ニュース

国内企業のIoT利用率は6%、組立製造、運輸/運輸サービス、公共/公益の大手企業を中心に利用率は継続的に向上~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は6日、国内IoT市場の企業ユーザー動向調査結果を発表した。国内企業のIoT利用率は6.0%で、組立製造、運輸/運輸サービス、公共/公益の大手企業を中心に、IoTの利用率は継続的に向上しているという。

 IDC Japanでは、2017年6月~7月にかけて、全国の従業員規模100人以上の企業を対象にした、IoTの利用動向に関する定量調査(ウェブアンケート)および定性調査(個別の対面インタビュー)を実施した。

2017年の「IoT利用企業」の割合(2016年、2015年との比較)(出典:IDC Japan)

 ウェブアンケートで「IoTを利用している」と回答した企業のうち、アンケートの自由記述欄に記載された、IoTの具体的な利用内容が、IDC Japanの定義するIoTと合致している企業を「IoT利用企業」と定義。ウェブアンケートに対して回答があった3941社のうち、IoT利用企業は235社で、利用率は6.0%と前年の調査から0.6ポイント増えた。組立製造、運輸/運輸サービス、公共/公益といった産業分野の大手企業を中心に、IoTの利用率は着実に向上しており、いずれの産業分野でもIoTに対する認知度は高まっているという。

 IoT利用企業の産業分野を4つのセクターに分類すると、IoTの利用率が最も高いのは製造/資源セクターの9.1%で、組立製造の企業を中心に、製造プロセスにおける製品品質の向上や製造アセットの故障検知など、工場内においてさまざまな用途でIoTを活用していると説明。また、自社工場内で培ったIoTに関する経験やノウハウを活用し、社外顧客向けにIoTを活用したサービスを提供する事例も登場し始めているという。

 製造/資源セクター以外のIoT利用率は、流通/サービスセクターが4.1%、公共/インフラセクターが3.9%、金融セクターが4.8%。利用用途別では、社内業務プロセスの合理化を目的とした「社内用途」で利用するケースが8割以上を占めた。一方で、IoTを顧客向けの製品/サービスの付加価値創出や新たなビジネスに役立てる「社外用途」で利用する企業も、一部では広がっているとしている。

 また、IoTの導入/運用窓口については、事業部門の割合(約40%)がIT部門の割合(約31%)を上回る結果になった。事業部門が主体となってIoTビジネスを加速するのに伴い、産業分野別に強みを持つ「IT以外の特定業種事業者」や「制御系システム/FA事業者」が中心となり、企業にIoTソリューションを提供するケースが増える傾向にあると分析している。

 IDC Japanコミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの鳥巣悠太氏は、「社内用途でIoTを利用する企業は、人材不足、先進技術への対応の遅れ、費用対効果の明確化の難しさを課題として認識している。また社外用途の企業では、他産業の企業とのパートナリング拡大、新たな収益モデルの確立、顧客の隠れたニーズの掘り下げに重要性を感じている」と述べている。