インタビュー

NECはなぜシステムプラットフォームBUを設置したのか?~庄司執行役員常務に新組織と垂直統合製品の狙いを聞く

 日本電気株式会社(以下、NEC)は、4月1日付で、システムプラットフォームビジネスユニット(BU)を社内に新設した。従来のプラットフォームBUを母体に、IT(ハードウェア、ソフトウェア)とネットワーク、そしてスーパーコンピュータやメインフレーム、サーバー、ストレージ、POS、ATM、ビジネスPC、タブレット端末までを一気通貫で担うのが同組織。これを統括するのが、4月に執行役員常務に昇格した庄司信一氏だ。

 庄司執行役員常務は、同社が4月に発表した垂直統合システム「NEC Solution Platforms」の生みの親でもある。NECのプラットフォーム事業を横ぐしにするシステムプラットフォームBUはどんな役割を担うのか。そして、2013年度を初年度とする中期経営計画において、この組織はどんな役割を果たすのか。また、NEC Solution Platformsの市場からの反応はどうか。庄司執行役員常務に話を聞いた。

データセンターからデバイスまでのプラットフォーム事業を一気通貫で

――2013年4月1日付で発足したシステムプラットフォームBUの狙いを聞かせてください。

システムプラットフォームビジネスユニット 執行役員常務の庄司信一氏
システムプラットフォームBUでは2015年に8000億円の事業規模を見込んでいる

 システムプラットフォームBUは、従来のプラットフォームBUを母体としています。

 旧プラットフォームBUでは、ITとネットワークの融合を図り、サーバー、ストレージ、ATM、POSといったハードウェア製品、OSやミドルウェアなどのITソフトウェア製品、PBXやキーテレフォン、ユニファイドコミュニケーション(UC)などのネットワーク製品、POSやATMなどの専用端末を担当していましたが、ここに、旧パーソナルソリューションBUのビジネスPCやタブレット端末、旧社会インフラソリューションBUの車載端末、旧ITサービスBUのサービス関連事業を統合。データセンターからデバイスまでを一気通貫で担当することになります。

 ここまでプラットフォームを統合した組織は、NECでは初めてですし、他社にないものになります。

――事業規模はどれぐらいになりますか。

 従来のプラットフォームBUは約4000億円の事業規模でしたが、システムプラットフォームBUでは8000億円強の事業規模となります。

――長年にわたり、ハードウェア事業を担当してきた庄司執行役員常務が、全社売上高の4分の1を担う事業を一手に担うことになりますが、これは、NECのハードウェア回帰を示すものとなりますか。

 いえ、これからの時代は、サービス、ソリューションの時代であることに変わはありません。ただ、そのベースとなるプラットフォートに特徴を持ち、付加価値を付けていかなくてはならない。プラットフォームあってのNECであるということをしっかりと示すことは必要だと考えています。

 NECでは、2013年度を初年度とする2015中期経営計画において、社会ソリューション事業に注力する姿勢を示しています。今後、中期経営計画を推進する上で、企業向け端末を1カ所に集め、データセンターからデバイスまでのプラットフォーム事業をひとつの組織で見た方が効率がよく、特徴を打ち出しやすい。そして、企業向けプラットフォームでNECはなにを訴求できるのかといったことを、この中期経営計画のなかでしっかりとアウトプットするには、こうした組織体制が必要となる。

 新たな組織は、NECが、企業向けに新たな価値を創造するプラットフォームを提供するということに向けて、極めて自然な流れのなかで進化したものだといえます。

システムプラットフォームBUの概要
システムプラットフォームBUは、NECのプラットフォーム事業を横ぐしにしている

――自然な流れでの進化とは?

