米Nimbula社副社長のリザ・マレクザデ氏が来日会見

クラウドOS「Nimbula Director」の戦略など説明


米Nimbula社 マーケティング担当副社長のリザ・マレクザデ氏

 株式会社ネットワールドは12月15日、米Nimbula社 マーケティング担当副社長のリザ・マレクザデ氏からグローバル戦略などを紹介する記者説明会を開催した。

 米Nimbula社は、2006年まで米Amazonに在籍し「Amazon EC2」開発統括者としてグランドデザインを担当したクリス・ピンクハム氏と、プロダクト開発責任者を務めたウィレム・バンビリヨン氏が共同で2009年に設立。クラウドコンピューティング環境のITリソース管理を容易にするというコンセプトで開発したクラウドOS「Nimbula Director」を今年6月に発表し、グローバル市場に向けて本格的な活動を開始している。

ハイブリッド型クラウドモデル

 説明会でリザ・マレクザデ氏はまず、企業のITシステムが戦略的な転換点を迎えていることを指摘。「今、多くの企業からパブリッククラウドへの注目が集まっているが、企業内のITシステムがすべてパブリッククラウドに移行できるとは考えていない。今後、IT部門は、ビジネスユーザーに対する新たなサービス提供インフラとして、企業内の既存ITインフラおよびプライベートクラウドとパブリッククラウドを融合したハイブリッド型クラウドを採用していくだろう」との考えを示した。

 こうした市場環境の中、同社のミッションについてマレクザデ氏は、「ハイブリッド型クラウドのシステムが、企業にとって効果的に機能するように支援していくことがわれわれのミッションだ。パブリッククラウドと同等レベルの拡張性、俊敏性、柔軟性を確保しながら、企業内の既存ITインフラやプライベートクラウドの特徴であるカスタマイズ性とマネジメント性も維持できるハイブリッド型クラウドを実現していく」とし、「このミッションを具現化するソリューションこそが、新開発したクラウドOS『Nimbula Director』である」と述べた。

「Nimbula Director」の概要

 「Nimbula Director」は、パブリッククラウドとプライベートクラウドを共存し、両方のリソースを効率的に管理できる包括的なクラウド運用システム。パブリックとプライベートの両クラウドに、共通の「スケール」「自動化」「パーミッション」「ネットワーキング」を提供できることが大きな特徴となっている。「これによって、IT部門は、インフラ管理を自動化して容易に行うことが可能となり、ハードウェアの煩雑な管理に手間取ることなく、革新的なサービスに業務をフォーカスすることができる」(マレクザデ氏)としている。

 具体的には、物理ノードの自動インストールに加え、物理ノードが落ちたり不具合を生じた場合に自動修復することができる物理ノード管理機能を搭載。また、ユーザーとオブジェクトの2つの側面からパーミッション設定が行えるため、悪意もしくはヒューマンエラーを防止しながら安全なマルチテナントのハイブリッドクラウドの構築を実現する。さらに、企業内の特定ユーザー、特定オブジェクトのワークロードを、ポリシーを維持しつつパブリッククラウドに柔軟に移管・展開することが可能となる。

「Nimbula Director」のターゲット市場

 同社では、「Nimbula Director」を、主に「中~大企業」と「サービスプロバイダ」の2つの領域をターゲットに展開していく方針で、現在、大規模金融機関や大手国際独立系ISVなどにプライベートベータ版が利用されているという。12月6日からは、プライベートベータ版の結果をフィードバックしたパブリックベータ版の提供を開始しており、「今後、ワールドワイドでパブリックベータ版の利用者と協業しながら、さらにブラッシュアップを重ね、2011年前半に製品版を正式投入する」(マレクザデ氏)との計画を明らかにした。価格体系は、サブスクリプション型で、使用料ベースの課金となる予定。

 日本市場へのアプローチについてマレクザデ氏は、「日本においても、すでにパブリックベータ版の利用者から強い引き合いがきている。販売は、パートナーモデルによる展開を考えており、市場への技術導入をサポートしてもらえる強力なパートナーとの協業を進めていきたい」と述べている。

 なお、ネットワールドでは、「Nimbula Director」の製品版投入時期に合わせて、日本市場での取り扱いを検討している段階だという。

 

【お詫びと訂正】
記事初出時、講演者が共同創設者CEOのクリス・ピンクハム氏となっておりましたが、マーケティング担当リザ・マレクザデ氏の間違いでした。関係者のみなさまにご迷惑をおかけしましたことをお詫びします。
関連情報