イベント
クラウドEXPO 2016レポート、Quantaやさくらインターネット、ニフティ、レノボなどが最新ソリューションを展示
(2016/5/12 10:29)
「情報セキュリティEXPO」「クラウドコンピューティングEXPO」などのIT専門展を併催する「Japan IT Week 春 2016」が11日、開幕した。
ここでは、クラウドコンピューティングEXPOを中心に、初日の展示会の模様をレポートする。
QCT、Pascal GPUサーバーやOCP Yosemiteなど展示
QCT(Quanta Cloud Technology)は、大きなブースを構え、ユニークなサーバーやネットワークの製品を展示している。QCTはODM/OEMで大手メーカーの製品などを製造している企業で、OCP(Open Compute Project)仕様のサーバーも作っている。
QuantaPlex T21W-3Uは、NVIDIA Pascal NVLink対応の、ディープラーニングやHPC向けのx86サーバー。3UサイズでNVIDIA Tesla P100 GPUを8つ搭載する。第3四半期発売予定。
FacebookのOCP仕様サーバー「Yosemite」も展示されている。コンピュータノード4つと50GbE NICを収めたユニットを横に3つ並べ、2Uで12ノードを収納する。
ネットワーク機器では、100GbEのToR(トップオブラック)スイッチ(第2四半期発売予定)や、25/100GbEのToRスイッチ(第3四半期発売予定)、半ラック幅で1Uで冗長化できるToRスイッチなどが展示されている。いずれもマルチNOS(ネットワークOS)対応。
SDS向けのストレージサーバー用製品も並んでいる。QuantaGrid D51PH-1ULHは、1UでHDD 12台とSSD 4台をホットスワップ対応で搭載するサーバー。QuantaPlex T21P-4Uは、4Uで78台までのHDD/SSDを搭載するサーバー。QuantaVault JB28720は、2UでSSDを72台を搭載するJBODストレージ。
さくらインターネットはIoT一色
さくらインターネットのブースは、ブースいっぱいに「さくらのIoT Platform」を展示していた。組込み用の通信モジュールと閉域網接続を組み合わせて提供するプラットフォームで、さくらのクラウドサービスのほか、AWSやIBM Bluemixなど外部のパートナーサービスとの接続もできる。現在アルファ版として開発パートナーと検証している段階で、今回のブースもそうした検証に参加している各社のデモを展示していた。なお、今後ベータ版を経て、2017年を目処に正式サービスを開始する予定。
さくらインターネット社内の試作としては、Arduinoを使った「みまもりポット」や温湿度計を展示。ゴールデンウィークに気楽に作ったとのことで、Arduinoのプログラム(スケッチ)に3つ程度の命令を追加するだけでクラウドサービスにつなげたという。
jig.jpは、BASICで開発できるワンボードマイコン「IchigoJam」に通信モジュールを付けてさくらのIoT Platformを利用する例を展示していた。福井県の猟師さんがセンサーとIchigoJamを使って自作したイノシシ捕獲檻を、さくらのIoT Platformにつなげることで、イノシシが掛かったことがリモートでわかるようになった。
笑農和の水稲農家向け水位調整サービス「Paditch」は、水田の水門をIoT化するもの。開閉指示やアラート通知などをクラウド経由でスマートフォンからできる。また、Sensprout社は、PETフィルムに電子回路をインクジェット印刷する技術により作る土壌水分センサーを展示しており、さくらのIoT Platformを利用するという。
tsumugは、さくらのIoT Platformを利用したスマートロック。スマートロック側にWi-Fiやスマートフォンを使うことなくスマートロック単体で設置できる。また、インターネット経由でリモート操作できる移動式留守番カメラの「ilbo」は、サーバー部分をさくらのクラウドに実装している。
ニフティクラウドもIoTを前面に
ニフティクラウドのブースも、IoTに必要な機能をクラウド上で提供する 「ニフティクラウドIoTプラットフォーム」を前面に出して展示していた。
参考展示として、不良品の自動検出サービスが展示されていた。工場のベルトコンベアを流れていく製品をカメラで撮影し、ニフティクラウド上の機械学習による画像認識で不良品を検出するものだ。同時に、工場の状態をセンサーからの情報で可視化する例もデモしていた。
また、富士通もニフティクラウドを使ったシステムを展示。高温多湿な場所での労働管理のシステムで、リストバンドに付けたセンサーでバイタル情報を集めて危険な兆候を早めに見付けるというものだ。
DDN、クラウド/ビッグデータ向け高性能大容量ストレージ
スーパーコンピュータ向けなどのハイエンドストレージベンダーのDataDirect Networks(DDN)は、エンタープライズ市場に向けてクラウドやビッグデータ向けのストレージ製品を展示している。SFA14K/SFA14KEは、4Uで2.5インチSSD 72ソケット、またはPCIeのNVMeストレージを収納。600万 IOPS以上・60GB/秒の性能と、1ラックで約7PBのスケーラビリティを持つという。
レノボ、ハイパーコンバージドインフラやSDSを展示
レノボのブース(データストレージEXPO)では、ハイパーコンバージドインフラやSDS(Software Defined Storage)など、ストレージ関連の製品やストレージを展示している。
Lenovo Converged HX Seriesは、レノボのハイパーコンバージドインフラ製品。IBM System xサーバーをベースに、Nutanixのハイパーコンバージドインフラのソフトウェアを搭載して販売している。System xと同様のサポート体制を用意する。
そのNutanixもソフトウェアについて展示。データコア社もハイパーコンバージドインフラD-RAID ADVANCEを展示している。
そのほか、VMwareのSDS製品「Virtual SAN」や、HadoopディストリビューションのMapRなども展示している。