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日本企業の取り組みはどこまで進んでいるか? ビッグデータ関連まとめ
(2012/12/26 09:00)
Gartnerが3年から5年先を見通す指針で2012年版のキーワードとして「モバイル」「クラウド」「ソーシャル」「ビッグデータ」などを挙げている。今回は「ビッグデータ」に着目し、これまでに掲載した記事のまとめという形で、業界の動向を追ってみる。
火付け役は「ソーシャルメディア」
ビッグデータといえば、センサー情報や行動履歴情報、金融、科学技術などさまざまな種類のデータが挙げられるが、特に火付け役となったのがソーシャルメディアだろう。ビッグデータという言葉が使われはじめてから、まず加速したのが、ソーシャルメディアをビジネスに取り込むためのサービスだった。
「並列分散処理」や「インメモリ」が技術背景に
一方、技術的側面として、ビッグデータに現実味を与えたのが「並列分散処理」や「インメモリ」などの技術だ。Hadoopをはじめ、データベース、BIなどの分野で次々と革新的な製品がリリースされた。
クラウドサービスも続々登場
ビッグデータ関連のクラウドサービスも多数発表された。分析エンジンをクラウドで提供するもの、プライベートクラウドに分析基盤を構築するサービス、インメモリソフトをクラウドで提供するもの、およびM2M(Machine to Machine)サービスを提供するものと内容も多岐にわたっている。
並列分散処理をバッチ処理に生かす
例外として、これらの技術をビッグデータという新分野に適応するのではなく、バッチ処理という既存のソリューションの高速化に生かそうという動きも。EMCとノーチラスによれば「Hadoopは基幹系向けには弱点だらけ」だそうで、その現実解として、Hadoopの商用ディストリビューション「Greenplum HD」を推奨しているのだが、そこで提供するのも基幹バッチを分散処理するというものだった。
まずはビッグデータ活用目的や分析方法を明らかに
ビッグデータを活用するといっても、自社にどんなビッグデータが蓄積されているのか、使いこなすことでどんな分析が可能になるのか、現状ではまだ把握し切れていない企業が多いだろう。そうした悩みを解決するコンサルサービスも各社から提供された。
印象深いのは、富士通の「こんなデータがあるが何かできないかというアプローチではほとんどうまくいかず、新しい商品を作るためにデータを活用したいというアプローチの方がうまくいく」という言葉だ。
実際にどんな用途で使われている?
実際にはどのような用途にビッグデータは利用されているのか。真っ先に思いつくのは、Amazonなどのショッピングサイトで利用されているリコメンドシステムだ。ユーザーの購買情報、商品の閲覧状況をリアルタイムに分析し、おすすめ商品を提示する。流通業・小売業での活用はビッグデータ事例の典型。高島屋も商品・顧客情報を一元管理している。
ほかには、金融業界、医療分野、学術分野での事例が先行している。一般企業では、ビッグデータをマーケティングに生かそうというのが現状での王道だろうが、例えばソーシャルデータをCRMやERPなどの基幹系システムとも連携させるような事例はまだ数が少ないだろう。
12月に発表されたNRIのアンケート調査結果では、約6割がビッグデータを自社の検討課題と認識しているものの、やはり推進するための社内体制整備が遅れているという。そうした中でも特に大企業を中心に「マーケティング」「経営管理」「商品企画・開発」「戦略策定」「営業」「販売促進」に期待が集まり、実際に取り組みが実施されているようだ。一方でビッグデータ活用の取り組みが進んでいない企業では「具体的に何に活用するか明確でない」とする回答が断トツ。これが現状の課題の筆頭といえるだろう。
専任組織を設立する各企業
ここからはビッグデータ関連製品・サービスを提供する事業者の動きをまとめてみる。大手では組織横断の専門部隊を設置する動きが多かった。ビッグデータをどう活用するのが有効か、データ分析の手法確立、事業展開について実証実験などを進めている。
各社のビッグデータ戦略とは?
最後に各社のビッグデータ戦略をまとめてみる。