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楽天カード、基幹システムのオープン化で安定した環境をユーザーに提供

 楽天カード株式会社と日本オラクル株式会社は10日、楽天カードが、クレジットカード業務の基幹システムを全面刷新したと発表した。また、プライベートクラウドサービス「Oracle Cloud at Customer」を採用し、安定したクレジットカードの取引環境を会員および加盟店に提供する。

 楽天カードでは従来、基幹システムをメインフレーム上で運用していたが、機器の持つ性能面の限界から、あらゆる負荷への迅速な対応が困難になりつつあったほか、長年の運用に伴うプログラムの複雑化と開発言語「COBOL」の技術者不足により、開発面および保守面での制約も受けていたとのこと。

 そこで新システムでは、異なる事業者のソフトウェアやハードウェアを柔軟に組み合わせられるオープンシステムの採用を決定。エンジニアドシステム「Oracle Exalogic Elastic Cloud」「Oracle Exadata Database Machine」を導入し、Javaベースのアプリケーションへ移行することを決定した。これにより、複数人による同時のプログラム編集が可能となったほか、周辺システムも含め、プラットフォームやアーキテクチャ、開発言語を統一することで、生産性を向上させている。

 なおアプリケーションの変換には、ジェイ・クリエイションが提供する移行サービス「VENUS」を利用した。また、長期に安定的な運用を行う基幹システムであるため、Java Platform, Enterprise Edition(Java EE)を採用している。

 さらには、ビジネス環境の変化に応じて急な変更を繰り返す場合でもプロダクトの品質を確保するため、自動テスト環境も整備した。処理性能を落とさない工夫として、Clouderaの支援を受けてApache Sparkを導入し、バッチの分散処理を平易に実現できるようにしている。これにより、バッチ処理の平均速度を従来よりも2倍以上早められ、持続性の高い基幹システムの運用が可能になった。

 なお、従来は月に数時間、楽天カード会員専用のオンラインサービス「楽天e-NAVI」において、一時的にサービスの利用を制限していたが、基幹システムの刷新により定期メンテナンスが不要となり、顧客に一層高い利便性を提供可能になったとのこと。

 また今回、楽天カードは国内の金融業界において初めて、自社管理のデータセンター内にOracle Cloud環境を配置するサービス「Oracle Cloud at Customer」を採用している。これにより、特定の処理を行う際の一時的な負荷増大時にも柔軟な対応が可能となったのみならず、急増する楽天カードの会員数と取引件数に対する処理能力を強化し、会員および加盟店に長期的により安定した取引環境を提供できるとした。

 なお、今回の基幹システムの全面刷新プロジェクトは2014年から開始され、2017年から本格稼働に至ったとのこと。