 これまでは、ITとネットワークを融合した形でビジネスを進めてきたわけですが、考えてみれば、同じBUのなかで、データセンター運営も自分たちでやりながら、NECとしてどうしていくかを考えた方が、トータルでの提案がしやすい。これからのクラウド時代を支えるデータセンターサービスは、プラットフォーム側でやっていくのが自然の流れです。

 また、ビジネスPCやタブレット端末も、パーソナルソリューションBUのなかで、コンシューマPCに引っ張られながらやるよりも、旧プラットフォームBUのPOSやATMの専用端末と一緒になってビジネスを考えた方が広がりが出る。これは専用端末がなくなるという話ではなく、むしろ専用機の特長を生かしやすくなると考えています。

 汎用の世界が広がれば、一方で自分たちの世界をさらに深めたいというニーズが出てくる。汎用を意識しながら、もっと自分たちの付加価値を高めるための付加価値専用端末によって、さらに顧客サービスを最大化したいというニーズが発生し、それに向けた専用端末が求められると考えられるからです。

 そうした幅の広い提案をするには、ビジネスPCやタブレット端末もひとつの組織のなかで一緒にやった方がいい。これも自然な流れです。

 誤解を恐れずにいえば、これまでNECでは、サービスやシステム全体を考えたとき、企業向けデバイスはどうあるべきか、ということを本気で考えていなかったのではないか、という反省があります。

 クラウド時代、あるいは新たなネットワークの時代において、NECの企業向け端末はどんな貢献ができるのか、どんな価値を提供できるのか。それが不明確でしたし、またプラットフォームをトータルで提案できるようにはなっていなかった。

 今回の新組織では、どうしたら新しい時代における企業向け端末が開発できるのか、新市場創造のためにどうあるべきか、NECの技術をどこにシフトさせていくのか、これからNECが企業向けプラットフォームをどうしていくか、そうしたことをNECが真剣に考えるフェーズに入ったことにあわせて、発足した組織だといえます。

企画・開発だけでなく生産までをトータルでカバーする組織

――システムプラットフォームBUとなったことで、なにが変化するのですか。

 一番大きな変化は、プラットフォームを見るときに、ITやネットワーク、データセンターやデバイスといった個々の製品からとらえるのではなく、お客さまに対して、プラットフォーム全体として付加価値を提供できるものはどうあるべきか。そのプラットフォームを使ったサービスとはどうあるべきか、ということを一気通貫で考えて、製品を作れるようになるという点です。

 そして、それを企画、開発だけでなく、生産も含めて考えることができる。こんな組織はいままでにありません。例えば、「NECはPOSが強い」といわれますが、POSという一部業務だけの強みを持っていても、これからの時代には限界がある。流通業全般をとらえて、全体のなかでどう進化させたら、最も効果的な流通ソリューションを提案できるのか。それを、個別の製品目線ではなく、プラットフォーム目線から一気通貫で考えられるようになる。1対1の提案ではなく、1対Nの提案ができるようになる。これは大きなポイントです。

 また、ひとつのBUで、プラットフォーム全般を担当することにより、営業やSEがより能力を発揮できる環境が整うともいえます。

 例えば、これまでの組織体制では、車載端末が必要になれば、社会インフラソリューションBUに相談を持ちかけ、タブレット端末が必要になれば、パーソナルソリューションBUに、LifeTouchの企業向けカスタマイズを要請し、専用端末も検討に入れるとなれば、プラットフォームBUに相談するというように、営業およびSEが、各BUをまたいで個別に調整して、作り上げる形になっていました。

 個別の製品のひとつひとつが優れたものではありますが、結果として、それらをSEがお客さまと一緒になって組み上げて、チューニングしなくてはならない。

 NECにはたくさんの優秀なSEがいます。これらの優秀なSEたちは、本来、お客さまに対して、求められる以上の価値を創造する仕事をしなくてはならない。しかし、現状を見ると、NECのプラットフォーム製品やオープンな製品を組み合わせ、お客さまに、最低限使っていただけるものを仕上げることに必死にならざるを得なかった。

 新たな組織になることで、こうした煩雑な仕事がなくなり、SEは「最低限」使ってもらえるものから、「最大限」の価値を提供する仕事にシフトしてもらうことになる。その最たる例が、先日発表したNEC Solution Platformsということになります。NEC Solution Platformsによる垂直統合型システムによって、SEがもっとお客さまに価値を提供したり、新たな価値を創造するといった業務にシフトできる。

 新組織では、NEC Solution Platformsで実現した世界を、デバイスから、データセンターサービスまでを含めて、広い空間での垂直統合が実現するものになります。一気通貫で考え、一気通貫で提供でき、一気通貫でパターン化できるという仕組みができたことで、SEがこれまで以上に「攻める」ことができる体制が整うわけです。SEの仕事がなくなるといったような見方がありますが、そんなことはないんです。

