ニュース

NTT、「匿名加工情報」の作成を支援するソフトウェアを開発

 日本電信電話株式会社(以下、NTT)は11日、パーソナルデータの特性や利用目的に応じた有用な匿名加工情報の作成を支援するソフトウェアを開発したと発表した。

 今回、NTT研究所で開発したソフトウェアは、これまで蓄積した技術と知見をもとに、NTT独自技法などを含む豊富な加工技法や評価技法を実装。データ保有者が加工と評価を繰り返しながら、匿名性を維持しつつ、有用な匿名加工情報を作成するために必要な環境を実現する。

 また、匿名化においては一般に、加工前の個人情報の件数が多い方が高い有用性を保ちやすい傾向があるため、ソフトウェアでは消費メモリ量を抑える独自方式により高速化とデータ量増加への対応を行い、件数が多い個人情報であっても市販のパソコンレベルの計算機で、加工と評価の試行錯誤をスムーズに行えるようにしているという。

 ソフトウェアは、個人情報保護法ガイドライン(匿名加工情報編)に規定されているすべての匿名化技法を含む、現在有用とされている既存の匿名化技法を網羅する。さらに、ランダム化の匿名加工を可能にするNTT独自の匿名化技法(Pk-匿名化)を備え、データ保有者は、これらの加工技法を組み合わせることにより、施行規則に示される規則に対応するとともに、自らの目的にあった匿名加工を実施しやすくする。

 NTTでは、要望に応じた匿名加工情報を作成するためには、データ加工後に、意図する匿名化が施されているか、また望む有用性が確保されているかの評価を適切に行い、その結果に応じて再度加工を実施し、加工の度合いを調整する必要があると説明。しかし、評価技法やその実装方法は数多く提案され、学術レベルの議論が継続している段階で、国や業界でも明確な指標が示されていないのが現状であり、特に有用性を評価する評価技法はデータの特性や利用目的に応じて多岐に渡り、技法の選定自体にスキルを要するとしている。

 ソフトウェアでは、プライバシーワークショップの運営・参加や、有識者との事例検証などを通じて得られた知見に基づき、匿名加工に有用と考えられる評価技法を選定し、実装している。データ保有者は、これらの厳選された評価技法を用いることで、加工データの匿名性や有用性を評価しやすくなると説明。また、加工データを評価後、データの一部にさらに加工を施すといった、加工と評価の繰り返しを支援する機能を用いることで、データ保有者は加工と評価の試行錯誤をしやすくなるとしている。

 NTTグループでは、パーソナルデータ利活用を検討している顧客と、今回開発したソフトウェアを活用したデータ加工トライアルや、匿名加工情報の作成に関する相談に対する技術コンサルティングなどを通じて、ソフトウェアの実用性を評価しながら、商用品質向上や機能のさらなるブラッシュアップをはかっていくとしている。