富士ソフト、大阪市内にソリューション&クラウドセンターを開設

マイクロソフトとの協業体制をさらに強化


センターの全体の様子。秋葉原のセンターと大きさはそれほど変わらない
富士ソフト関西支社
富士ソフトの吉田實専務取締役

 富士ソフト株式会社は18日、大阪市中央区本町の同社関西支社内に、「マイクロソフトソリューション&クラウドセンター大阪」を開設すると発表。12月1日の開設に先駆け、同センターの位置付けなどについて説明した。

 富士ソフトでは、4月1日に、東京・秋葉原の富士ソフト秋葉原ビル内に同センターを開設。クラウド導入を検討しているユーザー企業など、これまでに160社以上が来場しており、今回の開設はそれに次いで2拠点目となる。

 今回のセンター開設にあわせて、今後3年以内に、富士ソフト関西支社に勤務する250人の技術者のうち、約30%にあたる70人がマイクロソフト認定資格を取得する計画も明らかにした。センターの利用目標としては、今後1年間で200社を目指す。

 マイクロソフトソリューション&クラウドセンターは、クラウドの活用を検討している企業に対して、システムの課題を明らかにするとともに、マイクロソフトの製品/サービスの導入を支援することを目的としており、セミナーや最新製品のデモンストレーション、実際の操作を通じたシステムの導入効果の体感、検証の場と位置付けている。

 富士ソフトの吉田實専務取締役は、「富士ソフトは、2010年3月18日に発表したマイクロソフトとの協業を、今後もさらに推進していく。クラウドとオンプレミスの両分野を組み合わせたハイブリッド型のシステムは今後の主流になるのは間違いない。その点ではマイクロソフトのと協業がビジネス拡大につながる。これまでは案件ごとの連携だったが、今後は全国規模での包括的な協業へと広げる。

 今回のマイクロソフトソリューション&クラウドセンター大阪は、東京でのセンター運営の成果をふまえて展開するものになる」としたほか、「富士ソフトは、大阪のほか、名古屋、広島、博多に支社を設置しているが、そのなかで大阪支社が最も売り上げ規模が小さい。これだけのマーケットポテンシャルがありながら、売り上げ規模が小さいことを打開するためにも、今回のマイクロソフトソリューション&クラウドセンターをテコにしたい。また、センターの有効活用のほか、クラウドだけにとどまらず、最適なソリューション提案をマイクロソフトと共同で行い、関西地区の企業に貢献したい」などとした。

マイクロソフトとの協業強化協業強化の意義

 マイクロソフトソリューション&クラウドセンター大阪は、大型モニターを設置し、マイクロソフトテクノロジーのエキスパートによる対話によるブリーフィングやデモンストレーションを行う「解説ゾーン」と、日常業務にあわせたシナリオに沿って、実機を操作し、ソリューションの価値や導入効果を実際に体感する「検証ゾーン」で構成。議論と実感によって導入効果を体験することで、マイクロソフト製品を活用した業務改善を提案できるのが特徴となっている。

 富士ソフト関西支社1階の88平方メートルのスペースを活用。物理サーバーが2台、体験用PCが8台、大型モニターを3台設置。そのほか、Web会議システム「Polycom CX5000」、体験型プログラム「Microsoft Solution Experience」なども設置されている。運営要員は3名。

解説ゾーン検証ゾーン

 一方、マイクロソフトでは、富士ソフトの関西支社の営業担当者、技術者の製品、テクノロジーの理解を高めるための無償トレーニングを提供。マイクロソフト大手町テクノロジーセンターで展開しているデモコンテンツや運営ノウハウを、マイクロソフトソリューション&クラウドセンター大阪に提供する。

 また、両社が共同で、マイクロソフトソリューションセミナーを、関西支社において年間12回開催する。

富士ソフト マイクロソフトソリューション&クラウドセンターの奥谷博士センター長

 富士ソフト マイクロソフトソリューション&クラウドセンターの奥谷博士センター長は、「東京・秋葉原のマイクロソフトソリューション&クラウドセンターを利用したいが、距離が遠くて利用できないという声もあった。東京での約8カ月間にわたるセンターの運営によって蓄積したノウハウを活用して、大阪では、よりスピーディーな対応が可能になる。直接触っていただくことに加えて、拠点間を連携した導入検討提案も可能になる。センター内はゆったりした環境としており、セミナー、デモンストレーション、ハンズオンという3つの観点から導入支援を提供していく」とした。

 マイクロソフトソリューション&クラウドセンターでは、名古屋以西をカバーすることになり、今後のほかのエリアへの展開は、現時点では検討していない。

 富士ソフトでは、西日本におけるマイクロソフト関連ビジネスで、2010年度に、2億5000万円の売上高を見込んでおり、2012年度には20億円規模に引き上げる計画だ。

関西クラウドビジネスの拡大に向けて活用するというセンターの活用方法
マイクロソフトのパートナービジネス営業統括本部エリアパートナービジネス本部の川原俊哉業務執行役員本部長

 マイクロソフトのパートナービジネス営業統括本部エリアパートナービジネス本部の川原俊哉業務執行役員本部長は、「マイクロソフトは、クラウドビジネスを重要な柱のひとつに位置付けている一方、ユーザー企業の間からは、既存システムとクラウドとのハイブリッド型のシステム構築を要求するケースが多く、それに対応できるパートナーが求められている。その点では関西地区における富士ソフトとの今回の協業強化は、こうしたデモンストレーションが行える拠点がないという点でも、マイクロソフトにとっても大きな意義がある。富士ソフトは、Googleのクラウドサービスのファーストパートナーだが、現在では、Googleの3倍規模の人員をマイクロソフトとの協業に割いていただいていることは心強い」などとした。

 なお、富士ソフトでは、2010年度のマイクロソフト製品関連の売上高として、全社で20億円を見込むほか、2012年度には70億円に拡大する計画を掲げている。

 吉田専務取締役は、「決して無理な数字ではない。この調子では上積みも考えていきたい」としている。

 現在、BPOSの販売パートナーとしては国内第3位の実績だという。

 さらに、同社では、マイクロソフトソリューション専門部門「MSユニット」を100人規模で設置。13種類のマイクロソフトソリューションのサービスパックメニューをラインアップするとともに、マイクロソフト認定資格保有者を2012年度には2000人体制に、マイクロソフト認定コンサルタントを2012年度までに40人育成する計画を掲げている。さらに、マイクロソフトと共同で、マイクロソフト製品およびサービスに関するセミナーを全国で年間30回開催するほか、富士ソフトおよびマイクロソフトのすべての営業拠点において、協業に関する担当者を配置することを明らかにしている。

 今回の大阪地区でのマイクロソフトソリューション&クラウドセンターの設置は、こうした両社の協業への取り組みに一環となり、今回新たに、顧客に対して、Exchange Onlineを全社導入した際のコスト削減効果や、顧客の環境にあった移行手段などを提供する「BPOS全社フォローアッププログラム」を全国で展開することも発表した。

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