日本オラクル、コストを抑えた金融機関のBCP事例を紹介~MAAの優位性を強調


常務執行役員 製造・金融・通信営業統括本部長の三露正樹氏
事業停止のインパクト

 日本オラクル株式会社は23日、金融機関におけるBCP(事業継続計画)対策に関する説明会を開催した。常務執行役員 製造・金融・通信営業統括本部長の三露正樹氏は、「3月11日の震災以降、企業における事業継続性への関心が高まっている。」と話す。また日本オラクルでは、データベース、ネットワーク、サーバーを中心としたMAA(マキシマム・アベイラビリティ・アーキテクチャ)により、BCPのIT領域における高い信頼性を実現しているという。

 テクノロジー製品事業統括本部 データベースビジネス推進本部 製品推進部 シニアマネージャーの谷川信朗氏は「事業停止の金額的なインパクトは大きく、震災移行、実際にバックアップサイトを追加したいという要望や、余震の影響を考慮し、データだけでも移したいと考えている企業が増えてきている」と語る。

 このような関心の高まりに対して、BCPにはコストがかかるという現実がある。その課題に対して、日本オラクルでは「有事の対策を平時の運用に取り込むこと」と「人災を包含した観点から、対策を講じる」というという視点をプラスすることで、コストを下げつつ、高信頼性・高可用性を実現できるという。

 具体的に米Oracleでは、平常時の運用からサーバーを切り替えるという運用を行うことで、実際にトラブルが起きた際に迅速に復旧できたという。また、谷川氏は「従来のオラクルソリューションは、各国に複数の拠点があったが、それを統合することで、シンプルな構成にすることで、さらにコスト削減を実現している」と語り、データの集約と平常時からの運用にコスト削減のポイントがあるとした。

 金融機関の事例では、東京証券取引所が紹介された。東京証券取引所では、9・11のテロによってニューヨーク証券取引所が停止した事例を踏まえ、従来のプライマリサイトに加えて、セカンダリサイトの構築を検討していたという。

 この事例では、プライマリサイトはそのままに、Oracle Data Guardによるデータ同期で、セカンダリサイトを作成している。谷川氏によれば、従来のストレージミラーによるバックアップに比べて、約半分のコストで実現しているという。また、セカンダリ・サイトは検証用として使用されており、リソースを有効的に活用しているそうだ。


東京証券取引所の事業継続を支えるセカンダリサイト構築事例ストレージ・ミラーリングとの比較

 さらに楽天証券の事例では、複数のサーバーをOracle Exadataで集約し、Oracle Data Guardで同期を行っているという。ほかにも、フランスの大手銀行グループであるBNP PARIBASや、米Bank of Americaなど、大手の金融機関の事例が紹介された。


楽天証券の事例BNP PARIBASの事例

 三露氏によれば、BCPやディザスタリカバリの分野では、ソリューションの多様化やテクノロジーの進化により選択肢が増えてきているという。例えば、データベースそのものをバックアップするOracle Data Guardや、データやスキーマのみのバックアップするOracle GoldenGateなど、環境に合わせてソリューションを選択できるようになってきた。

 また、オラクルのソリューションでは、ネットワークの帯域を従来の7分の1まで抑えることができるようになったため、細い回線でもディザスタリカバリのソリューションを実現できるようになってきていると谷川氏は語る。

 日本オラクルでは今後、ストレージミラーだけでなく、さまざまなタイプのBCPやディザスタリカバリソリューションを組み合わせ、その企業の環境に合わせてソリューションを提供していく考えで、金融機関におけるデータベースソリューションについては、8月25日に開催されるプライベートイベント「オラクル金融サミット2011」でも発表されるとのこと。

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(曽我一弘=パイソンネットワークス)
2011/8/24 06:00