ソフトバンクテレコムとヴイエムウェア、ハイブリッドクラウド事業で提携

ハイブリッドクラウドサービスを7月より提供開始


提携発表会で握手する米VMware 最高経営責任者CEOのポール・マリッツ氏(左)とソフトバンクテレコム 代表取締役副社長兼COOの宮内謙氏

 ソフトバンクテレコム株式会社とヴイエムウェア株式会社は2月22日、ハイブリッドクラウド事業で提携し、ソフトバンクテレコムが日本国内初の「VMware vCloud Datacenter Services」認定サービスプロバイダとして、ハイブリッドクラウドサービスを7月より提供開始することを発表した。

 今回の提携にあたり、ソフトバンクテレコム 代表取締役副社長兼COOの宮内謙氏は、「クラウドマーケットは今後、急激に伸びることが予測されており、その中で、ユーザーアクセスが大きく変化しようとしている。すでに、コンシューマでは、スマートフォンやタブレット端末などが普及し、ユーザーは意識せずにクラウドサービスを体験し始めている。そして、このクラウド体験をエンタープライズにもたらすのが『VMware vCloud Datacenter Services』だ。従来までのプライベートクラウドでは、データセンターに自社のサーバー領域を確保して業務システムを利用していたが、『VMware vCloud Datacenter Services』が実現するハイブリッドクラウド環境では、共通の仮想クラウド基盤をベースにあらゆるアプリケーションをサービスとして使うことが可能となる」と、ハイブリッドクラウドサービスの提供によって、次世代のクラウドコンピューティングへの移行を支援していく考えを示した。

ソフトバンクテレコム 代表取締役副社長兼COOの宮内謙氏新しいクラウドサービスのビジョン

 ソフトバンクテレコムが提供するハイブリッドクラウドサービスは、ヴイエムウェアのクラウドプラットフォーム「VMware vSphere」、「VMware vCloud Director」、「VMware vShield」によって構成され、プライベートクラウドとパブリッククラウドの密接な連携を実現する。また、クラウドのセキュリティを確保するため、「VMware vShield」、レイヤ2ネットワークの分離、役割ベースのアクセスコントロール、およびLDAPの統合を備えた、安全なVMwareソフトウェアのスタックを基盤に構築されている。

ハイブリッド環境の提供

 サービスの特徴としては、企業のプライベート環境と互換性・可搬性の高いハイブリッドな環境を提供することで、企業が新たにシステムなどを開発・検証する場合の利用環境としてだけでなく、負荷の増減が激しい情報システムの環境基盤として活用できる。また、既存のITシステムおよびアプリケーションの改修を最小限度に抑えながら、負荷に合わせた柔軟なリソース管理ができるため、季節変動や予測できないビジネスの変動に対して迅速な対応ができるとともに、コスト削減に効果を発揮する。

 発表会に同席した米VMware 最高経営責任者CEOのポール・マリッツ氏は、「現在の業務システムは、稼働させるだけでコストがかかりすぎている。IT予算の70%が運用に費やされているのが実情で、新たなIT投資にほとんど予算が使えない。今後は、こうした業務システムを根本的に見直していく必要があり、その新たな基盤となるが『VMware vCloud Datacenter Services』によるハイブリッドクラウドである。ハイブリッドクラウドでは、プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方のコンピュータリソースを活用し、高度なセキュリティ環境の中で一貫したサポートを提供することで、業務システムに求められる効率性と俊敏性を実現する」と、ハイブリッドクラウドのメリットを説明。

米VMware 最高経営責任者CEOのポール・マリッツ氏柔軟な選択肢を提供するハイブリッドクラウドモデル

 「ただ、こうした新しいテクノロジーをエンタープライズ企業に導入していくためには、信頼性の高いサービスプロバイダとのパートナーシップが欠かせない。その意味で、今回のソフトバンクテレコムとの提携は、バイブリッドクラウドの市場拡大に向けて、非常に心強いパートナーを得ることができたと考えている。今後、2社の協力関係を強めながら、新たなハイブリッドクラウド時代への変化を推進していく」と、ソフトバンクテレコムとの協業ビジネスに意欲を見せた。

 なお、今回の提携にともない、ソフトバンクテレコムでは、専任のセールス・マーケティングおよび導入支援のためのエンジニアリング組織を編成し、顧客からのさまざまなニーズに対応したサポートを提供していく。また、3月からは限定した顧客を対象に早期検証プログラムを開始する予定。すでに、SGシステムと野村証券、そして大手金融機関の計3社が早期検証プログラムを利用することが決まっているという。

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