日本IBMがWebSphere事業戦略を説明、「クラウド」と「BPM」が柱

BPMソフト「WebSphere Lombardi Edition」の日本語対応版もリリース


WebSphere Lombardi Editionの特徴
画面イメージ

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は20日、ビジネスプロセス管理(BPM)ソフトの新製品「IBM WebSphere Lombardi Edition V7.2」(以下、WebSphere Lombardi Edition)を発表した。米IBMが2010年1月に買収した米Lombardi Software(以下、Lombardi)の製品で、日本語版は初めての提供になる。

 WebSphere Lombardi Editionは、プロセス改善作業を共同で行うための、統一されたBPM環境を提供するソフト。モデリング、開発、ユーザーインターフェイス、システム連携など、BPMアプリケーションの構築に必要な機能をオールインワンで備えているという。また、「設計情報が共通リポジトリに格納されるので、集中管理が可能なほか、単一のインターフェイスを採用しており、業務部門もIT部門も同じインターフェイスを用いるため、迅速な設計・開発を行える」(ソフトウェア事業 ソフトウェアマーケティング ミドルウェア&ソリューション 部長の渡辺隆氏)特徴も持つ。

 すでに、2010年から英語版の出荷が始まっているが、今回は日本語を含む13カ国語をサポートしたほか、クリティカルパス分析の機能を搭載した。また、ユーザーが多いOutlookやMicrosoft SharePointから、WebSphere Lombardi Editionで構成したアクティビティを直接実行できるオプションを新たに提供している。

 価格は、開発環境の「WebSphere Lombardi Edition-Author」が71万5000円(税別)/許可ユーザー。実行環境の「WebSphere Lombardi Edition-Server」は786万5000円(税別)/100PVU、同じく実行環境の「WebSphere Lombardi Edition-Participant」は13万5900円(税別)/許可ユーザー。

 

WebSphere事業戦略は「クラウド」と「BPM」

理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部長の伊藤久美氏
「クラウド」と「BPM」でビジネスの俊敏性を支援する

 なお日本IBMでは、新製品発表に伴い、WebSphere事業戦略の説明も行っている。理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部長の伊藤久美氏は、2011年は「クラウド」と「BPM」へ注力していくとする。

 それは、こうした要素に対する、企業側での注目度が高くなっているためだ。ITRによるCIOへの調査では、IT戦略で重要視するキーワードの中に「コスト削減」が登場してくるが、「クラウド」を有効活用することによりITリソースやコストを最適化できるようになるほか、「IT部門に求められる売り上げ増大への貢献という面でも、クラウドを利用すると、現場部門の要求に素早く応えられ、すぐに武器を与えることができる」(伊藤氏)という側面も指摘し、そのためにもクラウド製品群を強化する必要があるとする。

 その上では、「これまで、現場でちょっとクラウドを試してみる、といった使い方にとどまっていたところが、本格的にクラウドを社内に導入する流れになると、基幹システムなど、社内システムとの連携をいかに行うかが障壁になってくる」のだという。そこで日本IBMでは、SaaS/PaaSプラットフォームとオンプレミスのアプリケーションを連携させる「WebSphere Cast Iron」を、12月から出荷開始し、スムーズな連携を行えるように支援している。

 今回はこの取り組みをさらに強化するため、従来の永久ライセンスに加えて、クラウドに適した年額ライセンスでの提供を開始するほか、2月からは研修サービスも行うという。伊藤氏はこの価値について「50以上のプラットフォームに対応し、連携可能なものが多いのみならず、テンプレートが提供され、たいていのお客さまでは、連携パターンを容易に開発できる」と述べている。

 もう一方のBPMは、「ビジネスの俊敏性」を高めるために必須の要素であり、その必要性も、企業には次第に認知されてきた。しかし、「製品を導入しても投資対効果が見えにくい、またIT部門でもうまく活用できるだけの準備ができていない」(伊藤氏)といった課題があり、なかなか導入までは至っていないのだという。

WebSphere Lombardi Editionの販売方針

 今回提供を開始したWebSphere Lombardi Editionは、BPM導入を促進するための切り札的存在に位置付けられており、「BPMを簡便にできる仕組みをIT部門が提供することで、現業部門とIT部門が連携できるようにする」(伊藤氏)とのこと。また、効果が出やすいプロセスを見極めて適用を行い、短期間で効果を出すLombardiのサービスをあわせて提供。これによって、効果が確認しにくいという、これまでのBPMのデメリットの改善を図るとしている。

 日本IBMでは、IT部門のみならず、経営企画や改革プロジェクトなど、プロセス改善に直接的な役割を持つ担当者を対象にWebSphere Lombardi Editionを訴求していく考えで、サービスも重要な役割を担うことから、BPMのコンサルティングが可能なパートナーとも連携して、販売を行う考え。そのために、WebSphere事業部内に専任部隊を設置し、取り組みを進めていく。

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