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大塚商会の2016年度決算、営業部主導体制で7期連続増収増益を実現

 株式会社大塚商会は、2016年12月期(2016年1月1日~12月31日)の連結決算を発表した。売上高は前年比5.6%増の6434億1700万円、営業利益は同6.4%増の396億8400万円、経常利益は同6.6%増の407億8000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同12.5%増の266億7500万円となった。

2016年12月期決算の概要

 セグメント別売上高は、システムインテグレーション事業が前年比6.6%増の3763億9100万円、サービス&サポート事業が同4.4%増の2666億2500万円、その他の事業が同3.9%増の4億円。

売上高、利益の状況
セグメント別売上高

 代表取締役社長である大塚裕司氏は、「7期連続の増収増益となったが、計画に対しては2年連続で未達となった。ここ2年、計画未達が続いている」と説明した。

代表取締役社長の大塚裕司氏

2017年12月期は売上高4.3%増を目指す、計画達成に強い意欲

 2017年12月期の予想としては、売上高は前年比4.3%増の6710億円、営業利益は同3.3%増の410億円、経常利益は同2.0%増の416億円、親会社に帰属する当期純利益は同2.3%増の272億8000万円、1株あたりの当期純利益は287.76円。「2期連続で計画未達であることを重く受け止め、計画達成を実現する」と計画達成に強い意欲を見せた。

売上高、利益の計画
セグメント別売上高計画

 大塚氏は今期の決算結果が7期連続で増収増益と好調であるものの、「連結では売上高、純利益、単体では純利益があと一歩というところで計画未達となった。第2四半期の遅れを取り戻すことができず、大変残念な結果となった」と業績的には順調であるものの、厳しい見方を示した。

 その一方で、「2015年度は微増収、微増益で首の皮一枚つながって増収増益となった。その時点と比較すると、大塚商会らしい売上、利益となってきた」と計画には届かなかったものの、売上、利益は順調に伸張しているとも言及した。

単体でも増収増益、“あるべき姿を取り戻した”

 単体では、売上高は前年比4.4%増の5841億3800万円、営業利益は同7.2%増の361億900万円、経常利益は同7.5%増の374億1100万円、当期純利益は同14.5%増の247億7600万円。

 単体詳細セグメント別売上高は、システムインテグレーション事業のSI関連商品が前年比4.6%増の2824億円、受託ソフト等が同2.1%増の382億2100万円、サービス&サポート事業のサプライが同4.4%増の1358億4100万円、保守等が同4.5%増の1276億7500万円。

 「ストックビジネスが堅調で、SI事業が引き続き伸びてきている。ほぼあるべき姿を取り戻した」と単体でもビジネスが好転していると説明した。

詳細セグメント別売上高の推移

 その要因となっているのが、2016年8月に変更した地域営業を主軸とした体制。同社では各地域営業部と、本部にあるコピー機、システム、通信、CADといった商品部門が縦横のマトリックス運営の体制をとっている。「7月までは商品部門が戦略を決めていたが、答えは現場にある。地域ごとにニーズは異なる。各地域の営業部長が地域の社長となって、地域ごとに戦略を立てて動く体制に変更したところ、営業現場が活気づくようになった。期待しているような大物を獲得するのはこれからだが、当社の本来の強さである現場主導の営業体制が功を奏している」と地域主導の体制が業績が伸びている要因だと説明した。

本部主導から現場主導の営業体制へ

 重点戦略事業の状況は、たのめーるが前年比5.0%増の1460億4600万円、SMILEが同6.7%減の97億7400万円、ODS21(大塚ドキュメントソリューション)が同12.0%増の517億4600万円、OSM(大塚セキュリティマネージメント)が同13.5%増の679億3700万円。

 SMILEが売上減となっているが、「マイナス幅は小さくなっている。一部、Windows XP特需の際、ハードだけでなくSMILEも入れ替えを進めた結果、需要を先取りしてしまったところがある。また、ランサムウェア被害の影響で顧客管理などを見直すお客さまが多く、SMILEの顧客管理導入も増えた。顧客管理は会計等に比べると単価が低くなるため、売上が伸び悩んだ側面もあった」という。

重点戦略事業の状況

 複写機は7.7%増の4万4583台、うちカラー複写機が9.6%増の4万2060台、サーバーが12.7%減の3万2917台、パソコンは7.4%増の85万4876台、タブレットが4.2%減の4万9517台。

 「パソコンは多少価格勝負となるところはあったが、2016年度は正常な売り方になっている。JEITAのパソコン出荷統計は前年比3.5%減となっていることを考えるとまずまずの推移。サーバーについては、クラウドの影響もゼロではないが、サーバー統合の影響が大きい。サーバー販売台数は大きく伸びるという状況にはないが、全てのお客様がクラウドに移行することはない。当社がお勧めしているのも、全てのデータをクラウド上に置くのではなく、社内にデータを置いて、万が一、ネットワークが利用できない状況になってもトラブルを防ぐ方法」とサーバー販売が減少しても問題はないとの見方を示した。

複写機販売台数の四半期推移
パソコン販売台数の四半期推移

 たのめーるについては、下期に低収益顧客との取引を中止したが、「粗利率は逆にアップした。口座数も前年度比8.9%増と高く伸びている」と説明した。

 Office 365などを含むWebサービス事業は、2016年には193万人が利用。「ストックビジネスとして着実伸張している。それ以外のストックビジネスも好調」と収益確保に大きな力となっているストックビジネスを持つ強みをアピールした。

たのめーる年次推移
主なWebサービスの利用人数推移

 また、連結子会社の中で、VMwareとの取引が変更されたことで売上が落ちたネットワールドについては、「上半期は苦しい状況もあったが、自治体ネットワーク、ストレージ、セキュリティなどのニーズをつかんだことで、下半期は大きく挽回した」としている。

 2017年12月期の見通しについては、上半期売上高は前年比4.8%増の3548億2000万円、通期売上高は同4.3%増の6710億円、営業利益は上半期が前年同期比3.3%増の247億4000万円、通期が前年比3.3%増の410億円、経常利益は上半期が前年同期比2.1%増の50億8000万円、通期が前年比2.0%増の416億円、親会社株主に帰属する当期純利益は上半期が前年同期比3.4%増の165億700万円、通期が前年比2.3%増の272億8000万円。

 セグメント別の通期売上見込みは、システムインテグレーション事業が前年比4.1%増の3917億3000万円、サービス&サポート事業が同4.6%増の2789億1000万円、その他の事業が同10.2%減の3億6000万円。

 営業利益、経常利益ともに7%を目標として掲げ、「2016年も牛歩の歩みではあるが、着実に7%という目標に近づいている」と目標達成に強い意欲を見せた。

2017年は営業部中心の体制をさらに強化

 2017年の方針は、「オールフロントでお客さまの困ったを解決し、信頼に応える」。これは2016年度下半期から実施している営業部中心の体制をさらに強化していくことを狙ったものとなる。

2017年の方針・施策

 また、これまでも進めている多店舗・多拠点企業への取り組み、電力関連ソリューション、さらに働き方改革が進んでいることからニーズが増加している残業削減ソリューションを積極的に展開する。

 「電力関連ソリューションは、LEDをあつかっている会社は少ない。月々3000件を超える見積もり依頼があり、ドアオープナーとしての役割も果たしている。残業削減ソリューションは、当社自身、2010年から20時の一斉消灯を実施しており、このノウハウを含めて提案を行っていく」。

多店舗・多拠点企業への取り組み
電力関連ソリューションの実績推移
残業削減ソリューション