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データのスピードが価値に直結する時代に――、アクティフィオがコピーデータ管理で実現する“早さとシンプルさ”
2017年10月5日 06:00
コピーデータ管理ソリューションのActifioは、セミナーイベント「atifio LIVE Tokyo」を9月21日に開催した。
日本法人であるアクティフィオジャパン株式会社(アクティフィオ)の勝俣正起社長は、「これまでは、バックアップやディザスタリカバリ(DR)での利用が中心だったが、この1年から半年ぐらいはデータの利活用の分野が伸びている。データのスピードが価値に直結するようになった」と語った。
ガートナーから最高評価を獲得
米Actifioの共同創業者であり製品開発担当副社長のデイヴィッド・チャン氏の講演では、まず、ガートナーによる各社のバックアップソリューションの比較において、Actifioが総合で最高評価を獲得したことが紹介された。
機能別分野でも、オンプレミス環境の仮想マシン、パブリックIaaSの統合、オンプレミス環境のデータベースとアプリケーション、ユーザーによるセルフサービスの4部門で最高評価を得たという。
さてチャン氏は、「データベースやアプリケーションは肥大化している」と、現状のIT環境に関する課題を示す。そのためにバックアップするための時間も増え、毎日バックアップするためのウィンドウ(時間枠)におさまらなくなってきているという。
さらに、バックアップデータが増大しているということは、問題があったときにリカバリする時間も増える。「しかしActifioでは、100TB以上などの大きなデータセットでも、数分以内に復旧できる」とチャン氏はActifioの強みを述べた。
仮想マシンについても、「ここ10年ほど伸びている。ガートナーから高い評価を得ていたのは偶然ではなく、早くからActifioが取り組んできたからだ」とチャン氏。
パブリックIaaSでも「2016年には、90%のPoC(検証)がパブリッククラウドとの統合だった。実際にパブリッククラウドにデプロイすることは少ないが、将来の機能を見据えてハイブリッドクラウド対応しているものが採用される」とした。
最後の、ユーザーによるセルフサービスについては、当初はバックアップソリューションからスタートしたが、自分たちで即時にコピーやリストアできることから、開発グループがテスト用として即時にデータコピーする用途へと発展してきたと紹介した。
「これはクラウドにも応用できる」とチャン氏。本番環境での事例として、VMwareのプライベートクラウドでの事例や、AWSでの事例、IBM Bluemixでの事例などがあると語られた。
バージョン8.0の新機能を紹介
ここでチャン氏は「間もなくリリースされる」としてバージョン8.0の新機能から主な3つを紹介した(編集注:米国では10月2日に発表されました)。
1つめは、クラウドなどのオブジェクトストレージへの増分保存機能。従来はフルバックアップだったが、増分で更新できるようになったため、毎日バックアップできるようになったという。さらに、増分で保存したデータをマウントして即時アクセスできるようになり、「毎日増分で保存したデータを、5年後でもマウントしてリカバリできる」とチャン氏は言う。
2つめは、P2V(物理サーバーから仮想サーバーへ)とV2V(仮想サーバーから仮想サーバーへ)のシステム状態キャプチャリングだ。完全に自動化し、ドライバーなどの変換も行う。これにより、データセンターからクラウドへのデータの移行を簡単にするという。
3つめは、カタログインデックス機能。バックアップしたさまざまなバージョンを検索し、どのホストからいつ来たデータかなどの情報も含めて表示する。「Amazonでカートに入れるように、recovery basketに入れてリストアできる」と、チャン氏はメリットを説明した。
データコピーを効率化した事例
米ActifioのCMO(Chief Marketing Officer)、ブライアン・リーガン氏の講演では、ユーザー企業事例が紹介された。
リーガン氏は「Actifioの顧客企業はすべての業界を網羅している」と話し、その中での共通項として「規制の厳しい業界」「デジタルトランスフォーメーションを起こしたい企業」「組織として大量のデータがあり複雑さを解決したい」を挙げた。