――SEおよび営業が、最大限の価値を提供するには、新たなシステムプラットフォームBU自身の意識改革も必要ですね。

 それが、喫緊の課題です。これまで個々の製品にこだわりを持ってきたわけですから、それを捨て去るというのは難しい。ですから私は、「こだわりを持ちながら、こだわりを捨て、別のところにこだわる」ということを言っています。

 個々の製品をよりよいものにしていくというこだわりは大切なものです。しかし、お客さまはそれを部品としか見ていない。これからのNECの提案は、個々の製品にとどまるのではなく、システムプラットフォーム全体として、新たな価値が出せるかどうかなのです。

 例えば、ビジネスPCのひとつひとつの特徴をあげ、他社に比べて優位性を語っても、それは、パートナーやエンドユーザーには響かない。システムプラットフォーム全体と組み合わせることで、なにがいいのかということを提案できるようになったら、NECの強みはもっと発揮できるようになります。

 いま、お客さまは部品の提案を望んではいない。こうした変化を理解することを、社員に求めたい。これは、半年もたてば、みんなが自然とわかってくれると思います。しかし、私は半年も待てない。1、2カ月の間に、意識を変えてほしいと願っています。

 自分たちの個々の製品にこだわりながらも、システムプラットフォームBU全体として見た場合には、こう連動させるのがいい、あるいはこういった具体的なメニューにし、お客さまの価値として納得できる提案につなげる、といったことを考えられる組織にしていきたい。

 4月に発表したNEC Solution Platformsを見て、プラットフォーム全体でとらえるメリットが直観的に理解できることは、社員の意識を変わるには追い風だといえます。これを見て、自分たちの製品を、どんな風に入れたら良くなるのかということを理解し、提案してほしいですね。とにかく、意識改革を早くやることが、NECのプラットフォームの次の進化につながると考えています。

一緒になる組織間での文化の違いは感じていない

――庄司執行役員常務は、19年前のExpress5800の立ち上げに携わる一方、NECインフロンティアでは社長を経験し、ITおよびネットワーク製品事業に精通しています。しかし、今回のシステムプラットフォームBUでは、4つの組織の統合となります。文化の違いをどう吸収するかが課題なのでは。

 実は、私の意識のなかでは、4つの組織はそれほど違和感がないのです。むしろ、NECインフンティアで、ネットワークとITを一緒にやったときの方が大変でしたよ(笑)。

 今回、システムプラットフォームBUに来たメンバーは、元をたどれば一緒に仕事をしていた仲間です。私は入社したときに、端末装置事業部に配属されましたが、そこにはPC-9800シリーズやワープロ専用機、プリンタをやっている人たちが一緒でした。

 また、1983年に1OA、2OA(当時の情報処理製品計画本部第1製品部および第2製品部)という組織ができたときには、1OAは専用端末、2OAがオフコン、メインフレーム、スーパーコンピュータ、PCとわかれ、私はそのなかで、セブンイレブン向けの店頭サーバーの開発に携わっていました。大きなくくりのなかでは一緒の組織です。

 つまり、かつての情報処理グループとして、一緒にプラットフォームの開発をしていたメンバーが、20年のときを超えて、また集結したというわけです。

 また車載製品は、社会インフラ部門のなかにあった産オート(注:産業オートメーション事業部)と呼ばれた組織が担当していたわけですが、産オートでは、OCR製品も担当していて、そこと一緒になって製品を作っていた経緯もあります。

 私より20歳若い社員は、別のグループが一緒になったという意識があるかもしれませんが、私にとっては、久しぶりに仲間が集まったという感じですよ(笑)。ですから、文化の違いというのは感じないんです。

“デバイスからデータセンターまで全部やる”のはNECだけ

――ところで、8000億円の事業規模を持つシステムプラットフォームBUをけん引していく製品はなにになりますか。

これから1年で柱を見極めていくと話す、庄司執行役員常務

 正直なところ、いまの段階で、どの製品やサービスが中核になるのかというのはわかりません。もちろん売り上げの柱という点ではサーバービジネスであり、Express5800シリーズは、今年もトップシェアの維持にこだわります。

 ただ、Express5800は20年近くひとつのブランドでトップシェアを維持しているわけですが、新たな時代に入るなかで、Express5800という製品ブランドを認めて購入をしていただくよりも、NECというブランドで購入していただくことがますます重要になってくるのではないかと思っています。

