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富士通、2013年度第1四半期の連結決算は増収で赤字幅が縮小、PC/携帯電話は厳しいスタートに

富士通 取締役執行役員専務の加藤和彦氏

 富士通株式会社は30日、2013年度第1四半期(2013年4月~6月)の連結業績を発表した。

 売上高は、前年同期比4.4%増の9992億円、営業利益は前年同期から39億円改善したが228億円の赤字、経常利益は前年同期から80億円改善したが187億円の赤字。当期純利益は前年同期から35億円改善したが219億円の赤字となった。

 富士通 取締役執行役員専務の加藤和彦氏は、「第1四半期の売り上げは、PC/携帯電話を含むユビキタスソリューションの減収を為替でカバーしたことで増収となり、1兆円規模まで回復してきた。営業損益は、計画では前年割れと見ていたが、39億円の改善となった。半導体および欧州ビジネスの構造改革効果は、国内では第2四半期から、海外では第3四半期から積み上がる見込みで、当期では計画通り20億円の効果が上がっている。経常利益は、為替の好転で80億円改善した」と述べた。

 セグメント別業績では、テクノロジーソリューションの売上高が前年同期比8.0%増の6775億円、営業利益は前年同期の8億円の赤字から25億円の黒字に転換した。そのうちサービス事業は売上高が同8.0%増の5549億円、営業利益が同70.0%増の55億円。サービス事業のうち、ソリューション/SIの売上高は同7.2%増の1827億円、インフラサービスの売上高は同8.5%増の3722億円となった。

 「ソリューション/SIでは、産業、金融、公共分野で好調な受注が続いており、注残ベースも2ケタ増のペースで伸びている。計画を上回って進ちょくしている。インフラサービスは為替による増収が大きいが、厳しいスタートと見ていた計画に対しては、国内・海外とも上回っている状況」とした。

 システムプラットフォーム事業の売上高は前年同期比8.1%減の1225億円、営業利益は前年同期から11億円改善したが29億円の赤字。そのうち、システムプロダクトの売上高が同3.1%減の476億円、ネットワークプロダクトの売上高が同16.6%増の749億円。

 「システムプロダクトは、UNIXサーバーの新機種を今年から発売する予定であったが、海外向けの立ち上げが遅れたことが減収につながった。ネットワークプロダクトは、国内ビジネスが前年並みであるのに対して、海外は北米向けビジネスが計画を上回って伸長しており、大幅な増収となっている」と述べた。

 ユビキタスソリューションは、売上高が前年同期比8.0%減の2159億円、営業利益は前年同期から151億円悪化して171億円の赤字。そのうち、PCおよび携帯電話の売上高が同16.4%減の1425億円、モバイルウェアの売上高が同14.7%増の733億円となった。

 「PCについては、市場が低迷する中で前年同期比10%の売り上げダウン。携帯電話は、スマートフォンの新機種が6月投入の1機種のみにとどまり、売り上げベースで前年同期比30%の大幅ダウンと厳しい状況でのスタートとなっている。一方、モバイルウェアは、北米を中心に海外ビジネスが伸びており、計画を上回るペースで推移している」という。

 デバイスソリューションは、売上高が前年同期比11.5%増の1453億円、営業利益は、前年同期の36億円の赤字から112億円改善して76億円の黒字に転換した。そのうち、LSIの売上高は同14.5%増の776億円、電子部品は同9.1%増の684億円となった。

 「LSIは、スマートフォン向けがけん引するとともに、自動車向けも堅調に推移した。さらに、LSI、電子部品ともに為替の追い風を受けて増益となり、デバイスソリューション全体で黒字転換を達成した」としている。

 2013年度の業績見通しは、上期、通期とも年初に公表した計画から変更していない。

 「厳しいスタートとなった携帯電話だが、年間520万台の販売計画は修正しない。現在進めている品質対策と新機種の開発投資が無にならないように、第2四半期以降、秋冬モデルを含めて販売台数を伸ばしていきたい」との考えを示した。

 なお今回、同社グループの海外子会社に適用している国際財務報告基準(IFRS)の「従業員給付」の改訂にともない、2012年度第1四半期の数値を遡及修正した。販売費および一般管理費が16億円増加し、営業利益が16億円減少した。同様に経常利益や四半期純利益なども修正している。

唐沢 正和