クラウド勢い衰えず、2015年に1947億円規模に～IDC Japan

国内クラウドサービス市場 セグメント別売上額予測、2010年～2015年（出典：IDC Japan）

　IDC Japanは4日、国内クラウドサービス市場動向を発表した。2010年の国内クラウドサービス市場規模は、前年比成長率45.3％の454億円となった。さらに成長を続け、2015年には2010年比4.3倍の1947億円にのぼると予測している。ただし、東日本大震災の影響は考慮していない。

　2010年の同市場は、多くの事業者から本格的にサービスが提供された。クラウドサービスが持つ経済性と迅速性が評価され、コラボレーション（メール、グループウェア、情報共有）や、ソーシャルアプリケーションの稼働基盤としての採用が目立った。

　現在、同市場ではユーザー企業規模、業種、システム領域ごとにクラウドを選択する「クラウドの適材適所」の考え方が浸透。画一的なクラウドの定義（ビジネスモデルや技術）に固執せず、多様なクラウドのそれぞれの優位性や課題が明らかにされ始めている。IDC Japanでは「このことがクラウドが本格的に発展する重要な基礎になっている」とコメント。「クラウド」がバズワードとしての役割を終え、当然かつ必然なビジネスモデルに定着すると見ている。

　今後は本格的な発展/拡大期を迎え、2011年をピークに前年比成長率は低下しながらも高い水準を継続するという。2010年～2015年の年間平均成長率（CAGR）は33.8％で推移し、2015年の市場規模は1947億円になると予測。中でもPaaSは成長著しく、2015年には2010年比6.7倍の699億円に達すると見ている。

　クラウドサービスは、低迷する国内IT市場において、高い成長を遂げる分野。そのため、多くのベンダーがクラウド事業に注力しており、その競争は激化している。ITサービスグループ リサーチマネージャーの松本聡氏は「ベンダー淘汰（とうた）の嵐が訪れようとしている。ベンダーにとってインフラからアプリケーションまで全方位的な事業を有することは価値がある。しかし、短期的にはオープン性と低価格性を訴求したIaaSや、アプリケーション開発・運用・保守を様式化し生産性を高めたPaaSなど、1つの分野でも圧倒的な競争優位性を持つことが、生き残り・成長に重要」と分析している。