 一方で、クラウド時代に入ると、データセンターサービスが重視されるようになりますが、これがNECのシステムプラットフォーム事業の核になるのかというと、それも違うような気がします。

 NECにとって、なにが世界で一番の強みなのかというと、デバイスから、ネットワーク、サーバー、データセンターに至るまでを一気通貫で提供できること。この体制をとっているのは、NECぐらいしかない。これをどう訴求していくのかを考えていく必要があります。

 社会ソリューションを提供するためのシステムプラットフォーム事業とはなにか、そして、世界のどんなところで強みを発揮できるのか、世界のどういう業種においてトップシェアを狙えるのか、ということを1年の間を絞らなくてはならない。

 NECとして、新たな価値を生むためには、どこが核になるのかということは、この1年、走りながら考えていきたいと思っています。

――垂直統合モデルであるNEC Solution Platformsは、核とはなりませんか。

 NEC Solution Platformsは、旧プラットフォームBUが、ひとつになってベクトルをあわせ、1年間をかけて開発し、投入した垂直統合モデルであり、確かに、新たな組織のひとつの方向性を示すものだといえます。しかし、これを第一歩として、次の統合へと踏み出したい。それをこの1年で示したいと考えています。

――2013年4月3日に行ったNEC Solution Platformsの発表会見では、Project SIGMAをこれからも継続していくとの発言があったことに驚きました。Project SIGMAは、NEC Solution Platformsの発売によって完結したものと思っていましたから。

 Project SIGMAは、NEC Solution Platformsを第一歩として、新たなアーキテチクャを確立し、その上でデバイスからデータセンターを含めた形で、次の統合を考えるということが、今後の取り組みとなります。つまり、システムプラットフォーム全体での統合を考えていこうというわけです。

 そのアーキテクチャのコアテクノロジーとなるのが、ネットワークを仮想化するProgrammableFlowと、I/Oを仮想化するExpEther(エクスプレスイーサ)になります。

 NEC Solution Platformsの会見では、この点までも説明し、新たなアーキテクチャのなかで、垂直統合モデルが進化することを示しましたが、出席した43人の記者からはこれに関する質問が一切なかった。これによって、社会にどういう付加価値を提供できるのか、どんなイノベーションを起こすのかということが、説明しきれていないところがあったと反省しています。いわば、技術の紹介だけにとどまり、社会がどう変わるのかというメッセージを出せていない。

 このあたりも、Project SIGMAにおける次のステップのなかで明確化していき、メッセージを発信していきたい。実は、社内には、来年4月には、この点まで含めた発表をすると宣言しているんですよ。1年しか猶予はないというわけです(笑)

垂直統合型モデルの手応えは?

――NEC Solution Platformsの発表以降の手応えはどうですか?

 反応がいいのは、データベースモデルのData Platform Suiteですね。既存ユーザーからの関心が高く、なかには、Exadataを導入しているお客さまや、もう少し中規模クラスのものを検討したいといったお客さまからの引き合いがあります。導入期間を短くできるという点にも関心が集まっています。

 また、パートナーから、販売店モデルについて説明してほしいという問い合わせもあります。変わったところでは、自社開発のソフトウェアパッケージを一緒に展開できないかといった提案も出ています。

――販売店モデルについては、まだ詳細が明らかになっていませんね。

 これは、7月をめどに、詳細を発表する予定です。現時点では、販売店パートナーにも扱っていただく仕組みができた、という大まかなパートナープログラムと、支援体制の説明にとどまっています。どの部分をお手伝いすると、どういう形で販売店がビジネスにできるのか、といったことを吟味し、パートナー会などを通じて、より具体的なプログラムを提案していくつもりです。

――NEC Solution Platformsは、今後3年間で500億円の事業規模を目指していますが、パートナービジネスの比率はどの程度になりそうですか。

 これはよくわかりませんが、ひとつの目安は、10~20%程度でしょうか。販売店では、クラウドモデルでのビジネスも想定していますし、事例を通じてヒントを得た販売店パートナーが、新たなビジネスへと踏み出すといったことも想定されます。事例を示しながら、販売店支援を進めていく予定です。

