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日立、AI技術を活用した証票処理の自動化システムを開発

 株式会社日立製作所(以下、日立)は22日、出納業務における証票の読み取りから承認までの業務をAIを用いて自動化する、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)技術を開発したと発表した。

 日立では、企業の間接業務の代表的な作業として、申請者がパソコンから入力した情報と、請求書などの証票を照合する証票確認作業があるが、光学的文字認識(OCR)を用いた場合でも、あらかじめ登録した様式の証票の文字情報は読み取ることができるが、新たな様式の証票の読み取りには様式を登録する作業が必要となり、照合・承認作業でもオペレータによる確認を行うなど、人手を要する作業は依然として残っていると説明。

 そこで、さまざまな様式の証票で文字情報を読み取ることができ、申請者の入力情報と照合して承認の判断を行うAI技術を開発した。

システムの概要

 開発した技術は、単語の属性を識別するAI技術と、文字情報セットの確実性を推定するAI技術で構成される。

 単語の属性を識別するAI技術は、 証票から「宛先名」「請求者名」「請求金額」といった項目について、単語の周辺に位置する別の単語や文字との関係性を分析して、単語が持つ属性を識別する。たとえば、「単語の左端に『¥』があれば金額」「数字3つごとに『,』があれば金額」というように、単語が持つ属性をAIで識別する。

 文字情報セットの確実性を推定するAI技術としては、識別した項目の候補となる単語を組み合わせたセット(文字情報セット)の中から、「宛先名」「請求者名」「請求金額」といった承認に使用する最適なセットを選び出すために、組み合わせ最適化技術を拡張したAI技術を開発。複数の文字情報セットの確実性に順位を付け、学習することによって精度を高めていき、確実性の順位が最も高い文字情報セットを決定して、承認できるかの自動判断を行う。

 また、人手による照合・承認にまわった証票は、自動的にAIの学習材料とされるため、人手をかけることなく照合・承認作業の自動化率を向上することができる。

単語の属性を識別する技術、文字情報セットの確実性を推定する技術

 日立では、開発した技術を取り入れたRPAシステムを、日立グループの人事、財務のシェアードサービスを請け負っている株式会社日立マネジメントパートナー(日立MP)で試験運用を実施。出納業務において、70%の証票を自動処理できることを確認したという。

 システムは、日立MPにおいて2017年10月から本格運用する予定で、今後日立では、今回開発したシステムの導入を進めることにより、企業の間接業務の効率化を促進することで、働き方改革に貢献していくとしている。