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レノボ、エンタープライズ製品の新ブランド名「ThinkSystem」「ThinkAgile」を発表

 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズは12日、データエンタープライズ製品群向けの新ブランド「ThinkSystem」および「ThinkAgile」を発表し、同日開催されたプレス向けの発表会において、新たに同社の代表取締役社長に就任したロバート・スチーブンソン氏が今後の事業戦略を説明した。

ThinkシリーズのDNAを継承するエンタープライズ向け新ブランド

 今回発表されたブランドのひとつである「ThinkSystem」は、データセンターを構成するプラットフォームの統合ブランドだ。サーバー製品としてIBMから引き継いだ「System x」シリーズと、レノボ開発の「ThinkServer」シリーズのブランドを統合するほか、ストレージやスイッチといった製品群にいても、今後はThinkSystemブランドとして展開する。もうひとつのブランドである「ThinkAgile」は、ThinkSystemのサーバーをベースとしたハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)製品などSoftware-Defined製品群の統合ブランドとして統一していく。

新たなブランドとして、エンタープライズ向け製品群を「ThinkSystem」、Software-Defined製品群を「ThinkAgile」として展開していく

 新ブランドの発表に合わせて、ThinkSystemシリーズにはサーバー、ストレージ、スイッチの各製品が発表されている。例えばThinkSystemのラックマウントタイプのサーバー製品であれば、1Uモデルと2Uモデルそれぞれにメインストリーム、バリュープラス、バリューの3モデルが展開されているため、合計で6モデルの中から選択できる。さらに、タワー型サーバー、従来の Lenovo Flex シャーシとの互換性を維持したブレード・サーバー、2U4N(2U4ノード)の高密度サーバー、ミッションクリティカル向けのハイエンドサーバーなども用意されている。もちろん、ストレージやネットワークの製品についてもサーバー製品同様、ポートフォリオが拡大している。

「System x」と「ThinkServer」のサーバー、ストレージ、ネットワーク製品を「ThinkSystem」ブランドに統合
ユーザーの幅広いニーズに対応するため、ThinkSystemとしてポートフォリオをさらに拡大している

 ThinkAgileブランドには、新たなにプライベートクラウド向けのラックスケールCI製品「SXシリーズ」が発表されている。SXシリーズには、マイクロソフトのAzure Stack搭載モデルである「ThinkAgile SX for Microsoft Azure Stack」と、ニュータニックス(Nutanix)搭載モデルの「ThinkAgile SX for Nutanix」が用意されている。なお、既存のHCI製品であるHXシリーズやSDSのDXシリーズについても、今後はThinkAgileブランドとして統一される。

新しいラックスケールCI製品「SXシリーズ」には、Azure Stack搭載モデルとNutanix搭載モデルが用意されている

 また、今回のThinkSystemの発表に合わせ、サーバー管理ソフトウェア「XClarity」が刷新され、ThinkSystem全体を管理するシステム管理製品群の統合ブランドとなった。新しいシステム管理プロセッサに搭載される「XClarity Controller」管理エンジンは、業界標準のサーバー管理プロトコルを採用したRedfishベースのREST APIをサポートすることで、オープンな環境でのハードウェア管理が容易になる。

サーバー管理ソフトウェアの「XClarity」は、ThinkSystem全体を管理する製品群の統合ブランドとして刷新

データセンター向け事業で国内のトップを目指す

 6月にレノボ・エンタープライズ・ソリューションズの代表取締役社長に就任したスチーブンソン氏は、「レノボに新しい魂を吹き込む。データセンター向け事業で国内のトップを目指す」とエンタープライズ向けの市場の参入に強い意気込みを語った。

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 代表取締役社長 ロバート・スチーブンソン氏

 レノボが企業のITシステムのワークロードの変化をどのように予測しているかについてスチーブンソン氏は、「現在、レノボのビジネスの大半はレガシーITが占めているが、2020年ごろには劇的に構造が変化し、レガシーITの占める割合は20%程度になると予測している。さらに今後はコンバージドインフラ(CI)やハイパーコンバージドインフラ(HCI)の導入が進む一方で、ハイパフォーマンスコンピューティングやクラウドといったハイパースケール環境の利用も進んでいく」と述べ、レノボではこれらの3つの市場領域すべてに対応していくと説明した。

レノボによる2020年の市場予測。レガシーITは全体の20%にとどまり、CI/HCIやハイパースケールの分野が拡大していく。

 既存のレガシーIT(非仮想化、従来型のストレージおよび、ネットワーキング)の領域については、「市場に占める割合が減ったとしても、レガシーITはなくなることはない。これは『ペーパーレス』が叫ばれるようになって20年以上経つにも関わらず、いまだにオフィスには紙がまん延しているのと同じようなもの」と説明し、IBMから引き継いだ高い安定性と可用性を持つx86サーバーの製品群を「業界最高水準のポートフォリオ」とアピール。さらに今後はコストメリットに優れたSDS(Software-Defined Storage)製品なども提供していくという。

 仮想化およびCI/HCIの領域については、「日本企業の特性として、データのガバナンスが非常に厳しく、データを外出しできないことが多い。そのためプライベートクラウドやハイブリッドクラウドを求める声が大きい」と述べ、ハイブリッド/プライベートクラウド環境のインフラとしてCI/HCI製品を積極的に展開していく。

 ハイパースケール領域においては、コスト競争力とグローバルを武器にハードウェア供給に特化するという。スチーブンソン氏は、「あまり知られていないが、ハイパフォーマンスコンピューティング市場において、レノボはグローバルで2位のベンダーであり、3年後には1位になる」と述べた。

 また、発表会にはレノボ・ジャパン 代表取締役社長の留目 真伸氏も登壇し、レノボがグローバルで展開している基本戦略「3-Wave Strategy」として、「PC事業を中心とした働き方改革とライフスタイル提案」「サーバー・モバイル事業による業務、生活へのインフラ提供」「Device + Cloudによるイノベーションの共創」を紹介した。今回のエンタープライズ向け製品戦略についても、この3-Wave Strategyの一貫であるとし、「専門性の高いデータセンター事業を再定義して、新たな成長を目指す」と述べた。

レノボ・ジャパン 代表取締役社長 留目 真伸氏(左)とスチーブンソン氏(右)