していかなくてはならない。この変化を捕まえれば、小さな投資で、大きなリターンを得られるだろう」と、Yammerの導入が企業に大きなメリットをもたらすことを強調した。

Yammerがもたらす3つの利点

パバン・タパディア氏
Yammerの3つの特徴

 一方、製品責任者のパバン・タパディア氏は、「電話は1対1のコミュニケーションを実現し、インターネットは1対多数を実現したが、Yammerは多数対多数という新たな世界を実現するものになる」と前置きし、「Yammerでは、さらなるつながりを生むこと、障壁を取り除くこと、オフィスでのソーシャル性を高めることができるという3つの特徴がある」とした。

 つながりを生むという点では、メールとYammerとのコミュニケーションのしやすさ、プライベートコネクションとバプリックコネクションの障壁を下げることができるとして、実際にデモストレーションでこれらの機能を紹介。「どけだけ多くの人とコネクションが作れるかで価値が変わるという分析結果もある。Yammerを使っていない人でも、Outlookから閲覧でき、返事が可能になる。Yammerは、より多くの人と必要な情報をつなげることが可能になる」などとした。

 2つめは「障壁を取り除く」という点だ。

 「効率よく仕事をするための障壁はなにか。これを取り除くことが必要である」とし、モバイル環境における操作性の高さや、文化的な障壁や言葉の障壁を取り払う取り組みをあげた。ここでは、iPadやWindows Phone、Windows 8タブレット、Androidデバイスを活用した利用環境の強化について説明。ユーザー間のリアルタイムメッセージング機能である「Yammer Now」を提供する計画を明らかにし、さらにスタンプ機能も近々導入するという。これを「エンタープライズ版のLINEのようなもの」と表現した。

モバイルでの画面例
ステッカーと絵文字サポートを導入

 また、27言語に対応できるようにしており、サインアップページも翻訳し、今後もローカル化を進めていくと説明。「自分が最も使いやすい言語を使うことで、コミュニケーションをさらに強化できる」とした。

 3つめの「オフィスでのソーシャル性を深める」という点では、Office 365とのYammerとの連携について触れ、Office 365からYammerへのシングルサインオンが可能であることなどをデモストレーションしてみせた。

 タパディア氏は、「まだ我々はスタートしたばかりであり、これからももっと製品や機能を強化していきたい。具体的な機能強化として、Office 365のスイートナビゲーションを実現する。これにより、Officeアプリケーションと、Yammerの行き来が簡単にできる。さらに、SkyDrive Proとの連携、電子メールとのより深い統合にも取り組みたい」との姿勢をみせた。

(大河原 克行)