静岡県立病院機構、地域医療連携システムを4月に本稼働


ふじのくにバーチャル・メガ・ホスピタルのイメージ図

 地方独立行政法人 静岡県立病院機構は、富士通株式会社と共同で、地域医療連携システム「ふじのくにバーチャル・メガ・ホスピタル(以下、ふじのくにねっと)」を構築した。2011年2月から3中核病院(静岡県立総合病院、藤枝市立総合病院、焼津市立総合病院)と13診療所を対象に実証実験を開始し、4月から本稼働させる。

 「ふじのくにねっと」は、富士通の地域医療連携パッケージをベースに構築した、複数の中核病院・診療所が共通の電子カルテシステムを共有できるN対N型地域医療連携システム。病院-病院間、病院-診療所間で連携を図り、それぞれの機能・役割に応じて組み合わせた複数施設による一貫した医療サービスが実現する。

 急性期医療(発症まもなく症状の比較的激しい患者に一定期間集中治療を実施すること)を担う中核病院と、初期医療を担う診療所との役割分担と連携が強化されることで、医師不足やコンビニ受診(緊急性のない軽症患者が外来診療していない休日や夜間に救急外来に訪れること)による医師の業務負荷軽減、ひいては医療サービス改善に期待がかかる。

 さらに診療所から中核病院に患者を紹介する際の課題となっている紹介状・返書の作成や送付もオンラインで実施できるため、作成業務や管理業務を効率化できるほか、大規模災害時には、他地域・病院から受け入れた患者の過去の診療情報をオンデマンドで確認できるため、迅速な診療が実現するという。

 静岡県立病院機構では、地域医療システムを設置する「しずおか広域医療連携ネットワークセンター」に、全国初となる県全域をカバーする地域連携システム基盤を整備し、2016年度までに全8医療圏(病院の病床の整備を図るために地域的単位として都道府県が定める区域)にまたがる約27中核病院、約210診療機関の参加を目指す。加えて「ふじのくにねっと」のクラウド化も視野に、より利便性を高めるため、介護施設や薬局などにも連携先を広げていく予定。

 富士通は、今後も「ふじのくにねっと」を支援するほか、このノウハウを基に他都道府県における広域地域医療連携の実現を目指すとしている。

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