CA、クラウドにバックアップできる「ARCserve r16シリーズ」発売


 CA Technologies(以下、CA)は8日、データ保護ソリューションの最新版「CA ARCserve r16シリーズ」を発売した。

 同シリーズは、ディスクベースのイメージバックアップ製品「CA ARCserve D2D r16(以下、D2D r16)」、マルチOSのバックアップ製品「CA ARCserve Backup r16(以下、Backup r16)」、レプリケーション製品「CA ARCserve Replication r16(以下、Replication r16)」「CA ARCserve High Availability r16(以下、HA r16)」から構成されるソリューション。


Windowsディスクベース・バックアップを実現する「D2D r16」

クラウドへのバックアップ

 D2D r16は、Windows環境向けのディスクベース・バックアップ製品。「低価格」「簡単なシステム保護」を特徴とし、WindowsのHDDを丸々イメージファイルとして保存する。「簡単なシステム保護」としては、面倒な環境設定不要ですぐに運用を始められるほか、あかじめ保存するイメージファイルの世代を設定するなど保存先のデータ管理を自動化し、差分バックアップにも対応することでディスク容量を削減する。

 新版では、「クラウドへのバックアップ」「仮想環境への対応」「集中管理」の新機能が追加された。

 「クラウドへのバックアップ」では、Amazon S3やMicrosoft Azureなどへバックアップファイルを移動/コピーできる。利用頻度に応じてファイルや拡張子ごとに移動/コピー条件を設定しておくことことも可能。従量課金のクラウドでは長期保存が必要でアクセス頻度の少ないファイルを格納するのが最適だが、条件設定により、そうした最適な運用が可能となる。

 「仮想環境への対応」では、仮想マシンにエージェントをインストールすることなく、VMwareホスト環境から仮想マシンの一括バックアップが可能に。リカバリは仮想マシン単位・ファイル単位で行える。さらに一歩進んだ機能として、サーバーからのバックアップと連動して仮想マシン上にサーバーイメージを自動スタンバイしておくことも可能。サーバーに障害が発生した際に、スタンバイ環境を即座に復旧できるため、リカバリ時間を大幅に短縮できるとしている。

 「集中管理」では、Webベースのコンソールによって、D2D r16保護対象の全てのコンピュータを一元管理できる。保護対象から外れているコンピュータにはコンソールからD2D r16を遠隔インストールし、バックアップ設定の配布が可能。今回からWindows XP/Vista/7のバックアップにも対応しており、これらクライアントOSも含めてバックアップ環境の見える化が可能となる。

 価格は8万円(税別)から。

VMwareホストベースの保護システムの自動スタンバイ



マルチOSの大規模環境向けバックアップを実現する「Backup r16」

 Backup r16は、Windows/Linux/UNIXに対応するバックアップ・リカバリ製品。ディスクバックアップ、テープバックアップに対応する。

 新版では、D2D r16同様にクラウドへのバックアップに対応した。重要なデータをクラウドに移行した後にオンプレミス領域のデータを解放することで、空き容量を確保しストレージコストを抑えられる。

 また復旧時間の短縮として、Windows Preinstallation Environment(PE)をサポートし、FDドライブを持たない環境でもネットワークを利用してシステムを迅速に復旧できるようにした。

 ARCserve r16シリーズとの連携も強化され、D2D r16でディスクに保管したバックアップデータをBackup r16でテープに長期保存することが可能に。

 価格は15万円(税別)から。


災害対策を実現する「Replication/HA r16」

 Replication/HA r16は、LAN/WANのデータレプリケーションを行う製品。例えば東京・大阪間などでマスタサーバーの環境をレプリカサイトに複製しておくことで、手間もお金も時間もかかるデータの災害対策を簡単に実現できるとしている。

 新版では、Amazon EC2をレプリカサイトとして利用可能となった。このため、少ない初期投資でSLAで保証された災害復旧サイトを構築できるという。

 マスタサイト・レプリカサイト間の通信暗号化にも対応。WANだけでなくLAN内のレプリケーションでも通信を暗号化できるため、例えば、金融機関のPCIDSS要件などにも対応する。

 価格は、Replication r16が19万8000円(税別)から、HA r16が39万8000円(同)から。

クラウド環境へのレプリケーションレプリケーション通信の暗号化



「ARCserve r16シリーズ」で目指すもの

ストレージ・ソリューション事業部長の江黒研太郎氏

 発表会では、ストレージ・ソリューション事業部長の江黒研太郎氏が販売戦略を説明。「ARCserve r16シリーズで目指すのは、物理・仮想・クラウド・オンプレミスの環境が混在するケースで、お客さまにシンプルなデータ保護を提供すること」とした。

 パートナー戦略も推進する方針で、従来のライセンス販売のほか、今回からMSP向け月額ライセンスも提供するという。

 なお、このライセンスは利用していないが、大塚商会はARCserve r16シリーズを利用し、サーバーのシステムとデータを丸ごとバックアップする「サーバ丸ごとバックアップ 500GB/250GBパック」を9月中旬より提供すると発表している。

 同パックでは、D2D r16とタンベルグデータ株式会社製HDDに、大塚商会独自のバックアップ設定をセットにしたもので、価格は500GBが42万2100円(税別)、250GBが33万9900円(同)となる。

 CAではこのほかにもパートナー支援を強化する方針で、「技術情報の充実」「共同マーケティング活動」「無償トレーニングの開催」などを順次実施していく。

 こうした施策により「国内市場ですでに1位を取っているARCserve BackupとARCserve Replication/HAに続き、ARCserve D2Dも5万ライセンス/年を売り上げてシェア1位を目指す」(同氏)とした。

新シリーズの特徴。新たにMSP向け月額ライセンスも提供パートナー支援の内容

【お詫びと訂正】
初出時、大塚商会がMSP向け月額ライセンスを利用しているとしておりましたが、同社のサービスでは別のライセンスを利用しているとのことです。お詫びして訂正いたします。

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