カスペルスキー加賀山会長「2016年までにマルウェア対策市場のリーダーに」


加賀山進代表取締役会長

 株式会社Kaspersky Labs Japan(以下、カスペルスキー)は14日、4月付けで代表取締役会長に就任した加賀山進氏が日本法人の新体制について説明し、「2016年末までにアンチマルウェア市場でリーダーになる」と宣言した。

 加賀山氏は日本IBMで27年以上にわたり、日本、米国、アジアパシフィック地域での販売、製品管理、経営管理などの役職を歴任。前職はシマンテックで経営責任者を務めていた。カスペルスキーでは2011年1月に日本市場経営責任者に任命され、4月から会長職に就任した。

 加賀山氏は入社して3カ月たった感想を「非上場ならではの大家族的な文化があり、市場の挑戦者として『失うものは何もない』という強みもある。IBMやシマンテックと大きく異なるのは、非上場ならではの長期的視点が持てること」などと振り返った。

 「大家族的な文化という意味では、今回の震災でも(創業者の)ユージンが、子供がいる東京の社員に対して、『経費を会社持ちでいいので大阪に避難させるか、モスクワに呼んではどうか』と提案していた。実際には東京からは離れなかったが、愛情を感じた。」

カスペルスキー日本法人の長期目標

100%子会社化で積極的な投資が可能に

日本法人は引き続き、製品開発から販売まで行うとともに、ホールディング化に伴い、これまで独自に進めていた研究開発やラボは本社と一体化する

 また、日本法人が3月末にモスクワ本社の100%子会社となったことも大きな追い風だ。従来は本社のナタリア・カスペルスキー会長と、設立当時の日本代表が個人名義で所有していたが、子会社化により日本法人の投資が積極的に行えるなどのメリットがあるという。

 「これまで東欧や西欧、米国などでもモスクワ本社のホールディング化が行われており、そのたびに急激な成長を遂げてきた。米国法人は7年前は現在の75分の1の売り上げとも聞いている。われわれは控えめに言って市場で7番手だが、早期にトップを狙えるはずだ。」

 日本法人は引き続き、製品開発から販売まで行うとともに、ホールディング化に伴い、これまで独自に進めていた研究開発やラボは本社と一体化する。一方、日本にも研究部門を別途設置し、修正パッチを作成できる日本人エンジニアなどを育成していく考えだ。

コンシューマー市場でブランド認知度向上

エンドユーザーからの問い合わせに直接カスペルスキーのスタッフが対応する1次サポートの部署を設置し、パートナーが製品の販売や導入に専念できる仕組みを導入する

 日本法人の収益元はコンシューマーが6割、法人が3割、OEMが1割。市場シェア拡大の手段としてはまず、コンシューマーでブランドの認知度を上げ、法人市場につなげていく。その一環として14日、Android向けセキュリティアプリを当面無料で提供すると発表した。

 コンシューマー市場では2006年、製品販売でジャストシステムと5年間の独占契約を結んでいた。2011年には独占契約を解除したことから、9月末までに他社も含めた販売インフラを整備していく。

 法人市場では、パートナーを現在の110社から250社に拡大する。具体的には、エンドユーザーからの問い合わせに直接カスペルスキーのスタッフが対応する1次サポートの部署を設置し、パートナーが製品の販売や導入に専念できる仕組みを導入する。

 このほか、6月には新オフィスへ移転し、社員を現在の約40人から年末までに70人に増やす計画だ。

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