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NICTと日立、クラウド向け暗号技術の安全性評価で世界新記録を達成

 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は21日、暗号化したままデータを処理する技術である「完全準同型暗号」の安全性を支える「格子の最短ベクトル問題」の解析を行い、世界で初めて825次元という高い次元の問題を解くことに成功したと発表した。

 2009年に米IBMが発表した「完全準同型暗号」は、格子理論を利用してデータを暗号化したままさまざまな演算が可能となる技術で、これにより機密データの内容を一切知らせることなく計算作業を託すことが可能になるなど、クラウドコンピューティングなどでのセキュリティ確保に活用されることが期待されている。

 NICTと株式会社日立製作所(日立)は共同で、完全準同型暗号の安全性を支える「格子の最短ベクトル問題」の難しさを評価するため、現在知られている最も効率の良いアルゴリズムに改良を加え、パラメーターを最適化したプログラムを開発。ドイツのダルムシュタット工科大学が主催する解読コンテスト「TU Darmstadt Lattice Challenge」において、これまで1年以上更新されていなかった世界記録を更新し、825次元の格子の最短ベクトル問題を、市販の汎用サーバー(CPU:AMD Opteron 6276×4、メモリ64GB)を用いて、わずか5.5日で解くことに成功した。

 NICTでは、クラウド上での秘匿情報処理の実用化に向け、より高速な解読アルゴリズムを開発し、さらに大規模な実験により安全性を検証していくとしている。

(三柳 英樹)