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ヴイエムウェア、「JMP」機能搭載のVMware Horizon 7.1

機能特化型サブセット「Horizon Apps」も

 米VMwareは7日(米国時間)に、VDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ)製品の最新版である「VMware Horizon 7.1」と、新しいクラウドサービス「VMware Horizon Cloud」、VMware Horizonのサブセットと位置づけられる新しい製品「VMware Horizon Apps」を発表した。

 日本では4月に提供開始予定。Horizon 7.1の同時接続1ユーザーあたりの市場想定価格は3万1000円から、Horizon Cloudの1ユーザー/1カ月あたりの市場想定料金は1980円から、Horizon Appsの1ユーザーあたりの市場想定価格は1万5500円から、とアナウンスされている(金額はいずれも税別)。

 発表に合わせて日本時間2月8日に、日本のヴイエムウェア株式会社が報道陣向けに、新しいVMware Horizonポートフォリオを説明するプレスラウンドテーブルを開催した。

VMware Horizonの新しいポートフォリオ
ヴイエムウェア株式会社 マーケティング本部 シニアプロダクトマーケティングマネージャ 本田豊氏

高速化やモバイル最適化を強化した「Horizon 7.1」

 Horizon 7.1の機能として、まずJMP(Just-in-time Management Platform:「ジャンプ」と読む)が挙げられた。JMPはこれまでにもあったインスタントクローン(動作しているインスタンスをメモリ上で高速にクローン)、App Volumes(仮想デスクトップにアプリケーションを後から瞬時に配信)、UEM(User Environment Manager:ユーザーのプロファイルや、フロアごとにどのプリンタを使うかといった動的ポリシーなどを管理)の3つの技術を組み合わせたものだ。

 VMwareではJMPのメリットとして、高速なイメージングや、App Volumesによる即時のアプリケーション配信、UEMによる状況に応じたポリシー、イメージとアプリケーションや設定とを分離することによるアップデートのための停止時間ゼロなどをうたっている。

 2点目は、グラフィック転送の高速化と帯域削減のプロトコル「Blast Extreme」の新版「BEAT(Blast Extreme Adaptive Transport)」だ。公衆Wi-Fiやモバイル回線テザリングなど、遅延や回線品質が変わってくる回線について、ネットワークの状況に合わせて動的にビットレートなどを調整して、遅延とパケットロスを最適化するという。

 3点目は、Skype for Business(旧称:Lync)に対応したことだ。Microsoft Skype for Business for Horizon 7.1をテックプレビューとして提供開始する。

 なお、いずれの特徴も、Horizon CloudおよびHorizon Appsでも対応している。

JMP。インスタントクローン、App Volumes、UEMからなる
JMPに含まれるApp Volumesによるアプリケーション配信
JMPに含まれるUEM
グラフィック転送技術BEAT。モバイル回線などの最適化に対応
Microsoft Skype for Business for Horizon 7.1 テックプレビュー
デモ:新しい仮想デスクトップを配信
デモ:UEMにより仮想デスクトップにネットワークドライブを割り当てたところ
デモ:Blast Extremeなし(左)とBlast Extremeあり(右)の比較

新しいクラウドサービス「Horizon Cloud」

 Horizon Cloudは、VDIの管理機能(コントロールプレーン)をクラウド上のサービスとして提供し、そこからVMwreが管理するパブリッククラウドで動かすインスタンスと、オンプレミスにあるHCI(ハイパーコンバージドインフラ)製品(Dell/EMC、QCT、日立)上で動かすインスタンスを、統合的に管理するものだ。

 既存のDaaSサービスであるHorizon Airと今後も別サービスとして共存する。なお、Horizon CloudはBluemix Iaas(旧称:SoftLayer)上で動く。

 ライセンス体系は、Horizon Airがデスクトップ単位のライセンスだったのに対し、Horizon Cloudではユーザーライセンスまたは同時接続ライセンスとなる。加えて、VMwareのパブリッククラウドを利用する場合は、そのライセンスも必要となる。

 VMwareのパブリッッククラウドは、CPU、vRAM、ストレージ容量をセットにした「キャパシティライセンス」体系となっており、スタンダードキャパシティと、NVIDIAのGPUを使えるワークステーションキャパシティの2種類がある。これより、契約をしなおさずにキャパシティを変更可能となるという。また、HCIを利用する場合はパートナー各社からライセンスを購入する。

 ヴイエムウェア株式会社の本田豊氏(マーケティング本部 シニアプロダクトマーケティングマネージャ)は、「Horizon Airを2年ほど前に開始して、成長率が高い。Horizon CloudはVDIのユースケースをより増やすためのものだ。たとえば、社員はオンプレミスだが期間限定の契約社員は増減があるのでDaaSにしたいという声や、インフラ運用を避けて管理プラットフォームはクラウドに任せたいがインスタンスはオンプレミスで動かしたいといった声に応えられる」と説明した。

Horizon Cloud。VMwareの管理するクラウド上と、HCI製品上のインスタンスを、クラウドから管理
Horizon Cloudのライセンス体系
Horizon Cloudのデモ。クラウドとオンプレミスを選ぶ
デモ:購入したキャパシティの管理

機能を特化したサブセット「Horizon Apps」

 Horizon Appsは、Horizon 7.1の機能のうち、公開アプリケーション(特定のアプリケーションの画面転送機能)と共有デスクトップ(サーバーOSを複数の人でシェアできる機能)に特化したサブセットのパッケージだ。

 Horizon AppsでもJMPに対応する。Horizon 7.1のJMPにより、Horizon 7のデスクトップを瞬時に配信する「Just-in-tme Desktop」のように、公開アプリケーションを瞬時に配信する「Just-in-time Application」が実現するという。