1つめの採用例は、語学ソフトウェアのRosetta Stone。かつてはCDやDVDで製品を販売していたが、SaaSビジネスに移行し、さらにワークロードを最適なクラウドに移すのにActifioを活用したという。
2つめの採用はゴミ収集企業のWaste Industries。現在ではIoTを利用する企業となり、車両の情報や気象情報、渋滞情報などのデータを活用しており、Actifioを活用しているという。
3つめの採用例は、ノルウェーのクラウドサービス企業でありInitility。Data as a Serviceのサービスを顧客に提供するのにあたり、SLAを守るためにActifioを採用したという。
ここでリーガン氏は、Actifioソリューションの利用形態として、ソフトウェアのみ、サーバーアプライアンス、クラウドアプライアンス、MSPのSaaSの4種類を紹介し、さまざまな方法で利用できると説明した。そして、アプリケーション企業やクラウド企業、インフラ製品企業との幅広いエコシステムをActifioの強みとして語った。
続いてActifio導入によるインパクトとして、「世界最大の銀行のうち1社」(リーガン氏)の事例が数値とともに語られた。開発環境は本番データの6.5倍を消費するうえ、6カ所あるためその6倍の容量が必要。ストレージ容量が増大するのも問題だが、最大30~40時間かけて、仮想マシンをプロビジョニングする必要があったという。
これに対しActifioの導入後は、データ量を本番データの6.5倍に抑えられたとのこと。さらに効果があったのは時間の削減で、仮想マシンのプロビジョニングが3時間になったという。しかも、ポータルからセルフサービスでの利用が可能になった。
もう1つの事例はカナダの金融機関だ。データが肥大化し、バックアップが毎日のウィンドウ(時間枠)におさまらないため、毎日バックアップがとれずリスクとなっていた。また、テストにはオフサイトに保存したテープを物理的に持ってくるところから始まり、数週間かかっていたという。
しかしActifioを導入することで、毎日すべてのアプリケーションでバックアップできるようになった。また劇的にインフラの集約ができ、コスト的でも運用面でもインパクトがあったとのことだ。
「数十年前のバックアップ技術」にイノベーションを起こす
クラウド Watchではさらに、講演を終えたデイヴィッド・チャン氏とブライアン・リーガン氏に話を聞いた。
――あらためてActifioの会社とソリューションを紹介してください。
リーガン氏:
2009年に創業したソフトウェア企業です。37カ国で事業を展開し、約2700社の顧客がさまざまな業界にいます。われわれのソリューションは「データの仮想化」と呼んでいます。創業当時、ITの各スタックが仮想化に成功していましたが、最も大事なデータのレイヤーが仮想化できていなかったのが創業の狙いです。
会社は年平均80%と、非常に早く成長しています。ビジネスは、チャネルパートナーやサービスプロバイダーパートナー経由です。例えば日本ではネットワールドがチャネルパートナーですし、サービスプロバイダーにもさまざまな企業がついています。
顧客は、本番環境で数十TBといったのデータを持っている中~大規模の企業です。主要なユースケースはバックアップです。アナリストによると、米国でバックアップ市場は60~70億ドルと言われており、年々5~10%ほど増大しています。
ただし、バックアップ市場は数十年前から存在し、技術も数十年前に作られていたものが脈々と続いています。そのころはデータは小さく、1カ所の物理サーバーに収まっていました。
それに対して現在は、データ量は大きく、さらにどんどん増大しています。データはさまざまな場所に散在し、サーバーも仮想化されています。われわれは、数十年前のニーズにあわせた技術は今のデータには不十分だと考えており、Actifioがイノベーションを起こしていると思っています。
チャン氏:
われわれの優位性は、データを取り込んでも変換なしにネイティブなフォーマットを保つことです。OracleのデータベースやVMwareのVM、Windowsのファイルとしてそのまま利用できます。数十年前のバックアップ技術では、本番情報のフォーマットとバックアップのテープのフォーマットにはっきり分かれていました。現在ではディスクにバックアップすることが多いのですが、あいかわらずレガシーなテープのフォーマットに変換しています。
