米Oracleが「Solaris 11.1」を発表、クラウド機能やOracle Database向け機能を強化


米Oracle システムズ担当エグゼクティブバイスプレジデントのジョン・ファウラー氏

 米Oracleは3日(米国時間)、前バージョンから300以上の機能強化が行われたUNIX OSの新版「Oracle Solaris 11.1」を発表した。なお、前バージョンのSolaris 11に標準装備されているアップグレードツールを利用すれば、容易に新版へアップデータできるとのこと。

 Solaris 11.1は、SPARCおよびx86システムに対応するUNIX OSの最新版。米国で開催中のOracle Open World 2012の基調講演でSolaris 11.1を発表した、米Oracle システムズ担当エグゼクティブバイスプレジデントのジョン・ファウラー氏は、Solaris 11.1が、「Built for Cloud」、「Best UNIX for Oracle」、「Best Enterprise Platform」という3つの観点から機能を強化したと説明する。


Solaris 11【左】では革新的な機能がさまざま盛り込まれているが、Solaris 11.1【右】でも多くの機能強化が行われている

 OracleではSolaris 11以来、Solarisをクラウドシステムの構築に適した“クラウドOS”として位置付けているが、「Built for Cloud」は、Solaris 11.1でもこの方向性を継承することを示したものだ。

 例えば今回は、クラウド規模のデータ環境で統合名前空間を提供するオープン規格「Federated File System(FedFS)」を業界で初めてサポート。また、ネットワークリソースを最大限に活用してクラウド環境の帯域幅を管理するためにEdge Virtual Bridgingの機能する強化など、Software Defined Networks(SDN)への対応を拡張した。このほか、拡張版EthernetといえるData Center Bridging(DCB)も新たにサポートしている。

 「Solaris 11では、PaaSによるサービスを全面的に展開しているという顧客もいる。Solaris 11.1では、Built for Cloudとして、Edge Virtual Bridgingなどの機能を追加し、エンド・トゥ・エンドでのSLAを保証できるようになる。Solarisがバーチャル環境に対応したOSとして進化した」(ファウラー氏)。

 2つ目の「Best UNIX for Oracle」は、UNIXプラットフォーム上でのOracle Database利用を促進するための機能強化。具体的には、ロック管理をSolarisカーネルにオフロードすることにより、Oracle RAC(Real Application Clusters)のロック遅延を17%削減したほか、Oracle Databaseのシステムグローバル領域(SGA:Systems Global Area)の大きさをリブートせずに変更できるようになった。

 さらには、Oracle Solaris DTraceを使用することで、データベースのI/Oボトルネックの監視と把握を簡素化可能。加えて、システム監査の結果を監査ツールである「Oracle Audit Vault」に送信することにより、Oracle Databaseプラットフォーム全体において、コンプライアンスレポートの作成を簡素化する。

 最後の「Best Enterprise Platform」は、エンタープライズアプリケーションを稼働させるための強化点で、セキュリティや可用性の強化と仮想化機能の利用により、ミッション・クリティカルなアプリケーションをコスト効率の高い俊敏なクラウド環境に移行させられるとした。

 具体的には、Oracle Solaris Zoneクラスタでの高速フェイルオーバーにより、Solaris 10およびSolaris 11アプリケーションのセキュアな仮想展開が可能なほか、「Sun ZFS Storage Applianceレプリケーション」により、離れた場所にあるデータセンター間での障害復旧フェイルオーバーを実現。また「Oracle Solaris Trusted Extensions」により、クラスタ環境におけるマルチレベルのセキュリティサポートを実現するとしている。

 「Solaris 11は、Solaris 10を上回る速度で普及をしてきたが、今日、これをさらに進化させる。Solaris 11.1は、200以上の機能を強化し、何100万時間もの試験を行った。高い信頼性とセキュリティ、拡張性、パフォーマンス、フォールトマネジメントなどを維持しながら、仮想化したネットワークやライフサイクルマネジメントツールなどの新たな機能を追加したものになっている。お客さまにも成功裏に導入してもらえるだろう」(ファウラー氏)。

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