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OpenStackも取り込んだ最新版「Solaris 11.2」、オラクルが概要説明

ビル・ネシャイム氏

 日本オラクル株式会社は5月14日、「Oracle Solaris 11.2」に関する説明会を開催した。Oracle Solaris 11.2は米国では4月29日に発表されたSolarisの最新バージョンだが、現時点ではまだβ版のダウンロード提供が行われている段階で、正式リリースは2014年中の予定となっている。

 まず説明を行った米Oracle Solarisプラットフォーム・エンジニアリング担当バイスプレジデントのビル・ネシャイム氏は、2010年のOracleによるSun Microsystemsの買収を振り返り、この買収の理由を「Oracleソフトウェアのためのよりよい基盤を構築するため」だと説明した。これはつまり、Sunが長年かけて熟成させてきた商用UNIXであるSolarisはOracleにとってOracleのソフトウェアを稼働させるための優れたプラットフォームだと認識されている、ということの表明でもあるだろう。

 前バージョンとなるSolaris 11.1は2012年10月に発表されているので、約2年ごとのアップデートサイクルが維持されている形になる。同氏が示したロードマップでは、今後2015年、2016年とアップデートが予定されており、ややサイクルが早まると同時に、2016年には次期メジャーバージョンであるSolaris 12のリリースも予定されている。

Oracleが公表しているSPARCとSolarisに関するロードマップ

 同氏はまた、開発手法の変化についても紹介した。従来のOS開発ではさまざまな要素を独立に開発していたが、現在のオラクルによるSolarisの開発では、プラットフォームを中核にアプリケーション、データベース、ミドルウェア、SDN、サーバー、仮想化&クラウドとの連携、などの要素をすべて統合してシステム全体を開発する手法を採っているという。

 Solaris 11.2の特徴の中でも特に注目されるのが、OpenStackの取り込みだろう。Solaris 11.2では、OpenStackの構成要素であるHorizon(クラウド管理)、Nova(サーバー仮想化)、Neutron(クラウドネットワーク)、Cinder/Swift(クラウドストレージ)、Glance(イメージ展開)のすべてがサポートされる。

 また、Solaris Zonesによる仮想化機能の効率向上も強調された。既存のほかの仮想化技術では不可避的に発生していたオーバーヘッドを排除し、物理環境と同様のパフォーマンスで仮想化環境の実行が可能なため、仮想化の導入に伴って処理能力を増強する必要はないという。

 これらの拡張を受け、日本オラクルのシステム事業統括 プロダクト・マネジメント・オフィス 本部長の宮坂美樹氏は、Solaris 11.2を「エンタープライズの要求を満たす唯一のクラウド・プラットフォーム」と位置づけた。

宮坂美樹氏

渡邉 利和