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富士通とMIT、オンライン学習を効果的に進める学習基盤技術を開発

階層的なトピックを利用した学習コンテンツのナビゲーション

 Fujitsu Laboratories of America(Fujitsu Labs)とマサチューセッツ工科大学(MIT)は17日(米国時間)、オンライン学習を効果的に進める学習基盤技術を開発したと発表した。

 近年、インターネット上にはOER(Open Educational Resources)と呼ばれる無料の学習コンテンツや、10万人規模の生徒が一度に履修できるMOOCs(Massive Open Online Course)と呼ばれるオンライン学習コースが米国の大学を中心に次々と公開されている。こういったインターネットの特徴を生かした場所と時間を選ばない自由な学びのスタイルは「オープンエデュケーション」と呼ばれ、新しい教育の在り方として注目されているという。

 しかし、インターネット上に無数に散在するコンテンツの中から、学習者の目的に合ったものを簡単に見つけたり、学習者の理解度や嗜好に応じて最適な学習コンテンツや学習順序をシステムが提示するといったことは難しく、ICTをフルに活用したヒューマンセントリックな学習環境はまだ実現できていない。

 今回の基盤技術では、検索エンジンやeコマースサイトなどで実現されているパーソナライゼーションの機能を応用し、学習者の理解度のレベルや嗜好に応じて、最適な内容、種類、順序で学習できるよう設計。大量の学習コンテンツを階層上のトピックでまとめてナビゲートする技術を開発し、学習者にとって困難だった数十万単位の学習コンテンツのナビゲーションを実現したとする。

 また、学習者の学習行動をシミュレートする技術により、システムの提供者にとって大きな課題だった学習効果の測定を、実際の学習者を使わずにシミュレーションできるようにした。

 これらにより、学習者は従来型のキーワード検索では見つけ出せなかった学習コンテンツを簡単に見つけたり、複数のトピックに関連する学習コンテンツを利用したりすることで、より知識を深めることが可能。システムの提供者は、シミュレーションによって大規模なオンライン学習システムの中から、学習者に対して最も学習効果が得られる最適な学習コンテンツを推薦することが可能になるという。

 今後は、MOOCsの1つである「edx」プロジェクトへの導入を視野に入れながら、MITに設置されている将来の理想的な学習環境を検討する研究機関「OEIT(Office of Educational Innovation and Technology)、ODL(Office of Digital Learning)と協力して、同基盤の開発を進めていく。また、富士通の顧客である大学や企業における大規模なオンライン学習システムとして適用を進めていく方針。

(川島 弘之)