データが少ないときにはそれでもいいのですが、今データのサイズがどんどん肥大して、1つのアプリケーションのデータが10TBや100TBになったりします。変換して処理していたら、バックアップ時間が足りません。
Actifioでは変換が必要ないダイナミックなデータとしてバックアップします。そして、10TB級のデータでも、データ障害があったときに数分で修復できます。レガシーなバックアップ/リストアの手法では数時間かかるでしょう。
リーガン氏:
われわれが顧客に提供するもののうち、最も大事なのは時間です。リカバリ時間のダウンタイムが長くなると、収益も顧客満足度も失ってしまいます。
さらに、開発者やテスト担当者のデータコピーの時間を短縮してもいます。ある欧州のお客さまは、Actifioを導入して「1年の開発時間が1四半期ぶんも増えた」と言ってくれました。
チャン氏:
もうひとつ、どのクラウドのインフラでも使えるというのも、われわれの特徴です。企業には今、アプリケーションを開発して使ってもらう方法に幅広い選択肢があります。それぞれの選択肢にはメリットとリスクがあります。そこでActifioが貢献できるのは、アプリケーションを開発しなおすことなく、顧客がビジネスのコストや場所、能力を最適化できるということです。それがActifioの「Enterprise Data as a Service」の考えです。
リーガン氏:
1つの例がオブジェクトストレージです。現行版でもオブジェクトストレージを使えますが、今度発表するバージョン8.0では格段に強化されています。まず1つめは増分更新で、これまでは毎回フルバックアップでしたが、増分バックアップになって毎日オブジェクトストレージにバックアップがとれるようになりました。
2つめは、オブジェクトストレージのイメージとActifioのドメインを分離したことです。DRやテスト、データ分析では、別のところからアクセスすることがあります。そこで、分離して自由にアクセスできるようにしました。
チャン氏:
8.0のオブジェクトストレージの強化点として、もうひとつ、プラットフォームの拡大があります。これまでもメジャーなパブリッククラウドのオブジェクトストレージをサポートしていましたが、オンプレミスのメジャーなオブジェクトストレージをサポートしました。
そのほか、8.0ではハイパースケールでもカタログから検索できる機能が設けられました。いろいろ強化されており、「8.0は世界8不思議」といえます(笑)。
――講演でも、検索機能のユーザーインターフェイスを紹介していましたね。これは顧客の要望による機能でしょうか?
チャン氏:
そのとおりです。私は顧客を訪問して話を聞くことに80%の時間を使っています。検索機能はその中で聞いた話の一つであり、非常に要求が高かった機能です。日本の顧客からの声もありました。
リーガン氏:
つけ加えると、われわれの解決策は、常に将来を見据えたものを考えている点です。われわれの顧客は大規模なものが多いので、ちょっと検索できるだけでなく、ハイパースケールでも検索できる必要があります。
――Actifioのソリューションを導入する目的として、大きく分けて、バックアップと、テスト環境やクラウドなどへのデータのポータビリティの2種類があると思います。どちらのニーズが多いのでしょうか。
リーガン氏:
現在では、テストデータ管理に着目する顧客がどんどん増えていて、50%ほどがテストデータ管理をなんとかしたいというものです。ただし、それはごく最近の話で、3年前はテストデータ管理は20%弱ぐらいです。
クラウドへのモビリティも同じような傾向があります。現在は全体の10%程度ですが、今後数年で最初の導入目的がクラウドのモビリティになると考えています。
――最後に、読者に一言お願いします
リーガン氏:
Actifioは、約2700社の顧客を抱え、クリティカルなニーズに応えられる会社になっています。企業のデータ管理については、それぞれ抱えている課題も違うと思いますので、Actifioにご相談ください。
チャン氏:
同感です。さまざまな顧客とおつきあいし、高い価値を届けていると思います。日本からの声は、われわれにとっても重要です。