――NEC Solution Platformsでは、業種特化型の提案をしているのも特徴のひとつです。Application Platform Suiteとして、ホテル業向けの「UNIVERGE ホテル業務基盤」を用意していますね。

 お客さまから見ると、技術的によくても、NECならではの特徴がないと新たなイノベーションにはつながりません。自分たちの業務形態、ワークスタイル、ビジネススタイルがどう変わるのか。それを、NEC Solution Platformsとして明確な形で示したのが、ホテル業界向けアプリケーションの「UNIVERGE ホテル業務基盤」ということになります。

 実は、NECの発表は、コンセプトは明確に語るが、具体的になにがいいのかわからないと言われることが多い。これがしゃくで(笑)、なにが具体的に良くなるのかをもっと鮮明に打ち出したかった(笑)。その点でも、ホテル向け垂直統合モデルは、NECらしいものだといえます。

 NECのプラットフォームビジネスを、ITの領域だけで見ると、世界的シェアには限界があります。しかし、PBXを背景としたネットワークの世界では、大きな市場シェアを持っている。特に、NECは、世界のホテル市場では大きなシェアを持っている。「UNIVERGE ホテル業務基盤」はその名の通り、ネットワークからのアプローチであり、ここにNECならではの垂直統合の特徴を打ち出せるわけです。社内には、ホテル業界だけでいいのかという話もありましたが、ここが攻めやすいのであれば、まずは、ホテルからやっていこうと。

 同様に、病院や学校、コンビニエンスストアといったところでもNECは高いシェアを持っている。こうした得意とする業種を対象にして、順番に広げていくことも考えていきたい。まずは、ホテルできっちりとした成功事例を作ることからはじめていきたい。日本だけで、やれるビジネスモデルには限界がある。それよりは、世界で広がるポテンシャルを持ったソリューションを、日本からどんどん提案していきたいと思っています。

――NEC Solution Platformsの最初のゴールはどんなところに設定しますか。

 それは難しいですね。1年で何百億円の事業規模に到達したいという気持ちもありますし、今回発表した10製品のうち、それぞれ1事例ずつでもいいので、自分が納得できるような形で市場に出て、お客さまに納得して、喜んでいただけるということも目標にしたい。せっかく、生み出した10人の子供です(笑)。たくさん稼いでくれるのが優秀な息子かもしれないし、お客さまからよかったといってもらえるのが優秀な息子かもしれませんしね(笑)

NECのプラットフォーム製品のすべてを担当していきたい

――ところで、2015中期経営計画の最終年度となる3年後に向けて、システムプラットフォームBUはどんな組織になっていきますか。

 今回の組織再編で、プラットフォーム製品のすべてがシステムプラットフォームBUにまとまりましたが、細かいところを見ると、テレコムキャリアBUでは、キャリア向けのテレコム製品をやっているなど、まだいくつかのプラットフォーム製品が、いくつかのBUに残っています。私は、やはりシステムプラットフォームBUが、プラットフォーム全体を作って、NECのプラットフォーム製品のすべてをシステムプラットフォームBUが担当するという形にしていきたいですね。

 また、この3年の間に、システムプラットフォームBUのすべての社員が、自分たちがこんな成果を出したんだ、といえるような実績を残したい。過去1年間に、旧システムプラットフォームBUの社員全員がProject SIGMAにかかわり、NEC Solution Platformsという成果を出しました。これと同じように、自分たちは3年間で、こんなことをやったんだと、みんなが思えるようなことをやりたい。

 システムプラットフォームBUが横ぐしとなり、コモンプラットフォームとして共通の基盤を作り上げ、まったく別の価値を持った製品へと仕上げるような形にしていきたい。もともと私はハードウェア屋ですが、システムプラットフォームBUは、ハードにこだわって、ハードを前面に打ち出すのではなく、ハードとソフトをどう融合して新たな価値を作りだすかが鍵です。ハードウェアにこだわりながら、ハードウェアをソフトウェア化していくといったところにもっていきたい。

 いや、どちらかというとウエイトは、ハードからソフトに移行する。お客さまは、もはやハードはハード、ソフトはソフトというのではなく、システムにこだわっている。その世界に向けて、システムプラットフォームBUの社員全員が向かっていく体制を作ることが、一番のポイントだと思っています。

(大河原 克行)