「UCSは国内でも順調に展開中」、シスコが「Data Center 3.0」戦略の新製品を説明


米Cisco サーバーアクセス&仮想化テクノロジーグループ担当副社長のソニ・ジャンダニ氏。やりとりは同社のテレプレゼンスシステムを介して行われた
第2世代UCSの特徴

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は4月8日、米国で4月6日に発表されたシステムベンダー戦略「Data Center 3.0」のポートフォリオを拡充・強化に関する説明会を開催。米Cisco サーバーアクセス&仮想化テクノロジーグループ担当副社長のソニ・ジャンダニ氏が、サーバー「Cisco Unified Computing System(UCS)」の第2世代製品についてなど、その特徴を説明した。

 Ciscoでは2009年4月にUCSを発表し、データセンターでのサーバー市場に参入。その後、当初のブレードサーバーに加えてラックマウント型サーバーを追加し、ラインアップを拡充してきた。市場への展開も順調とのことで、発表後1年が経過したばかりであるが、すでに400以上の企業・団体へ導入されているという。ベンチマークについても、インテルが発表した28のうち12で1位を獲得。性能面でもアドバンテージを発揮しているとする。

 そして、今回発表された第2世代のUCSでは、2Wayモデルで最新のXeon 5600番台(開発コード名:Westmere)を採用し、さらに性能を向上させた。さらに、これも最新のXeon 7500番台(開発コード名:Nehalem-EX)を搭載する4Wayモデルをラインアップに加え、ユーザーの選択肢を増加させている。管理についても、EMC、HP、IBM、Microsoft、Symantec、CAなどサードパーティの管理ツールと統合され、企業が利用している既存環境との統合が可能。効率的な冷却と電源管理によっても実現する。

 またCiscoでは、UCSにおける大きな要素技術として、「FEX(Fabric Extender)-Link」を提供している。FEXでは、インターネットアクセスなどのデータ通信、FCoEやiSCSI、NASによるストレージアクセスなど、アクセスインフラ統合し、サーバーにつながるケーブルを削減。加えて、スイッチを論理的に拡張する装置「Fabric Extender」によって、ラック内でのサーバー接続を統合し、上位のNexus 5000へ接続する仕組みによって、配線コストの劇的な削減を実現している。

 ジャンダニ氏は、「ブレードスイッチを用いる既存の接続方法では、ケーブルを減らすことができても、さまざまなスイッチングモジュールが必要になり、ブレードサーバーに投資すればするほど、多くのブレードスイッチを管理しなくてはいけなくなる」という点を指摘。「FEX-Linkによるユニファイドファブリックでは、ブレードスイッチが必要なくなり、ケーブルの数も大きく減らせる。また、シャーシの数が増えても一元的にユニファイドファブリック上で管理できるため、CAPEX、OPEXの大幅な削減が可能だ。ケーブルの数は、6~7割削減できる」と述べ、メリットを強調した。

 今回はこうした特徴を持つFEX-Link関連製品についても拡張が行われた。それが、Fabric Extenderの新製品「Nexus 2248」「Nexus 2232」の提供で、前者は100BASE/1000BASE-Tに、後者は10Gigabit Ethernet(GbE)/FCoEに対応しており、10GbEなら384ポート、100BASE/1000BASE-Tなら576ポートまで拡張可能なスケーラビリティを提供できる。なお、Fabric Extenderは現在接続可能なNexus 5000に加え、近々Nexus 7000への接続も行えるようになる予定。2011年には、1ブレードあたり160Gbpsまで帯域が拡張される。

FEX-Linkでは、物理的な接続や管理を簡素化できる点がメリット。ケーブル本数は最大8割削減可能というFEX-Link関連の新製品

 Ciscoでは、こうした強みを持つUCSを展開するにあたって、ベンダーとの協業を重視。「当社がベストプラクティスを特定し、さまざまなアプリケーションベンダーと協業することで、さまざまなテストや認定の取り組みをしている」(ジャンダニ氏)というように、1万5000以上のアプリケーションが認定されており、UCS上で動作可能。このほか、OSやストレージ、仮想化、データベース/ミドルウェアなどのベンダーと広く協業し、特定業種向けのソリューション提供も行っているとした。

シスコ 専務執行役員 アーキテクチャ&テクノロジー事業統括の石本龍太郎氏

 なお、シスコ 専務執行役員 アーキテクチャ&テクノロジー事業統括の石本龍太郎氏によれば、近畿大学の事例を公開したこともあって、国内についても非常に問い合わせが増えているとのこと。近畿大学では、新設する総合社会学部のシステムとしてUCSを導入し、VDI(仮想デスクトップ・インフラストラクチャ)によって柔軟なPC環境の入れ替えを実現しているが、「これを受けて、非常に多くの大学から問い合わせや引き合いをいただいている。あわせてVDIについては金融機関からも問い合わせがあり、波及効果が大きい事例だった」(石本氏)という。

 また、搭載メモリ量の多さ、内部バスの帯域の広さなどを活用した、画像・映像系の案件でも引き合いがあるそうで、仮想環境のみならず、物理環境においてもUCSの性能の高さが評価されていると強調。「昨年からの販売で、製造、学術、金融などに分類される産業カテゴリすべてにインストールベースが入った状況。引き続きデータセンター部門に大きく投資していくし、これからも新しい製品を活用し、積極的に販売をドライブしていきたい」(石本氏)と述べた。

 製品は、日本でもほぼ米国と同様のタイミングで提供される見通しで、ジャンダニ氏によれば、「Nexus 2248」「Nexus 2232」が4月中、4Wayサーバーの「B440 M1」「C460 M1」は2010年夏の提供を予定。2Wayサーバーの「B200 M2シリーズ」「C200 M2シリーズ」などは、もう間もなく提供が開始されるとのことである。




(石井 一志)

2010/4/8 16:26