シスコ、プライベートクラウドを支えるIT基盤技術を紹介

ラック型サーバー「UCS C-Series」やブレードスイッチ「Nexus 4000」など

アーキテクチャ&テクノロジ事業統括 マネージングディレクターの石本龍太郎氏
Data Center 3.0を実現するために同社が投入してきた製品群

 シスコシステムズ合同会社は10月15日、同社が提唱する次世代データセンター構想「Data Center 3.0」に関する説明会を開催。同社アーキテクチャ&テクノロジ事業統括 マネージングディレクターの石本龍太郎氏より、最新トピックなどが紹介された。

 石本氏は、Data Center 3.0のこれまでの動きを振り返り、「まず、データセンター内のネットワーク統合を実現するために、MDSやCatalystといった製品を投入。そして、昨年は、仮想化にフォーカスしたユニファイドファブリック製品であるNexus 5000を発表した。Nexus 5000では、FCoEを採用することで、FCとEthernetという2つの配線を1つにまとめることができた。今年に入ってからは、さらに進化してユニファイドコンピューティング(UCS)を春に発表した」と、IaaSやPaaS、SaaSを支えるXaaS(X as a Service)を支えるIT基盤を提供するという同社の位置づけをあらためて紹介。

 「Data Center 3.0は、統合化・仮想化・自動化というフェーズを経て、プライベートクラウドなどによるユーティリティ化、そしてそれらプライベートクラウド間を連携するインタークラウドへと進化することになる。そのときには、クラウドをベースとしたB2BやB2Cなども登場することになるだろう」(石本氏)と、企業のクラウド化により、新たなサービスモデルが登場すると述べた。

 このData Center 3.0の最新ポートフォリオとして紹介されたのが、ブレードスイッチの「Cisco Nexus 4000」と、ラックマウント型サーバーの「Cisco UCS C-Series」。

Nexus 4000
UCS C-Seriesの位置づけ

 Nexus 4000は、サーバーベンダーが提供する既存のブレードサーバー筐体で動作する10Gbeブレードスイッチ。Nexus 5000と同等の価値を提供するもので、FCoEによりI/O統合を実現できる。また、仮想マシンアクセススイッチのNexus 1000Vとシームレスな連携も行えるため、仮想化環境の強化にもつながる製品となっている。年内に発表される予定だが、どのサーバーベンダーから提供されるかどうかは現時点では不明。

 UCS C-Seriesは、ラックマウント型のサーバー。従来、UCSで提供されるサーバー部分はブレードで提供されていたが、企業で利用されるサーバーがブレードよりもラックマウント型が主流であるという判断から、選択肢のひとつとして提供される製品。拡張メモリや仮想化アダプタなど、既存のサーバーブレードで採用されている技術はそのまま提供されるという。UCSで統合管理可能な機能は2010年に提供される予定で、当初はスタンドアロンサーバーとして出荷される。

 用意されるのは、12DIMM(最大96GB)・SAS/SATA HDD×4・1Uサイズの「UCS C200 M1」、12DIMM(最大96GB)・SAS/SATA HDD×16・2Uサイズの「UCS C210 M1」、48DIMM(最大384GB)・SAS/SATA HDD×8・2Uサイズの「UCS C250 M1」。米国ではまもなく出荷される予定で、日本での出荷は来年の早い時期になるとのこと。

 「8月から出荷を開始しているUCSは、現在日本語環境での検証作業を行っており、年明けにはフルラウンチする予定。おかげさまで、100以上の案件を抱えるほど、注目を集めている」(石本氏)と、UCSへの関心の高さをアピール。「仮想化用途で検討される方が多いかとおもっていたが、実際にはプライベートクラウドを想定しての検討が多い。企業のプライベートクラウドへの関心の高さを実感している」と、既存システムが抱えるサイロ化の問題を解決するものとして、クラウドが注目されていると述べた。

 石本氏は、「シスコは、クラウド環境構築のための基盤提供と、サービス化のネタになる製品を提供している。もちろん、シスコ1社だけでなんとかするという話でもなく、パートナーエコシステムとともにお客さまのビジネスを加速していきたい」と、パートナーとの協調を重視する姿勢も示した。





(福浦 一広)

2009/10/15 14:52